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うみの波が止むまで  作者: 蒲公英
第一章 出会い

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第三話

 鳥のさえずりが聞こえる。


 穏やかな朝、今日もいい日になるだろう。そう羽実は思いながら身支度を済ませ、朝食を食べる。


(うんまぁ) 


 さすが、厨房の料理人の料理だ。今日の朝食も手が込んでいて絶品だった。特にお味噌汁。丁寧にとられた出汁が寝起きの身体にしみわたる。

 一柳家もどちらかというと裕福な家庭なので、料理人やお手伝いさんや護衛が何人かいる。それでも、やはり本家の一条家にはかなわない。あそこには一柳家と比べ物にならない数のお手伝いさんや護衛がいた。


(一条家、、あっ、。)


 羽実は昨日のことを思い出し、顔が熱くなってしまう。


 その熱を冷ますように手で顔を仰いでいると、澪と玲が顔を覗いてくる。

「大丈夫よ、澪、玲。玲は見つかったらいけないから隠れといてね。」

 そう小声で話しかけると、玲は不満そうに顔をしかめながら消えていった。


 朝食を食べ終え外に出る。通学路を歩いていると見慣れない高級車が止まっているのが目に入る。無視をしようとすると、車から見覚えのある男が降りてきた。


「やっと見つけたぞ、、俺の『 相手』」

 そう、いきなり一条凪に話しかけられる。

 羽実は極力目を合わせないように凪に向かって言う。


「人違いです!!!」

 そう言い、羽実は走って学校へ走っていった。


「あっ、逃げられてしまった。次は逃がさない。」

 凪はそうつぶやき、ニヤリと笑う。

「凪様、少し気持ちが悪いかもしれません…。」

 護衛にツッコまれ、凪は少しへこんでしまった。


 ただ、羽実を諦めるつもりはさらさら無い。話をして自分のものにできるまであらゆる手を使うつもりだ。


ーーー

 学校が始まって二日目だったこともあり、いつも以上につかれた。とくに、実践形式の授業を弱いふりしながら受けるのは想像以上に難しかったのだ。


 澪が思った以上に張り切っていて、なだめて力を抑えさせるのに相当気力を使ってしまった。


 だが、それ以上に朝の一条凪である。何だったんだあれは。俺の「相手」って。人違いだと言って無視してきたが、嫌な予感がする。


 羽実の嫌な予感は当たり、一条凪は毎日登下校の途中に待ち構えていたのだ。


ーーー

 今、羽実はあの高級車に乗ってどこかへ向かっている。

 客観的に見て誘拐だと解釈することもできるが、その誘拐犯は一族の当主。一条凪である。


 なぜ、車に乗っているかというと、、

 数日は待ち構える一条凪のことを無視していたが、途中から面倒になり、今日は話だけ聞くことにしたのだ。



 車に乗ること数十分、郊外にある、いかにも高級そうな料亭についたのだ。

 品の良い落ち着いた部屋に案内され、おずおずと座り込む。この空間と今の羽実の服装は場違い感半端ないのだ。

 しかも、秘密の話をするからと、澪を置いて行かなければならなかった。


 私の正面に一条凪が座り、気づいたら二人っきりになっていた。


「あ、あのー。私に当主様がなんのご用ですか?もしかしてですけど、私の姉と間違えていませんか?」

 羽実が目線を下にしたまま問いかける。

「いや、間違えていない。俺が用があるのはお前だ。一柳羽実。単刀直入に言おう。羽実、お前は俺の運命の相手で明日には俺の妻だ。」

 凪が真面目な顔で言う。羽実はすぐには凪の言っていることが理解できなかった。


 数秒後、羽実は大慌てで否定する。

「私なんて、当主様の運命の相手であるわけないじゃないですか。調べられたなら知っているかもしれませんが、私は『一柳家の恥』と呼ばれているのですよ。」


 しかし、凪は引き下がらない。


「運命の相手でないと言い張るなら、今俺と目を合わせてみろ。できないなら認めたということにして、すぐこの婚姻届にサインをしてもらう。逃げることはできないように結界を張って、外にも護衛をつけている。」


 脅しのようなことを言われ、煽られた羽実はムキになって凪の目を見る。


 バチッ、バチバチッ、バチバチバチバチ


 今までで一番強い衝撃が二人に走り、もう運命だと認めざるを得ない状況になってしまった。

 さっきの衝撃により、前に座っている男が自分の運命の相手であり夫になるということを実感させられた羽実の顔はゆでだこのように真っ赤になる。


(まだ、ほとんど初対面のはずなのになんでこんなに照れてしまうのだろう…。)


 その恥ずかしさをごまかすために、羽実はなにか注文することにする。


「あ、あのー。なにか注文してもいいですか?甘いものが食べたくて、、。」

「あ、あぁ。いいぞ、ここの春限定のいちご大福や桜餅はおいしいって有名、、って、話を逸らすんじゃない!」

 羽実ほどではないが、凪も顔が赤くなっている。


 羽実は、脱線した話を戻そうとする凪の話を無視しておすすめされたものを注文する。


 そんな羽実と話をするために、凪は羽実からメニュー表を取り上げる。

 顔を隠すものがなくなった羽実は、次は外の庭を見る。桜が咲き誇る洗練された美しい庭だ。

 

 何をしてもこちらを見ようとしない羽実に腹が立ち、凪は羽実の顎をつかみこちらへ無理やり向かせた。

「そろそろ、本題に入っていいか??(圧)」

 これ以上逃げたら後で痛い目を見そうなので、羽実は渋々正面を見る。でも、照れてしまうため凪の目は見ない。


「本題に入ろう。お前は俺の運命の相手だ。それはわかったな?」

 そう、問いかけられ、羽実は言い返す。

「いや、私は一柳家最弱です。とても、当主様と同等の魔力を持つとは思えません。」


「お前と俺は、前に一度出会っている。その時お前は人型と、妖精とは言えない程の力を持った使い魔を使っていた。その道を通りそうな同じ背丈ほどの人にも話を聞いてみたが、その時間は別の場所にいたらしい。つまり、お前は一柳家の中でも屈指の実力者であり、俺と同等、もしかしたらそれ以上の力を持っているのだ。」


 え、きも。と羽実は思ってしまったが、それは自分ではないと否定することができないところまで追いつめられてしまい、認めるしかなかったのだ。

「当主様の予想の通りです。私はおそらく双子の兄颯真よりも強い。しかし、訳があって隠しているのです。どうか、このまま内密にしていただけないでしょうか、、?」

 そう、羽実がたずねると凪はニヤリと笑った。


「俺と結婚し、名前で呼ぶこと。敬語ではなくため口で話すこと。羽実のその力をたまには俺に貸すこと。四つのことをしてくれるなら言いふらさないでおこう。どうだ?」

 この条件に、羽実は顔をしかめる。代償が重すぎるのだ。


 それを察した凪は提案をする。

「俺と結婚してくれたら、安定した老後の保証、充実した衣食住を保証をしよう。一柳家にいるよりもずっと快適に生活できるはずだ。」


 それを聞いた羽未は、頭を悩ませる。

(あの家から出ることができて、あの家より充実した生活が保証される。しかも老後までずっと。悪くないな…。)

 そう考えていると、凪がもう一押ししてくる。

「学校まで、毎日車で送迎しよう」

 桜餅といちご大福が届き、美味しそうに頬張っている羽未に、もっと美味しい話が舞い込んでくる。


 それを聞いた瞬間、羽未の目は輝く。

 帰りに悪霊に襲われる心配もない。寝坊してもなんとかなる。


「わかった。私、凪と結婚する。」

 気づいたら、羽未はそう口にしていた。


凪がニヤリと笑う。

「この契約書と、婚姻届にサインをしてくれ。」

 言われた通りに羽未はサインをする。契約書の中身をしっかりと読まないまま…。


「じゃ、これを役所に届けてくる。おい、護衛。羽未を安全に家まで送り届けてくれ。」

「明日の放課後にでも、お前の家に挨拶をしに行こう。明日は真っすぐ家に帰るんだぞ。」

 そう、くぎを刺された羽未は一条家の車に乗せてもらい家に帰った。

 澪とは、車の中で再会できた。なんだか、澪は別れた時よりご機嫌のようだった。


 そして、やっと我に返り澪にさっきまでの出来事を話す。

「え、どうしよ。私一条当主の妻になっちゃった…。」


ーーー

 いつも通り、今日会ったことを三人?で話す時間になった。


「玲、大変だよ!ほんの数時間前、羽実様、人妻になっちゃった。好きな人も彼氏もできる前に旦那様ができちゃったんだよ。成人してから2週間くらいしかたってないのに。」


 それを聞いた玲はショックで言葉も出ない状態だった。

「あ、え、それ嘘だよな?主。だ、旦那ができたって、、、あ、??!!」

 玲の脳はショートしていた。まるで好きな人が奪われた男子のようだ。


「お、僕そいつやってきていいですか?」

 今にも暴走しそうな玲を両親や兄弟にばれないように鎮めるのがとても大変だった。


羽実はこれから、今まで通り穏やかな日常を過ごすことはできるのだろうか。




ー次回予告ー

「初めまして、一柳羽実さんと結婚させていただいた一条凪と申します。」


「なんで私じゃなくて羽実を選んだのよ!」


「こいつが、羽実の旦那。殺してやる。」


「あの羽実が一条当主と結婚しただと!?」


「羽実が人妻かぁ。私も彼氏ほし~な~。」


次回第四話 お楽しみに!!


第三話、どうでしたか?

これ以上かくと、中途半端になってしまうので、すこし短めになってしまいました!!

新しい試みで、次回予告をよくあるアニメ風に書いてみました。


次回もお楽しみに!!

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