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悪役令嬢と罵られ追放された私、前世のパティシエ記憶で伝説のチョコレートタルトを作り、いつの間にか国を救うほど成り上がってしまいました  作者: 緋村ルナ


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エピローグ

 セシリアのチョコレートタルトは、もはや一つの国の菓子という枠を超え、“幸せを一口で届ける魔法”として、異世界中の人々に親しまれていた。

 数年に一度開催される、大陸中の菓子職人がその腕を競う世界大会。セシリアは、そこで圧倒的な評価を得て優勝し、名実ともに「菓子の女王」という称号を手にしていた。

 しかし、そんな栄光の座にあっても、彼女の日常は何も変わらない。

 今日もセシリアは、王都の工房で、白いエプロンをきりりと締め、厨房に立っている。その隣には、最高のパートナーとなったエリオットがいて、少し離れた場所では、リゼとアランが新しいレシピについて楽しそうに言い争っている。カイは、工房の隅で腕を組み、その光景を静かに見守っていた。

「女王陛下、そろそろ次の会議のお時間ですが?」

 エリオットが、揶揄うような口調で声をかける。

「もう、エリオットったら。その呼び方はやめてちょうだい」

 セシリアは苦笑しながら、焼きあがったばかりのタルトの粗熱をとる。

「私は女王なんかじゃないわ。ただの、お菓子バカよ」

 そう言って、彼女は一切れのタルトを、傍らにいた見習いの少年に「味見してみて」と手渡した。少年は目を輝かせてそれを頬張り、満面の笑みを浮かべる。

 その笑顔を見て、セシリアもまた、心から幸せそうに微笑む。

 全てを失ったあの日、辺境の村で手にした一枚のレシピノート。そこから始まった私の人生は、想像もできないほど豊かで、甘いものになった。

 これからも、きっと色々なことがあるだろう。でも、私にはこの場所がある。信じられる仲間がいる。そして、愛してやまないお菓子作りがある。

 私は、私を信じてくれる人のために、甘さを焼き続ける。

 それが、悪役令嬢と呼ばれた私が、ようやく見つけた、本当の私の生き方なのだから。


 厨房に満ちる甘い香りは、今日もどこかで、誰かの心を温かく照らしていることだろう。

 物語は、ここで一度幕を閉じる。しかし、彼女の焼く甘い幸せの物語は、これからも永遠に続いていく。

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