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理解できない

作者: 木下 葉子

ラブコメ目指して撃沈しました!汗


 数か月前、晴れて高校生になった俺には同い年の幼なじみの女の子がいる。




 長いまつ毛に縁取られたくりくりのおおきな瞳。

 人形と見間違うほどに整った顔のパーツ。


 小さい肩。白い手足。

 昔とは違う年相応のやわらかそうな体。


 栗色のウェーブがかった髪。

 桜色の薄い唇からもれる、鈴が鳴るような可憐な声。

 


 物心つく前から一緒にいる俺でも一瞬固まってしまうほど、彼女は完ぺきな容貌をしている。

 家が隣同士で一緒に朝登校しているというだけで、俺が同学年の男子から一斉に目の敵にされてしまうほど。


 だがこんなもんに騙されちゃいけない。


 あいつはやけにきれいな皮を被った、ただの変態だ。













 その変態は今日も、2つとなりの俺の教室にやってくる。

 だが決して思春期特有の甘酸っぱい理由ではない。


 走って来たのだろう。

 上気して赤く染まった頬に、動揺の色が隠せない男子が数名いた。

 隠せよ。


 そして呼吸を落ち着かせ、とびきり可愛らしい恥じらった表情で俺に言う。



 「ショウ、あのね、えっと」

 「ゆい、わかったから。ちょっと落ち着いて話せ」

 

 俺の言った言葉に反応して、心底うれしそうに口角をあげて笑う。

 こんな輝くような笑顔のときには、残念ながらもう彼女の言うことは決まっている。




 「あのね、あのね、今日電車に乗ってたイイ感じの高そうなスーツ着てたメガネのリーマン覚えてる?

 俺様鬼畜攻めが絶対似合うと思わなかった~?!

 

 もう、朝から萌えちゃったよ。


 あ、なんだったらショウ絡んできてもいいよ!許可してあげる。

 スーツ鬼畜メガネ×黒髪学ランか……。


 きゃー!萌え!! 」




 


 ……嗚呼。

 なんで俺は、こんな変態が好きなんだろう。


 

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