表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢と罵られ追放された私、前世のパティシエ記憶で伝説のチョコレートタルトを作り、いつの間にか国を救うほど成り上がってしまいました  作者: 緋村ルナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/16

番外編3:王都のライバル職人、まさかの弟子入り

「勝負だ、セシリア・エインズワース!」

 王都中央工房に、怒鳴り声にも似た挑戦的な声が響いた。声の主は、アラン。かつて王都製菓組合の中でも若手のホープと目され、プライドが高く、試食会でセシリアに完膚なきまでに敗れた菓子職人だ。

 彼はあの日以来、打倒セシリアを目標に、血の滲むような努力を重ねてきた。そして、ついに納得のいく新作菓子を完成させ、セシリアにリベンジマッチを挑みに来たのだ。

「次の王室主催の品評会では、絶対に負けん!俺のこの『七色の宝石ジュレ』で、お前の鼻を明かしてくれる!」

 アランが自信満々に差し出したのは、様々なフルーツを使い、虹のように七つの層に分かれた、見た目も美しいジュレだった。

 セシリアは、そのジュレを静かにスプーンですくって口に運んだ。そして、ゆっくりと味わった後、にっこりと微笑んだ。

「……美味しいわ、アラン。あなたの努力が伝わってくる、素晴らしい味よ」

 予想外の褒め言葉に、アランは拍子抜けする。

「な、なんだと……!お世辞はよせ!」

「お世辞じゃないわ。特に、この柑橘の層の酸味の使い方は、私にはない発想だもの。勉強になるわ」

 セシリアはそう言うと、アランもびっくりの提案をした。

「ねえ、アラン。良かったら、うちの工房で働いてみない?」

「はあ!?何を言っているんだ!俺はお前のライバルだぞ!」

「ええ、もちろんよ。最高のライバルだわ。だからこそ、近くで一緒に切磋琢磨したいの。あなたのその素晴らしい才能と情熱を、もっと多くの人を幸せにするために使ってみない?私のチョコレートの技術と、あなた

 のジュレの技術を合わせたら、きっと誰も見たことのないような、最高のお菓子が生まれると思うの」

 セシリアの目は、真剣そのものだった。敵対する相手を打ち負かすのではなく、その才能を認め、共に高みを目指そうというのだ。その器の大きさと、純粋にお菓子を愛する心に、アランは完全に心を折られた。

「……あんた、本当に……どうかしてるぜ……」

 頭をがしがしと掻きながら、アランは顔を真っ赤にして叫んだ。

「わ、分かったよ!そこまで言うなら、弟子に……いや、働いてやる!ただし!いつか絶対にあんたを超えるからな!覚悟しておけよ!」

 こうして、王都一のライバル職人は、まさかの形で「ル・セシル」の仲間入りを果たした。工房では、セシリアとアランがお互いの菓子について熱く議論を交わす声が、日常の風景になったという。敵さえも味方にしてしまうセシリアの周りには、いつも甘い香りと、温かい笑顔が絶えることはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ