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うみの波が止むまで  作者: 蒲公英
第一章 出会い

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第一話

 通学路の桜の花が咲き乱れている。春の柔らかな風が暖かい。

 

 今日は高校三年生初日。一般の学校とは違いクラス替えなどのイベントも特になく、今まで通り穏やかな日常を過ごせるだろう。

 そして、卒業したら後方支援や企業に就職して、稼ぎ、ゆっくりと幸せな老後を使い魔たちと過ごすのだ!


 クラスメイトも特に変わった様子はなく、いつも通り席に着く。始業式で今日は午前中で終わるからか、若干空気が浮ついている。

 変わったのはクラスの場所と部屋の作りくらいだ。


 なにあれ?カメラ?こわ…。


「羽実、それから(みお)〜。おっはよ~。」

  結月(ゆづき)がいつも通り話しかけてくる。結月は初等部からの友達。ずっと同じCクラスだったこともあり、親友のような関係だ。

 おっとりしていて少し危なっかしいところもある、ゆるっとしたかわいい友達。

 なんか、妹みたいだなぁと思ってしまう。

「お〜、結月。おはよー。クッキー焼いてきたけど食べる?」

 羽実の趣味はお菓子作りだ。

 両親が羽実に興味をなくし邪魔者扱いをするようになってから最低限の食事しか用意されず、スマホは与えられていたため自分でレシピを調べて、こっそり使用人に手伝ってもらいお菓子やご飯をつくるようになった。

  材料は家だからかふんだんにそろっていたのは皮肉にも幸いであった。

「え、羽実のクッキー⁉絶対食べたい!みんなー、羽実がクッキー焼いてきてくれたよ~。」

 結月、大きな声でクラス中に広めなくてもいいよ…。すぐ無くなっちゃうから。

 まぁ、たくさん焼いてきたから大丈夫だと思うけど。

 羽実は少し不安を感じながらも、結月と話を続ける。


「え、マジで?一柳のクッキーマジで美味いんだよな。一つもらってもいい?」

「羽実ちゃんのクッキー。絶品だもんね。お店顔負けだよ。」

 羽実の机にはいつの間にかたくさんの人が集まってきていた。澪がご機嫌そうに羽実の周りをひらひら飛んでいる。


 澪。羽実が誕生の儀で生み出した、最初の使い魔だ。最弱と言われている蝶ほどの大きさの妖精だ。だが、羽実にとってはとっても大切な家族の一人、一体である。


 ガラガラと、ドアの開く音がする。

「始業式があるから、講堂に集まるように…、って、なんだこの状況?おいおい、何があったんだ?初日から問題とか勘弁してくれよ、、」


 去年までの担任が教室に入ってくるなりしかめっ面をする。

「結月、みんな、、先生困ってるからクッキーはまた後でね。」

 澪がはよ帰れとでもいうようにくるくると飛んでいる。

「ちぇー。後でくれよな」

「あ、ほんとだ。気づかなかった。ありがと、羽未ー」


 さて、講堂に移動するか。校長の話長いからな⋯。


 あー、家に帰りたい。でも、家は家でやだなぁ。



「ねぇ、ねぇ、羽未話聞いてる?」

 結月が、ムッとした顔で覗いてくる。結月の横から結月の使い魔、オコジョのわたあめが一緒にこちらを見ている。

 結月ってほんとに可愛いなぁ、わたあめ、もふりたいなぁ、、、って、


「あ、、な、なんの話?」

 羽未は慌てて結月に問いかける。

「三年生からは、連盟による視察があるってことだよぉ」

 え、なにそれ。私には関係なさすぎるでしょ。

 結月がキラキラした目で続ける。窓の隙間からの柔らかな春の風が結月の髪をふわっと撫でる。

「視察で優秀な人材を見つけ出し、スカウトすることもあるんだってー。颯真様とか、すぐスカウトされそうだよね」

 げ、颯真。あんな、外面だけ良いクズがスカウト?日本の終わりでしょ。

 羽未は呆れたように、結月に言う。

「颯真はないでしょ。てか結月、颯真に様つけなくていいのに。呼び捨てがあいつにはお似合よ。」

 そう言っても、結月は引き下がらない。

「いやいや、颯真様って呼ばないと失礼だよ。優しくて文武両道、魔力も学年トップレベル。あの一条華恋(いちじょうかれん)様にも引けを取らないとか。すごすぎでしょ。」

 羽未はなんだか腹が立ち、早歩きし始めた。

「そんな事いいから、早く講堂行こ。遅れちゃうよー。」


 颯真の話なんか聞きたくない⋯。

 一条?さんは四天王のひとつ、一条家の人よね。戦闘で有名な一条のご令嬢と張り合えるなんて、あの頃よりもずっと強くなってるんだなぁ。


 ───

  講堂に全校生徒約960名と先生約200名。計約1200名が、ひとつの講堂に集結している。

 それぞれが思い思いに話しているため、講堂内はざわついている。


 何年見てもこの光景、異様だな⋯。普通の学校と比べて校舎も異様に広いし、先生も多い。まぁ、護衛兼任の人もいるだろうし。訓練は危険なものが多いし、仕方ないか。そう、羽実はうなずきながら考える。


「起立、姿勢、礼」

 

 号令に合わせて一同が礼をする。さっきまでのざわつきが嘘のように、講堂内はしんと静まり返った。


「学校長挨拶」

 はぁ、校長の話長いんだよなぁ。と羽未は重くなったまぶたを擦りながら思う。

 眠そうな生徒も先生も見まわしたら思った以上にいる。


 校長は昔優秀な術者だったらしく、その頃のありがたぁいお話をしてくださる。だが、羽未たちは小一の頃からおなじ話を聞いているため、本気で聞いている人なんていないだろう。


 もう、十回以上同じような話を聞かされて、飽き飽きだよ⋯。

  羽未のまぶたはもう限界だ。そう感じた。


 寝るか。

 そのまま羽未は、結月にもたれるように眠りについた。


「うみ、羽未、」

 肩が揺さぶられる。


 あ、やばいかも、、。

 慌てて席を立つ。まだ校長の、話の途中だった。


 周りの視線が私に集まる。ソウマもこっちを見ている。終わった。恥ずかしくなり、急いで席に着く。

 幸い、校長は気づいておらず、周りのクスクス声だけ聞こえる。

 澪があきれたように羽実の肩に座っている。


 これ以上注目を集めないように、小声で結月に話しかける。寝てた私が悪いが、起こしたわけを聞かなければ。


「結月、なんで起こしてくれたの?びっくりして立っちゃったじゃん!」

 結月は、目を泳がせながら小声で話す。少しだけ顔が赤くなっている。

「校長の話がそろそろ終わりそうだから、起こした方がいいかなぁ〜って思って⋯。こんなことになるとは思わなかったんだよぉ⋯。ごめんね、羽未。嫌いにならないでぇー。」


 結月は、やっぱり天使である。うっかりしてたり、少しドジなとこもあるが、彼女の優しさが空回りして起きることがほとんどだ。羽未はうんうん、と頷きながら思う。

 あぁ、なんていい子なの⋯。恥ずかしさが消えていく。


 羽実は、つい、結月の頭を撫でてしまう。ふわふわと柔らかくさらさらした髪が心地よい。

「な、なに:(´◦ω◦`):、怒ってる?ごめんね⋯。」

「怒ってないよ。ただ、結月が可愛いなぁって思っただけ。」

 結月が照れてもっと顔が赤くなる。


 なに、かわいいかよ


「え、え、、褒めてもなんにも出ないよぉ。羽未、大好き〜」

 羽未と結月が小声でいちゃいちゃしていると、澪とわたあめがそれぞれの(あるじ)を小さくつつく。

 結月は気づいていないが、羽未は、はっとして周りを見回す。他のクラスメイトや先生と目が合う。

 あ、そろそろやばい。怒られる。

「そこ、、2人静かに⋯」

 元担任に気弱そうに注意される。


「「はぁい。」」

 と言っても話はもうそろそろ終わりそうだ。

 結月はしゅんと頭を下げる。

 ほんとに感情が忙しいなぁ。こんな純粋な子はもういないんじゃないか?と羽未はしみじみ思う。


 この後も担任発表や表彰式などがあったが、羽未はほとんど聞いていなかった。

 表彰式の時、周りや結月がキャーキャー言っていたため、おそらく颯真が表彰されたのだろう。


「起立、礼、着席。」

 やっと始業式が終わった。

 羽実は結月と教室に戻る。


「HRが終わったらどこ行く?羽未ー。」

 結月が、ニコニコと話しかけてくる。

 今日は用事がなかったはず。と羽未は考える。

「カラオケにでも行く?」

 羽未が答えると結月は「うん!」と返事をした。

 嬉しいのか、わたあめと一緒にぴょこぴょこしている。可愛い。


 雑談をしながら教室に戻っていると、意地悪そうに話しかけられる。

「おい、羽未」


 羽未はこの声に聞き覚えがあった。聞き覚えしかなかった。

「なに、颯真。あんたが私になんか用?」

 今日も男子や女子に囲まれている。

 羽未が颯真を睨むと、颯真は笑って口を開く。

「おまえ、今日色々やらかしたもんな。あんま、先生に迷惑かけるんじゃねーぞ。」

「これは、あくまで注意だぞ」と言いたげな雰囲気で颯真は羽未を煽る。

 背後から、圧を感じる。あっ、やばい。澪もあわあわとしている。

 自分がどうにかしないとやばいことになる。そう思い、言い返そうとしたが、結月が遮る。

「颯真様、握手してください!」

 羽未がギョッと目を見開く。颯真も想定外のことを言われたようで口を開けている。

「あ、ああ。もちろん。いつも妹と仲良くしてくれてありがとう。結月ちゃん。」

 おいおい、戸惑いが隠せてないぞ。と羽未は思う。ただ、背後の圧は消えたため、羽未はホッとした。


 教室に戻ると。ほとんどの生徒が席についていて羽未と結月を待っているようだった。

 教室でも、視線を集めてしまい二人は急いで席に着く。


 すぐに元担任、いや、担任が教室に入ってくる。

「ホームルームを始めるぞ。なにか知らせがある人がいたら手をあげてくれ。」

 担任は教室を見渡す。羽実が思いついたように手をあげる。澪が羽実をアピールするようにひらひら舞う。

「クッキー、私の机の上に置いておくので、後で好きにとってねー。」

 羽実がそういうと、結月が「私の分は?」とでも言いたそうに羽実を見つめる。

 羽実は目で「結月の分もあるよ」と伝えようとする。しかし、伝わっているかどうかはわからない。


「他になにかあるかー」


 そこからも課題の回収や明日以降の授業などの話があった。三年生になったからか、落ちこぼれのCクラスでも実践形式が増えるようだ。

 後方支援志望の生徒が多いからか、「なんで実践をしなきゃいけないの?」などの疑問の声が上がる。羽実もその中の一人である。面倒くさいからだ。


  「遊びに行くのもよいが、遅くなりすぎるのは注意しろよ。夕方になると悪霊(イビル)が多く湧き始めるからな。」


 そうくぎを刺され、3年C組は放課である。颯爽に教室をでて行く生徒もいれば、羽実の机にあつまってクッキーをもらっていく生徒もいる。


 羽実は結月とともに遊びに出かけた。二人はこれから昼ご飯を食べた後にカラオケに行くのだ。


 ーーー

  空が暮れはじめ、カラスが鳴いている。羽実は結月と別れ帰路につく。

  嫌な気配がする。後ろを振り返ると巨大な悪霊が姿を現していた。羽実は一瞬 ぎょっと顔をしかめるが、すぐに冷静になる。

  羽実はボソッとつぶやく。


「澪、玲、お願い。結界発動。」


  悪霊の周りに結界が張られ、人型の使い魔が現れる。

  羽未の肩に乗っていた澪が人型と同じくらい大きくなる。


第一話、読んでいただきありがとうございました!

どうでしたか?話が分かりにくかったらほんとにごめんなさい!!

でも、これからも読んでいただけると、どんどんわかるようになると思います。

これからも、引き続きよろしくお願いいたします!


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