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西軍が集結するまで岐阜城は死守するわ!(五)

史実よりも早く、東軍先発隊は攻撃を開始します。西軍の美濃における三大要塞の一つ、犬山城に襲いかかります。ここは、アイドル織田麻里さんの親衛隊の一人が守っていますが・・・。

 これは予定よりも早い。おそらく東軍はかなりの強行軍でやってきたに違いない。史実よりも随分と早い。そして、史実ではここで何日も滞陣し、時間を潰すのだが、今回のゲームでは分からない。


「美鳴、すぐに吉乃ちゃんと浮竹さんに連絡。早くしないとマズイ。この美濃には西軍は2万もいないのだからな」


「わ、わかったわ。すぐ伝令を出すわ。北陸の吉乃と伊勢路の浮竹さんが来れば、形勢は互角だよね」


 美鳴は不安げにそう俺に言ったが、正直、想定外であった。東軍もこれだけのスピードで東海道を駆け抜けてきたのだ。陣容を整えるまで簡単には動かないのが定石だろう。


 史実では、尾張清洲城に到着した福島正則以下、東軍先鋒隊はここで家康の到着を待つために10日もここで滞陣する。徳川家康が彼ら豊臣恩顧の大名を疑っての策であったが、しびれを切らした彼らに叱咤激励をして、岐阜城攻めに駆り立てることとなる。


だが、ゲームは違った。先鋒隊の中心である福島帆稀が、狂気のごとく、到着と同時に進撃を開始したのだ。


「是清様に褒めてもらうんだ!まずは、犬山城を攻め落とす!」


帆希に引きずられるように、各諸将も長距離移動による疲れを癒すこともなく、攻撃を開始する。


 黒田メイサは、是清から帆希の監視と全軍のコントロールを任されていた。帆希の好きなようにさせることを主眼としていたが、大垣城にいる美鳴への攻撃はさせないように厳命されていた。美鳴は東宮院是清が扮する徳川家康が直々に関ヶ原で打ち倒すことが規定事項であるらしい。

「あの人も気楽なものね。勝利が確定した現場に現れて、自らがその果実を食すってね。あのおバカさんのお守りをする身にもなってよ」


 メイサは、帆希の行動を監視しつつ、自由にさせていた。今回の命令も普通に考えれば、無茶な作戦であったが、西軍は各地に兵力を四散させており、意外と速攻は効き目があるとこの才女は読んでいた。

 

その読みは当たった。


 犬山城は織田麻里の親衛隊である石川備前守いしかわびぜんのかみが守備している。彼は高レベルキャラで、織田麻里のためにこの戦いに参加をしたのだが、兵力はわずかに2千たらずであった。


「敵は4万だと!馬鹿な、いくらなんでもそれでは支えられないぞ!」


ゲームに精通しているだけあって、100%勝ち目がないことはすぐ分かった。慌てて、大垣城と岐阜城に援軍を要請する使者を送るが、東軍の猛攻撃に次々と曲輪を突破されていく。


「殿!福島勢が本丸に突入してきました!」

「おらおら!敵の大将って、あんた~?」


「お、お前は福島正則?って、お、女?」

「観念しな!もはや、この城は東軍、是清様の物さ!」


「女は女でも、我が神、おひい様とは雲泥の差!品がなさすぎる!」


 石川備前は、金髪にガングロ顔の敵将に幻滅していた。やはり、ゲームの中の姫武将は可憐でなくてはいけない。そう、自分が崇拝する織田麻里様のように…


「品なんてクソくらえだ!おら、一騎打ちしてやるから、かっかって来やがれ!」

「この状態で一騎打ちとは、ど素人め!」


 石川備前はわずかな光明を見出した。敵は数が多く、まともに戦ってはまったく勝ち目がないのだが、一騎打ちとなれば別である。敵の大将を討ち果たせば、形勢は一気に逆転する。相手はせいぜいレベル20程度である。こちらはレベル32だ。戦いは兵力差がものをいうが、一騎打ちは個人ステータスだ。レベル差はこちらが優位だ。


 だが、帆稀扮する福島正則は、一騎打ちも強かった。それは、彼女がレベルアップの度に攻撃力を中心に上げていったからだ。攻撃力以外は無視し、ひたすら攻撃力を高めた結果、先制攻撃が通れば、自分より上のレベルでも一撃で倒せた。


「おりゃあ!」


 石川備前の攻撃で自らは負傷したものの、防御を無視した帆希の一撃は、見事に守備側大将の首を跳ね飛ばしたのだった。


「おひい様~っ!」

「敵将撃ち取ったり~」


 


犬山城はあっけなく落ちた。俺の予想外の展開だ。


犬山城の次は岐阜城へ・・・。みんなのアイドル、織田麻里さん、ここで散るか?

「おだまり!」

って言われそうですが。

一応、史実では岐阜城が先に攻撃されますが・・・。そんな細かいこと誰も気にしてないかな。

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