第五話
簡易戦闘所にて
「ねえ、凪。どのくらいまでならやっていいの?さっき煽られイらっとしたからフルボッコにしていい?」
羽実が意地悪くにやにやしながら凪に尋ねる。はぁ。とため息をつかれる。
「ケガしない程度になら、いいぞ。実力わからせてやれ。」
「お兄、なに一柳さんの味方してるのよ!みてて、すぐに倒してあげる。逃げるなら今のうちよ。」
「華恋も羽実ちゃんもがんばれ~。」
なかなかカオスな状況の中、一条家の使用人らしき者が審判を行うらしい。
「お二人とも、使い魔をお出しください。」
審判からの指示に従い、それぞれ使い魔を出す。
「蒼空、おもち、頼んだわ。」
なるほど、華恋の使い魔は狼とハリネズミなのか。もしかして、こやつツンデレ⋯?
羽未は、そう思いながら澪と玲を呼び出す。澪は羽実の肩にずっと乗っていたので、呼び出すというわけではないが、、。
しかし、人型である玲を見た凪以外の一同の空気が一瞬固まった。
「え、なんであなた使い魔が人型なのよ。まさか、あなたのお兄様にでも借りてきたの?卑怯な手を使う方なのね。」
私の使い魔なんだけどなぁ。羽実は心の中で苦笑いする。
華恋は、玲が羽実の使い魔であるということはありえないとでも思っているのだろう。
まぁ、それが普通だ。なんてったって私は一柳家の恥なのだから。それ以上にお義母様の反応の方がおかしい。
「まぁ、なんて凛々しい人型なのでしょう。羽実ちゃんすごいわぁ。こんな実力があったら、凪も安心ね。なんならあなた、素質だけなら凪よりも強いんじゃないの?」
羽実の使い魔に戸惑うこともなく、翠は平然としている。動揺なども見られない。
あ、この人強い。羽実はそう思った。
一見ゆるっとした雰囲気だが、肝が据わっているというのか、落ち着いているというのか、一条家の女当主はこんな器がないとやっていけないのかもしれない。 早く離婚したい。そう、羽実はつくづく思う。
「玲は私の使い魔よ。ねー、玲。あなたは私の家族だもんね!」
「ああ、主。なんのお呼び出しですか?まさか、この旦那をやってもいいのですか⁉」
周りの反応そっちのけで玲は凪を攻撃しようとする。まだ、すねているのだろう。
「玲、さすがにそれはやめてね。呼んだのは、今からかわいい妹と使い魔対決をするんだけど、玲も参加するか聞こうと思って。」
「旦那をやれないのなら、僕は帰ります。澪ねぇがいれば楽勝ですよね。」
すっっっ
玲は消えて行ってしまった。
「しょうがない、澪ひとりで行ける?」
「まかせて!羽実様、澪楽勝だよ!ねぇ、勝ったらなんかご褒美ちょーだい
?」
妖精の小さな姿で澪がおねだりしてくる。ほんとにかわいすぎる。羽実はかわいいものに心底弱いのだ。
「いいよ。うーん、あ、私のこと『羽実様』じゃなくて『羽実』って呼んでいいよ!」
「え、それめっちゃうれしい。羽実様、澪頑張るから見ててね!」
澪がご機嫌でコートの中に入っていく。
「あ、えっと羽実さんの使い魔はその妖精だけですか?」
審判が心配そうに問いかけてくる。羽実がもちろんとうなずくと、審判は若干引いたように羽実を見つめる。
「あら一柳さん、人型の使い魔無しで私に勝てるとでも?舐めないでくださるかしら。まぁ、今からコテンパンにしてあげますね。」
華恋が勝ちを確信したのか、余裕そうな顔つきでコート内に入ってくる。
「両者、用意はできたようですね。では、はじめ。」
戦いの火蓋が切られた!と言ったら大げさだが、戦いが始まったと同時におもち?のとげが澪を襲う。澪がおもちの針でおおわれてしまう。
「勝負あり」と羽実と凪以外は確信する。
「勝負アリですわね。さっきまでの威勢はどこに行かれたのかしら?」
華恋が勝ち誇った顔で羽実を煽る。
その瞬間、澪の周りの針がぽろぽろと落ちていく。澪はノーダメージだ。
「え、嘘でしょ。」と華恋が動揺する。そんな華恋はお構いなしに羽実は合図を出す。
「澪、そろそろ30%くらい開放してもいいよ。」
そう羽実が澪にそっと伝える。その瞬間澪の周りがきらりと輝き、幼稚園児程のサイズまで澪が大きくなる。
簡易訓練所内の空気が一瞬凍る。
「え、、なんで、大きくなることができるのよ、?妖精にこんなに大きな、強い力を持つ者って存在するわけないじゃない、。」
華恋が混乱している。まぁ、普通ありえないだろう。訓練所を使っている他の人々の混乱の声も聞こえる。
こんな状態でもにこにこしていて、「まぁ〜」としか反応がないお義母さんの方がおかしいだろう。
「澪、さっさと終わらせよ。相手のダメージは最小限に抑えてくれるとうれしいなぁ〜。できる?」
心配そうに羽実はたずねる。澪はその時のサイズと精神年齢が等しくなるのだ。まったく開放していないときは別のようだが、。
「うん、羽実様~。すぐ終わらせるね!澪、頑張る!」
心配しかないが、羽実はもうなるようになると諦めていた。凪がどうにかしてくれるからだ。
「じゃ、澪やりまーす。とりゃ。」
その言葉と同時に澪のまわりに風があつまり解き放たれる。
妖精は基本的に属性を持つ。澪は風属性だ。
解き放たれた風は竜巻のようになり、華恋だけでなく他の訓練をしていたであろう人々まで巻き込んでしまった。
「あ、やっちゃった。」
風が収まり、念のために張っていた結界によって守られ無傷だった羽実は訓練所の状態を見ながら思う。
訓練所はさっきの澪によって半壊した。壁は丈夫なのか無事だったが屋根は飛んで行ってしまった。
凪がどうにかしてくれるだろう。
そう思いながら羽実は華恋の方を見る。二体の使い魔はボロボロで、華恋の髪型も崩れてしまっていた。
「華恋大丈夫?櫛あるから使って!」
そう、駆け寄って渡そうとしたら、パチンと手をはじかれる。
「なんで、あんな妖精がこんなに強いのよ。意味が分からない。なんであなたこんなに強いのにC組にいるのよ。一柳家の恥って呼ばれてるのよ。颯真君よりも絶対にあなたの方が強いのに、。なんで、、秘密にしてるのよ。」
華恋が半泣きになりながらたずねてくる。
え、なんでって言っても、めんどくさいからしかないじゃん。
羽実は気まずそうな顔をしながら答える。
「めんどくさいから?」
そんな答えを聞いた華恋は、きょとんとした顔をする。
「え、意味が分からない。めんどくさいからって馬鹿にされていいわけ、、?プライドとか無いの、あなた。」
「うん、無いね。あと、あなたじゃなくて羽実でいいよ。」
「あ、あら、そうなのね。だったら仕方ないわね、?う、羽実。」
あれ、やっぱりこのお嬢様ツンデレ?ちょっとかわいいかも、、。
そう羽実は考えていると、華恋が続けて話し出す。
「負けたことは事実なので認めます。いままでひどい態度とって悪かったわね。あなたがこんなに強いだなんて知らなかったわ。許してもらえるかしら、羽実」
「うん、いいよー。これからよろしくね、華恋。」
羽実がそう言うと華恋は顔を赤らめながらにこにこしている。
やっぱり華恋、ツンデレだな。かわいすぎん?
その後、羽実は若干引いている凪にやりすぎだと叱られてしまった。
「私、悪くないもん。」とふくれっ面しているところを、ちょっとは反省しろともっと叱られてしまう。
翠は澪とお話をしていた。話はよく聞こえないが楽しそうだ。
一番変わったところは、華恋にとてもなつかれたことだ。
華恋はお姉ちゃんがほしかったらしくいろいろと話しかけられる。本物の妹ができたみたいで羽実もまんざらでもなかったのはここだけの秘密だ。
ーーー
夕食もとても美味しかった。とくに、デザートのプリンは驚くほどなめらかだった。明日にでも料理人に作り方を教わろうと羽実は思う。
今羽実は入浴中だ。凪に「俺と一緒に入るか?」と聞かれた時にはつい澪に極小空気弾を打ってもらった。正直申し訳ないがしょうがない。あんなことを言ってきた凪が悪い。まぁ後で謝ろう、。
それにしてもこの家、お風呂までも広いな。やっぱり友達をよんで女子会したいなぁ。
しかも、母屋用のお風呂でこんなに広いのだから、来客用の大浴場はどれほど広いのだろう。
そう思いながら羽実は髪を洗う。羽実のお気に入りのシャンプーが当たり前のように並んでいて少し怖い。
おそらく凪が用意してくれたのだろう。まぁ助かるが。
「私も洗って〜。羽実さま、うみ~!」
澪がぴょこんと現れる。羽実呼びが慣れないのか、なんだかたどたどしい。
澪は妖精のため身体を洗わないのが普通だが、澪はたまに髪を洗ってほしいと現れることがある。他にもヘアアレンジや可愛いアクセサリーも澪は好きだ。
羽実は頼まれたように澪の髪を洗う。
澪は羽実が洗いやすいように幼稚園児程に大きくなっている。妹のお世話をしているような感覚だ。
洗い終わったら二人でお風呂に入る。広くて足を伸ばすどころか寝っ転がることもできるだろう。ちなみに玲は性別的には男の子なのでお部屋でお留守番だ。
「澪、今日はありがとね。疲れたでしょ。」
「全然疲れてないよ!なんならもっと戦いたかったくらいだよ。」
「ま、そうだよね…。澪、手加減を覚えようね、、。今日のはやり過ぎだよ。今度、私が張った結界の中で全力出していいからさ。」
「え、いいの?うみ!やったぁ、澪今度からは手加減する〜。」
このサイズの澪は幼いため単純だ。ただ、澪の全力は私でも分からないから結界展開の訓練しといた方がいいかもなぁ。
羽未はそう思いながら身体を拭く。
パジャマに着替えて軽くスキンケアをし、髪を乾かす。
羽未の髪は短いため乾くのが速い。これが羽未が年中ボブでいる理由の大きなひとつだ。
澪は風の妖精だからか、もう髪が乾いている。少し羨ましいなと羽未はつくづく思う。
部屋に戻るともう22時前だ。まぁ、今日は課題があまり多くない日だからなんとかなりそうだ。
「ほんと、誰かさんのせいで課題始めるのが遅くなっちゃったじゃん、、。はぁ、お菓子作り研究の時間が無くなっちゃった。まぁ、しょうがないか。私が選んだことだし。」
羽実はぶつぶつ言いながらも課題を進める。
と言っても、高校までの基礎は中学生で終えていて、しかも高3だから総復習が基本であまり難しくは無い。
羽実は学習系の課題を終え、寝室に向かう。
あ、進路について考える課題やってない。ま、適当に就職か後方支援でいいかな。
そう思いながら寝室に入ると、もう凪が部屋のソファーで読書をしていた。
な、なんか色気すごくない、、?
凪の姿は、とても2歳しか年が違わないとは考えられないくらい大人だった。
羽実は、気を抜くと凪に惚れてしまいそうになりながらも、
あいつは無理やり婚姻を迫ってきたさせた俺様の粘着質男よ、だまされちゃダメ。
そう考えることで、なんとか落ち着く。
「ん、羽実か。遅かったな、もう寝るか?」
やっぱりこいつ、色気やばい。夜だからか余計にすごい。
つい、照れてしまいそうになるのを隠すためにさっさとベッドに横になる。
「うん。明日も学校だし、もう寝る。おやすみ。」
「あ、おい。一人で勝手に寝るんじゃない。あとど真ん中で寝ずに、ちょっとは端によってくれ。」
「やだ。おやすみ。」
「じゃ、俺がなにをしても怒るなよ。」
え、俺がなにをしても怒るなだと、、?
え、なにする気なの?
羽未が狸寝入りしながら考えていると、凪がベッドの反対側に座る。
え、ガチで一緒に寝る気?
羽未の予想通り、凪は布団の中に入ってきた。
「羽未、もう寝たのか?なら、」
そう言って、凪は羽未の頬をつつく。
「寝てるんだろ、ならなにしてもいいよな。だってもう寝てるんだから、なにしても気づかないもんな。」
頬をつつくだけだったらまだよかったが、どんどん触るところが際どくなっていく。
頬、髪、耳たぶ、唇、、
え、ほんとに凪何してんの。セクハラ?なんか恥ずいしくすぐったいんだけど。
でも、今ここで起きたらなんか負けた気がするし、、、
羽実がそう考えている間にも、凪は手を止めない。
首筋、鎖骨、、、
え、触り方が、なんか、なんか、いやらしいんだけど、、。
え、、はっ、これから何をする気なの、?え、鎖骨の次は、、胸、、?
え、はぁ⁉
羽実は目をぎゅっとつぶって反応をしないように試みる。
しかし、凪の手はやってこない。ちらりと目を開けると、、
目の前に凪の顔がある。え、目の前に凪の顔が、、⁉狸寝入りがバレてたってこと?え、恥ずい。
そう思い、顔が赤くなってしまう。すると、凪はにやにやしながら口を開く。
「なんだ、期待したのか?もっと先してもいいんだぞ。でも、この先は羽実から求めてくれないとする気ないけどな。」
「はぁぁぁぁ!?そんな気無いし、なに勘違いしてんのよ凪。私が凪を求めるなんて1000年は無いわ。ばーか。」
羽実はつい強く言い返してしまうが、凪にふっと笑い流されてしまう。
「まぁ、羽実から求める日も遠く無いだろうな。だってこれから毎日この俺が少しずつ口説いていくんだからな。ま、それは置いといて、なんか気づくことはないか?羽実。」
気づいたことか、、。あ、凪の目を見てもどきどきしなくなったかな。
でも、このまま言うのはなんか、、あれだ。
「凪の目を見ても、こう、衝撃?が走ることが無くなった?かな。」
ごまかしながらも、羽実はうすうす感じていた疑問を問いかける。
「ああ、そうだよな。これは俺と羽実が夫婦になった、書類上で結ばれた証だ。」
あ、そうなんだ。へー。ま、目が合うたびにドキドキするのは面倒だったから助かったな。
羽実にはあまり興味が無い内容だった。
「そうなんだ。じゃ、そろそろ寝るね。おやすみ。」
そう言って、羽実は凪とは逆の方に向いて寝ようとする。
「おい、こっちを向いて寝ればいいだろ。」
凪にそういわれても、羽実は動かない。そんな羽実にしびれを切らしたのか、凪は黙った。
あ、諦めたな。
そう思い、羽実は安心して眠りにつこうとする。
すると、
「おやすみ。愛してるよ、羽実。」
羽実の耳元でささやき頭を撫でてから凪は眠りについたようだ。
え、え、愛してる、?
やばい、心臓壊れそう。ドキドキやばい。いやいや、私は別に凪のこと好きってわけじゃないし。
夜の凪の色気にやられただけだし。
てか、なにあの愛おしそうな声。なに、甘すぎるんだけど。どんだけ私のこと好きなん?え、恥ず。
今絶対に顔赤い。よかった、部屋暗くて。
明日どんな顔で凪を見ればいいの?
今日、もう寝れないじゃん。澪、玲助けて、、、
ーーー
次の日の朝
凪は早朝から仕事だったようで、顔を合わせないですんだ。助かった、。
それにしても、やっぱり四天王の当主は忙しいのね。
それにしても、寝坊しないで本当によかった。
羽実はそう思いながら、髪を編んで身支度をする。
制服は昨日のうちに一条家の使用人の人がアイロンをしてくれたのか、きれいに整えられていた。
支度を終え、居間へ向かう。
居間ではもうお義母さんと華恋が座って待っていた。
「待たせちゃってごめんなさい。」
「いいのよ〜。そんなに待ってないもの。ね~。華恋~。」
「え、ええ。そんなに待ってないわ。あと今日もし良かったら一緒に学校いかない?」
「うん、もちろんだよ!一緒に行こ!ね~澪、玲。」
「澪もおっきい姿で学校ついてっていいの?うみ。」
「それはだめだよ。澪の実力は学校では内緒。」
「えー。」澪はそのあとも少しだけだだをこねていたが、すぐに落ち着いた。
ちなみに玲はまだ少しいじけていて隠れたまま羽実の護衛としてついてくるらしい。
一柳家とは全然違う、にぎやかな朝食に羽実は心地よさを感じる。
それは登校中もだ。
今、羽実は一条家の車に乗って優雅に登校している。この車、乗り心地が良すぎるのだ。
そんな車にさも当たり前のように乗っている華恋に羽実は育ちの違いを感じる。
ま、そんなことを考えてもいいことは無いので、別のことを考えることにする。
そういえば、私今日から一条羽実だった。
「え、私今日から学校でも一条羽実になるの!?え、絶対いろいろ聞かれるじゃん。」
「まぁ。そうね。羽実は私のお義姉ちゃんだもの。学校でも一条が苗字になるようにお兄が手続きと大まかな説明はしたって言ってたし。聞かれるのは頑張って!私も手伝いはするからさ。」
華恋にいろいろと励まされるが、気が重いのは変わらない。
はぁ、腹くくるか。
羽実は頬をパチンとたたき、気合を入れ直す。
外を見ると、もう学校の校門の前だった。
「羽実、ついたわ。行きましょ。」
華恋に手を引かれ、羽実は車を降りる。
「ありがとうございました。」そう言って羽実は学校の門をくぐる。
小学生、中学生、高校生、同級生や後輩、いろいろな人の視線が刺さる。
まぁ、しょうがない。学校全体で有名な四天王家、この第一学校を運営している一条家の娘であり、学年トップレベルの実力者だからだ。
そんな華恋と無名か劣等生として有名な私が一緒だったら嫌でも目立つだろう。
華恋はそんなに気にならないのか、私の手を握っている。
教室につくと、先に来ていた結月がやってくる。
「羽実、おっはよ〜。なんか今日めっちゃ注目されてるね~。なんかあったの?」
結月に理由を話そうとしたら、教室に担任が入ってくる。
「お、おい。一柳。ちょっといいか?」
担任に呼び出され、内容をなんとなく察する。羽実は渋々担任のもとへ向かう。
担任はすごく戸惑った目でこちらを見てくる。なんだろ、お化けでもみたんかな?
担任が小声で話しかけてくる。
「お、おい一柳。お前今日から一条になったと校長から聞いたんだが、お、お前結婚したのか?しかも、一条凪様と。俺の聞き間違いだよな。」
「あ、はい。断り切れなくて、一昨日?くらいに婚姻届書かされました。私は今日から一条羽実です、、。迷惑かけてすみません。」
「あ、ああそうなのか。いろいろ?大変だったな。お疲れ、、、?まぁ、これからもよろしくな一条。」
担任はなんとか納得してくれたようだ?
担任と話が終わったと思ったら、全校朝会が始まった。
プロジェクターが点き、クラスメイト(羽実を含む)が慌てて着席する。
今日は校長の長い話は無いようだ。副校長が司会をしている。
「では、次に一条当主からのお話です。一条凪様、お願いします。」
「はぁ!?」
羽実はつい反射で大声を出してしまいクラスの注目を浴びる。
は、え?なんで凪がいるの?
しかし、凪には聞こえるはずもなく、凪は話し続ける。
「生徒の皆さん。おはようございます。今日は個人的ですが、皆さんにかかわるかもしれない話をしに来ました。私、一条凪は高校3年C組の一柳羽実さんと結婚させていただきました。公の場ではここが初の発表になります。羽実の苗字が一条に変わるので、先生方迷惑をかけますがよろしくお願いします。あと、生徒の皆さん羽実に手を出したら、、覚悟してくださいね?ありがとうございました。」
凪が話し終わると同時にクラスメイトの視線が突き刺さる。
「は、一柳結婚したん?」
「え、羽実ちゃん嘘だよね?しかも、御当主様と?」
「なんで羽実私に一番に教えてくれなかったの?」
クラス内が一気にざわつき始める。「静かにしろー」という担任の声にも気づかない。
なんで凪こんな大々的に言っちゃうかな。あぁ、目立っちゃうよ。
羽実は気が重くなる。恥ずかしくて机に突っ伏してしまう。
気づいたら全校朝会は終わっていた。10分休憩に入る。
その瞬間、羽実のまわりに人が集まった。
質問攻めにあった羽実ははじめて授業にありがたさを感じた。
昨日はあんまり眠れなかったから、少し寝てしまおう。
羽実の瞼が重くなり、うとうとしていたら授業が終わっていた。
この後も、移動教室のたびに噂をされ、休憩時間の度にまわりを囲まれ、気づいたら昼休憩だ。
羽実はいつも通り結月と二人でごはんを食べようとすると、廊下に華恋が立っているのを見つける。
「結月、少しごめん。待ってて」そういって羽実は華恋のもとへ行く。
「華恋、どしたの?誰か待ってる?呼んでこようかー。」
羽未が話しかけると、華恋はパァっと笑顔になる。
「う、羽未!私とお昼ご飯食べましょ?もし、よろしければだけど、、。」
華恋からご飯に誘われるなんて、昨日時点だったら考えられなかっただろうなぁ。
華恋が居たら、結月に説明するのも楽になるかも?
「友達に聞いてくるね!ちょっとまってて。」
「あ、そうよね。わかったわ、待ってる。」
「結月〜。華恋、一条華恋が一緒にお昼ご飯食べたいって言ってて、、。いい?」
羽未が申し訳なさそうに尋ねると、結月は思ったより軽い反応で「うん!」と答えてくれた。
「あ、あなたが羽未の友達?私は、羽未の義妹の一条華恋よ。あなたがどうしても呼びたかったら、華恋って呼んでも構わないわ。」
華恋は人見知りとツンデレを発動してキャラが渋滞している。
「華恋は人見知りのツンデレで、人付き合いがあまり得意じゃないの。仲良くしてあげてね。」
羽未が結月の耳元で囁く。
「羽未、聞こえてるわよ。誰がツンデレの人見知りですって?」
そんなツッコミを無視し、結月が話し始める。
「私、二葉結月!で、こっちがオコジョのわたあめ。よろしくね〜、華恋ちゃん!」
さっすが結月だ。
人懐っこさ全開!華恋の懐にもすぐに入り込んでしまうだろう。
三人は屋上へ向かう。
どうやら、華恋は一条家の特権で屋上の鍵を持っているらしい。
その話を聞いた結月が、目を輝かせて、
「屋上!行ってみたい!!」
と言い出したのがきっかけで、屋上で昼食を取ることにしたのだ。
ーーー
次回
昼食&女子会
放課後の大量の習い事
羽未は、無事にいられるのでしょうか?
お楽しみに!




