ルビのYet Another Tips ~()と《》は完全互換ではない~
以前にルビの使用上の問題点についてエッセイを書いたことがあったのですが。今回は、それとは別の点について気が付いたことがありましたので。
先日、小説を読んでいて、次のような感じのルビの問題がありました。人名にルビを振られることはよくありますが、ここでは()を利用した簡易ルビが使用されていました。
二見原莉々子(ふたみはら りりこ)⇒二見原莉々子
左側は小説上の記述で、それが表示されると右のようになります。この原因は、みなさんご存じのように「々・ヶ・ヵ・ッ」といった半記号のような文字が|を併用しない簡易ルビだと漢字として認識されずに、それ以前の部分はルビ対象文字列と認識されないためです。
これでは読みにくくなりますので、誤字訂正で頭に縦棒を補って報告しようとしたところ、変更後は次のようになってしまいます。
| 二見原莉々子(ふたみはら りりこ)⇒二見原莉々子
なんと、スペースのあとの名前の部分が無視されて、名字のルビしか振られません。|を併用しない場合は、スペース含めてルビとなるのは最初の例で明らかです。
※上記左側の部分は|と二見原の間にスペースをたくさん補っています。これは、|の後に()が続く場合、()の直前に|を入れるというエスケープが機能せず、可能な最大限遠い|が選択されてしまうからのようです。
さてこれは困ったとなるところですが、ヘルプにある正式ルビの《》を使用すれば
| 二見原莉々子《ふたみはら りりこ》⇒二見原莉々子
と正しく表示されます。
・ルビを振る文字列に々を含むなど、|を併用する必要がある
・ルビ文字列に空白が含まれる
の場合は、()でなく《》を使用「しなければならない」ということです。
ちなみになろうのルビのガイドでは、|と《》を併用するのが正しいルビで、ルビを振る文字列が漢字、ルビ文字列がひらがなカタカナの場合のみ()の簡易ルビを使用できるとありますが、実際には上記の例外的な場合を除いて、()と《》はほとんど同様に使用できます。例えば《》でも簡易ルビを使用できますし、()と|を併用してもたいていの場合は問題ありません。
※左側の表示を見栄えよくするための必要スペースの数は、()を使用する場合と《》を使用する場合で異なっています。()の場合は、ルビ対象文字列が10文字以内という制限を利用するためなのですが、《》の場合はまた違った制限になるようです。
なお、気が付いたことがもう一つ。ルビを振る文字列は「漢字」と認識されていますが、実はこれには英文字を含まれるようです。英文字は半角も可、です。
BL本(うすいほん)⇒BL本
BL本《うすいほん》⇒BL本
BL本(うすいほん)⇒BL本
もちろん、ひらがなに加えてカタカナもルビ対象文字にはなりません。
エロ本(うすいほん)⇒エロ本
エロ本《うすいほん》⇒エロ本
便利なルビですから、なるべく意図通りの形で振られるように、気を付けたいものです。




