表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/160

西軍が集結するまで岐阜城は死守するわ!(参)

東軍大将である徳川家康(東宮院是清)が、美濃にやってくるまで、西軍の次の目標は上方にある東軍の城を攻め落とすこと。まずは、戦略の要の大津城ですが、ここは主人公の自称嫁を名乗る、立花瑠璃千代(立花誾千代)が攻める予定です。

この物語の鍵を握る攻防戦が、近江の国と美濃の国で行われます。

 本多アギトは、大介たちを救出した後、美鳴を救うべく情報収集をしていた。事故を装い逃亡中とはいえ、東宮院の追っ手はまだ彼を追っていたので、点々と居場所を変えて美鳴たちのキャンペーンゲームをのぞいていた。今頃は狩野家への介入で、自分の存在が知られている頃であろうから、余計に慎重になっていた。


 ネットへのアクセスで居場所がバレる可能性があったからだ。ゲームが始まってから、美鳴たち西軍プレーヤーは、東宮院の手の者によって監視が付いていたので、うかつに接触もできなかった。


(まずは西軍の敗因の元凶であった、伏見城があっけなく落ちた。幸先はいいが、次の一手はあそこだな)


 アギトのパソコンに琵琶湖畔の城が映し出された。


 京極高次が守る大津城がある。東宮院是清はこの城を重要と見て、社内で最も信頼できる若手のホープを指名していた。「戦国ばとる2」のゲームに精通して、さらに頭が良い男で、大手銀行に5年勤めて東宮院ファンドに引き抜かれ、現在は28歳であるが、課長職にあった。


「社長の命令は、この城に西軍の別働隊、立花瑠璃千代率いる九州諸将の連合軍1万2千を関ヶ原に向かわせないこと」


 この若きエリート(名前はない)は城の守りを確認していた。流石に2千程度の守備兵なので最後まで守り通すことは不可能であったが、大津城は琵琶湖に面し、攻め口が少なく、非常に攻めにくい城である。決戦まで時間を稼ぐことは難しい話ではなかった。


(この城は攻めにくい。いくら、立花のお嬢ちゃんが名将でも正攻法では史実と同じになる。琵琶湖側からどうアプローチするかだな…)


 アギトは大津城攻防戦のための秘策を考え、瑠璃千代にアドバイスしようと思っていたのだ。


 史実では、大津城はよく守り、立花宗茂以下の1万余りの西軍を関ヶ原の戦場に行かせなかった。大砲による攻撃にも耐え、大津城が落城したのは関ヶ原で西軍が敗れたまさにその日であった。勇猛な立花宗茂が関ヶ原の戦いに参加しなかったことは、東軍の勝因の一つに数えられ、戦後、京極高次は若狭9万石の恩賞をもらうことになる。


 ちなみに、京極高次の妻は淀君の妹、「はつ」であり、彼女の妹は徳川家康の息子、2代将軍秀忠の正室「ごう」である。このゲームにはまったく考慮されないが。


 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 美鳴と俺、舞さん、聡のガキンチョの石田勢は大垣城にいる。岐阜城にいる織田麻里さんと、連絡を取りつつ、東軍の先鋒隊を迎え撃つ準備をしている。舞さんとは、あれ以来であるので、何だか照れくさい。


一応、風魔の小太郎に貸してもらった車(アバルト500)で舞さんのマンションの部屋に運んでゲームに参加したのだが、舞さんは俺の顔を見ると、顔を赤らめ、


「ごめんなさい。本当にごめんなさい」


と言うだけであった。美鳴は失踪中、俺が舞さんと一緒に行動していたことを知ったようだが、何も言わなかった。彼女の立場からすれば、聞くのが怖かったのかもしれない。


「美鳴、そろそろ、西軍を集結させた方がいいかもしれない」

「なぜ?」


 美鳴は大垣城の天守から尾張の国清洲城方面を見ている。史実では東軍先鋒隊は尾張の清洲城に入り、大垣城とにらみ合いになるのだ。


「伏見城は三日で落とし、時間はたっぷりあるわ。今のうちに西国の東軍拠点を叩いておくべきだわ。それに我が西軍は経験不足だから、戦うことでレベルも上がる」


「だが、相手は東宮院だ。伏見城の件は想定内かもしれないぞ」

「私には愛ちゃんと雪之ちゃんがいるわ。彼女らがアイツをクギ付けにしてくれるはずよ。とりあえず、岐阜城、犬山城とこの大垣城の防衛ラインをしっかり守っていくことが大切よ」


 地図で見るとこの3つの城は岐阜城を中心に清須から侵入してくる敵を挟み撃ちにする格好となる。東軍としては、岐阜城と犬山城は落としておきたい要塞だろう。


「織田麻里さんの岐阜城は、6500の兵力で親衛隊の二人がベテランゲーマーだ。守備に徹すれば簡単には落とせない」


 史実では、織田秀信は目立ちたいばかりに家臣の籠城策を一蹴し、打って出て東軍大軍に敗れ、城に逃げ帰り、その後、攻められて落城することになる。西軍がわずかしかいなく、東軍の圧倒的な兵力の前に成す術がなかったのである。


 だが、今回のゲームでは賢いプレーヤー、アイドルの織田麻里さんが岐阜城を守っている。裏切りであっさりと落ちる犬山城も織田麻里の熱烈ファンという男たちが志願して守っており、その守りは固い。


(史実よりはいい状態だ)


と俺は思ってはいた。美鳴は織田麻里さんからの使者が来たといって、天守から降りた。


聡(小2のガキンチョ、一応、家老の蒲生郷家)も美鳴について行ったので、舞さんと再び二人になる。

舞さん(狩野舞・・・舞兵庫)とは、あの監禁された時に媚薬で完全痴女モード時に会ったきり・・・超気まずいんですが!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ