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うみの波が止むまで  作者: 蒲公英
第一章 出会い

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第二話

 羽実はボソッとつぶやく。

(かなで)、澪、お願い。結界発動。」

 悪霊(イビル)の周りに結界が張られ、人型の使い魔が現れる。

 羽未の肩に乗っていた澪が人型と同じくらい大きくなる。


 私は羽未。一柳羽未だ。

 一柳家は代々続く一条家の一族だ。一柳家は一族の中でも代々優秀な術者を生み出した家であり、権力もまぁまぁ強い。

 兄姉も優秀だ。兄達はそれぞれの代の最強格とまで言われている。


 しかし羽未は、誕生の儀で最弱と言われる「妖精」を生み出したのだ。

 そこからは、「一柳家の恥」 、「兄姉の残りカス」などとバカにされていた。


 しかし、それはあくまで「表面上」の話である。


 羽未は14歳の頃、突然才能が開花し、双子の兄颯真を超える魔力を手にしたのだ。

 双子の才能や魔力は人一倍強くなる。と言われているが、「羽未は颯真の魔力を少し奪ってしまった。」と言っても過言では無いほど羽未は強くなってしまった。

 

 でも、羽未は今でも周りからバカにされている。それは、自分の力を隠しているからだ。

 力がバレたら、絶対にAクラスに行かないといけなくなる。それだけは阻止したいのだ。友達の結月と離れるのは嫌だし、それ以上に、勉強が難しくなるのが嫌だからだ。


 また、両親が手のひらを返すのが容易に想像でき、平凡で安全な人生じゃ無くなってしまう!


「玲、ちゃっちゃと切っちゃって。誰かに見られる前にね。」

 羽未が、人型の使い魔「玲」に頼む。

 玲は戦闘を得意とする羽未の使い魔だ。少し長めの髪をハーフアップにして、刀を持った、武士のなりかけのような見た目だ。

 玲が切り終わると、澪が浄化する。恨まれないよう、念の為だ。

 澪は風の妖精で、治癒や浄化、援護が得意である。

 普段は、羽未の力がバレないように魔力を抑え小さいサイズで生活しているのだ。


 全てが終わると、羽未は周りを見回す。

 こちらを見ているであろう人と目が合う。顔は、はっきり見えなかったがなぜか目が引き寄せられる。

  バチッ、バチバチ

 羽未の身体に衝撃が走る。でも、不思議と嫌ではない。


「あ、やばい。逃げなきゃ。」


 そう思い、羽未は走り出す。


「まってくれ、主。なにがあったんだよ。」「羽未様〜まってよ〜。」

 2体の使い魔が羽未を急いで追いかける。



 羽未と目が合った男はニヤリと笑う。

「見つけた。俺の『 相手』」

 そのことに羽未は気づいていなかった。


 ーーー

 羽未が家に帰宅すると、すぐに父親に「居間へ来い」と呼ばれる。

 羽未は突然の呼び出しに戸惑いながらも、片付けをしてから居間へ向かう。


 居間に入ると父、母、姉の琴葉(ことは)が座っていた。

 両親がいるのは理解できるが、なぜ琴葉がいるのかは羽未には理解できなかった。

 ごほん。と父が咳き込むと同時に話し出す。

「一条家の新当主が伴侶を見つけるために明日、集会を開くらしい。」

 琴葉は先に知らされていたのか、頷く。

 「え、なんで私が」と羽未が口を開く前に父が続ける。


「本当は琴葉だけを連れていくつもりだったが、年頃の娘全員を連れてこいとのことだ。羽未、お前もついてこい。」

 父が、「いいな?」と有無を言わせないような圧で聞いてくる。

 

 羽未は、逆らうと面倒くさくなると知っているので、従うことにする。

 本家に行くならご馳走を食べられるかもしれない。


 ーーー

 夜

 両親にバレないように、澪と玲と話すのが羽未の日常だ。

 羽未は、早速今日の出来事を相談する。

「今日、悪霊(イビル)に襲われた後に目が合ったの、あれ、なんだったんだろ?こう、バチバチって感じのやつ。」

 あの時の感覚が上手く言語化出来ず、曖昧な擬音語を使ってしまう。

 澪が、苦笑いで答える。

「羽未様〜。それってもしかして、『運命の相手』じゃないですか〜?なんてないと思いますが。」

 それを聞いた羽未と玲、特に玲は顔をしかめる。

「主様に男ができるなんて、僕耐えられません!」

「玲、大丈夫だよ。私に彼氏なんて出来るわけないし。あれも気のせいでしょ。」

 そう言いながら玲をなだめる。

 しかし、羽未も気のせいだと信じたいが、信じることが出来なかった。「あれは運命だ。」と、羽未の本能が叫んでいるように感じたからだ。


 そこからも今日あったことなどを話していたが、明日も早いため、もう寝ることにした。


 ーーー

 翌日、朝から着物の着付けが行われた。

 幼い頃から、ずっと母のように育ててくれたお手伝いの和佳奈さんがニコニコしながらヘアアレンジをしてくれる。

「羽未ちゃん、今日めっちゃ可愛いよぉ。なんか泣けてくるねぇ。あんな小さな子がこんなに立派になって。」

 和佳奈(わかな)の言葉を、羽未は少しくすぐったく感じる。

「和佳奈さん、褒めすぎ。でも、可愛くなったよ。ありがと!」

 そう和佳奈に言い、羽未は両親と琴葉の所へ向かう。


  (なかなか、今日の私可愛いじゃん。)と羽未は内心ニヤニヤしながら居間へ向かうと、豪華に着飾られた琴葉が目に入る。

「お姉ちゃん、さっすがぁ。似合ってんねぇ。」

 羽未は琴葉を茶化すように言う。しかし、それは自分との格差を感じた衝撃を誤魔化すためであった。


 そこからは車で本家へ向かった。

 車内は異様にしんと静まり返っていて羽未は居心地悪かったが、もう慣れっこだ。


 本家へ着くと、集会場まで向かう。

 本家はとても広く、迷子になってしまいそうだ。

 羽未は、なかなか来ることがないためついキョロキョロしてしまう。

「羽未、あまりきょろきょろしないで。」

 羽未は琴葉から注意を受ける。

 しかたなく、羽未は静かに両親の後をついて行くことにした。


 部屋には、おそらく羽未と同い年の人から、4歳ほど年上の22歳程の人が集まっていた。

  (まだ、新当主?はいないのだろうか)と羽未は、疑問に思いながら出された料理を食べる。

 どれも美味しく、つい食べすぎてしまう。

 羽未が夢中で料理を食べていると、空気がざわつき始める。

 なにかあったのだろうか。と羽未は思い前の方を見てみると、整った顔立ちの姉と同い年程の男性が座っていた。

 羽未は、「あの人だれ?」と琴葉にたずねる。

 すると、

「羽未、そんなことも知らないの?あの人は(なぎ)。一条凪様よ。私の同級生で、一条の新当主なのよ。今日は、凪の妻を見つけるための集まりなの。」

 と、少々貶されながら説明を受ける。

 羽未は、なぜだか目を引かれ凪を見ていると、目が合う。


 バチッ、バチバチ


 また、あの時と同じ衝撃が羽未を貫く。

 羽未は戸惑い、目立たぬ所へ逃げる。

 心配した澪に話しかけられた羽未の顔は真っ赤になっていた。


 ーーー

 凪視点


 昨日の夜見つけた「運命の相手」の正体を探るべく、一条一族の年頃の娘を全て集めた。

「キャー、凪様よ!」

「凪様、私とお話しませんか?」

 300人越えの女性で溢れた部屋は、凪が入るなり黄色い歓声で溢れかえり、近くにたくさんの女性が近づいてきた。

「こんにちは。今日は来ていただきありがとうございます。」

 最初は対客用の笑顔で相手をしながら、一人一人の目を見てみたが、衝撃が走ることはなかった。

(はぁ、面倒だ⋯。)

 少し外へ視線を外すと、同級生とその妹らしき人物がこちらを見ていることに気づいた。

 なぜだか同級生よりも、その妹の方に目が引き寄せられる。


  バチバチ、バチッ


 妹と目が合った瞬間、あの時と同じ感覚が走る。「あの娘( こ)が俺の「運命の相手」だ。」そう、凪は確信する。

(思ったよりも早く見つかってよかった。後で一柳琴葉の妹について調べさせよう。)

 そう、凪が考えている間に「相手」である妹はいなくなっていた。

 目が合った瞬間を思い出す。凪の顔がポッと赤くなる。

「きゃー、凪様の顔が赤くなってるー!」

「凪様、誰を奥様にするつもりなんですか?私なんてどうですかぁ?」

 などと、様々な方法で全方位から口説かれるが、凪の耳には入ってこない。

 凪は「相手」を見つけたことで心が満たされていたのだ。

(俺の妻、やっと見つけたぞ。絶対に俺のものにしてやる。)

 そう、凪は心に決めたのであった。


 そこからは、すぐに集会を解散した。周りの女性から様々なことを言われたが、凪は気にしなかった。

 そして、凪はすぐに従者に「一柳家の次女。一柳琴葉の妹」について調べさせたのだ。

 すると、衝撃的なことが分かったのだ。


 一柳羽実。一条家当主として、ほとんどの家のものについて知っていたつもりであった凪だが、一柳羽実については知らなかった。

 一柳家といえば、代々優秀な術者を生み出している一家であり、凪の側近である一柳楓雅(ふうが)もその一家の一人である。

 ほかにも、同級生で女性術者の中では上位である青の術者である。


 そんな、一柳家の一人である「一柳羽実」。彼女は、最弱の妖精が使い魔の第一学校万年Cクラスの 劣等生らしいのだ。

 凪はその情報に耳を疑った。なぜなら、初めて羽実を見たとき、彼女は人型と精霊といっても過言ではないような魔力を秘めた人型サイズの妖精を使っていたからだ。

 ただ、先程見た羽実にはそのような力を感じなかったのも事実だ。

 そこで、凪は疑問に思う。運命の相手の大雑把な条件についてだ。


 運命の相手。それは成人した男女で、好意を持つ特定の相手がそれぞれいない、同等程の魔力・能力を持つ二人に起こる現象だ。

 その二人は目が合うと、雷を打たれたような衝撃を受けるといわれている。

 運命の相手同士が結婚した「運命の夫婦」はとても相性がよく、生まれた子供はその二人を大きく上回るほどの強い力をもって生まれるといわれている。


 条件の一つ、「同等の魔力・能力」を持つ存在なんて異性に存在するとは、凪は思ってもいなかった。だからこそ、羽実を見つけたときは喜びと同時に驚きも降りかかってきたのだ。

 そして凪は一つの仮定を立てる。

「一柳羽実はなんらかの理由で実力を隠しているだけで、実は劣等生でも何でもない、一柳家の中でも屈指の実力者である」

 というものだ。

 おそらく、このことを他の誰かに話しても信じてはもらえないだろう。

 いや、信じてもらえなくていい。ほんとの羽実は自分だけが知っていればいい。などと、独占欲が湧き出てくる。

 しかし、まだ羽実を自分のものにすらしていない。


 凪は一人つぶやく。

「一柳羽実、絶対にお前を俺の嫁にしてやる。どんな手を使っても。」


  一方そのころ、羽実は、、

 感じる嫌な予感に身を震わせながら眠りにつこうとしていた。


第二話、読んでいただきありがとうございました!

凪と羽実がついに、出会いましたね!

書いていて、とってもウキウキしています。


これからも、少しずつ投稿していこうと思います!

リアクションや感想をいただけると、より励みになります。


では、また次回お会いしましょう~。

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