モンスター VS 見知らぬ人達(前編)
「パパ。起きて。
もう。9時(21時)よ。」
嫁がユサユサと身体を揺らしながら起こしてくる。
「おはよ。」
僕は、嫁に返答を返しつつ辺りを見回す。
結界の中は、焚き火のお陰もあって明るくて暖かいが……
結界の外側の、僅かに焚き火の灯りが届いている場所を見ると、うっすらと白くなっている。
どうやら雪が降り始めたらしい。
「雪、降ってきたんだ。」
「うん。積もらない事を祈るばかりだよ。」
僕の呟きに嫁が苦笑いしている。
「雪が積もっても、タイヤをクローラーに履き替えて、商人や運び屋。狩人や兵士達が移動したりもするらしいが……
人の移動はかなり減るらしい。
この世界では、もともと、モンスターや盗賊等のせいもあって、町や村の外を【人外地】と呼び、一部の人間を除いて、殆ど、町や村を出ないから、【人外地】を移動する人が圧倒的に少ないらしいから……
この状況だと、マジで人【人外地】は人が居ない状況になると思う。
折角、兄さんの異能のお陰で、金の算段はついたのに、
まだまだ、アマトティちゃんと相方さんの欠片を探す旅は出発する前段階で足踏み状態。って感じだよ。」
ゼロヒト君が苦笑いしながら話す。
「一難去って、また一難。って感じやね。
まぁ、成るようにしか成らんし、やれる事をやるしかあらへんのちゃう。」
「だね。」×2・「だな。」・「じゃな。」
ヨロスゴちゃんの言葉に皆が頷く。
「腹減った。」×2
遊び疲れたのか眠っていたコブとドタが起きてきた。
「ほな飯にするか。」
ヨロズコちゃんが、コブとドタをモフりながら笑顔で言った。
■■■
「思ってたよりも雪が積もらなかったのは良かったけど……地面が凍ってるから、滅茶苦茶、滑るよ。
これ……下手に動くとヤバくない?」
「姉さんの言わはる通りや。
この道の状態やと、靴にアイゼンを付けやんとアカンやつやで。」
「ある程度、氷が溶けるのを待つべきだな。
コブ。ドタ。悪いが、もう1回、結界を張ってくれ。」
「クルサル。フォロー頼む。」×2
「了解。
『持続設定』×2」
「クルサルさん。
ウチにも『持続設定』を掛けて。
風魔法で薪割りして、薪割りした薪を念力を使って結界の中に入れたいねん。」
「了解。
『持続設定』。」
「主達は、本当に数日前に会ったばかりなのか?
息がピッタリじゃぞ。」
僕達のやり取りを見ていたアマトティちゃんが目を丸くしている。
「わたしとパパは10年以上、一緒だよ。
他の人とは、アマトティちゃんの言う通りだけど……
命を預けあってる仲間だからじゃないかな?」
「それもあるとは思うけど……
適材適所がカブってへんお陰で、何となく役割分担が決まってもうたからちゃう?」
「あっ。それ、あるかも。」
「せやろ。」
「そういうものなのかのう…‥
ならば、妾も役割とやらが欲しいぞ。」
「子供の仕事は食べて寝る事。
後、これからも我が儘を控えてくれてれば文句はない。」
「せやせや。
イラン事、考えんでも良え。」
「そんなものなのかのう……」
嫁とヨロズコちゃんの言葉に、アマトイティちゃんが不服そうな顔をしていた。
◇◇◇
【ドォォォォーン】・【ドォォォォーン】
【ドォォォォーン】・【ドォォォォーン】
【ドォォォォーン】・【ドォォォォーン】
【ドォォォォーン】・【ドォォォォーン】
【ドォォォォーン】・【ドォォォォーン】
【ドォォォォーン】・【ドォォォォーン】
【ドォォォォーン】・【ドォォォォーン】
【ドォォォォーン】・【ドォォォォーン】
【ドォォォォーン】・【ドォォォォーン】
結界の外から轟音が聞こえてくる。
「皆、携帯電話やタブレットを見てくれ。
音の出所の状況を【空の目】で見れるようにした。」
ゼロヒト君がヒソヒソ声で話す。
◇◇◇
林道のような感じの道を、
2人乗りの四輪バギー(クアッドバイク)のような乗り物を先頭に、2トントラックのような乗り物。ピックアップトラックのような乗り物、2人乗りの四輪バギー(クアッドバイク)のような乗り物が、一列になって走っている。
その4台の車列を、子供の時に見た恐竜図鑑に出てくるディノニクスのような生き物の群れが追いかけている。
次々に火を吐くディノニクスのような生き物の群れの攻撃を、最後尾に位置する2人乗りの四輪バギー(クアッドバイク)のような物に後ろ向きに座ってるローブを来た者が、結界らしき物を展開しながら防いでいる。
そして、1つ前を走るピックアップ トラックのシングルキャブのような場所に取り付けられている、サンルーフから顔を出している大柄な男が、ライフルのような物から水の玉が放たれ、ディノニクスのような生き物の群れへ攻撃している。
ディノニクスのような生き物の群れは、水の玉が着弾しそうになると、林道のような道を外れる事で、その攻撃を回避し、
水の玉が、地面に着弾するやいなや、林道のような道に戻って、再び、4台の車列を、火を吐きながら追いかける。
「タイヤをクローラーに履き替えてはったんが功を奏しはったんやろね。
スタックをしはりそうな気配はなさそうや。
せやけど……
タイヤをクローラーに履き替えてはったせいで、時速30キロも出てはらへんように見える。
ジョブ補正を【踏破者】に繋いで得た情報やと、
あのリトル アース ドラゴンちゅう、恐竜のようなモンスターは、
風魔法と火炎魔法を操りはるだけやのうて、スピードと持久力の両方とも高いレベルみたいや。
せから、このままやったら、
あのクアッドや車みたいな物に乗ってはる奴等が、リトル アース ドラゴンから逃げ切りはるは難しいかもしやんな。」
ヨロズコちゃんが、携帯電話の画面を見ながら、ボソッと呟く。
◇◇◇
「可哀想だけど……町や村以外は人間だけの場所じゃないんでしょう?
襲われてるのが知り合いとかなら助けに行くけど……そうじゃなければ、わざわざ危険を冒してまで助ける必要もないんじゃない?」
「せやな。
ラノベや漫画の中の主人公とかやったら、ここで助けはってハーレム要員ゲットなんて事になりはるんやろうけど……
現実問題、ジョブ補正を受けてるとはいえ、ゼロヒトさんよりも、一回りぐらい大きい、火を吐く怪獣に立ち向かうとか怖いすぎやわ。」
「ハーレム要員ねぇ……
男女混合のチームに見える。
これがマンガの世界だったら……
ボ○イズ ラ○の要素も入る。って事?」
「いやいや。
男の方は、主人公に嫉妬して闇落ちキャラになりはるか、
もしくは、主人公のライバル 兼 親友。もしくは子分的な存在や引き立て役とかにはるかのどれかちゃう?」
「そういう意味ではドラ○ン○ールのベ○ータは凄いよな。
一人で子分的な立ち位置以外は、全ての要素を兼ね備えているもんな。」
嫁とヨロズコちゃんの会話にゼロヒト君が加わる。
「はぁ……主達が何を話しておるのか分からぬが……
分からぬなりに、どうでも良い事を話しておる事ぐらいは分かる。
死ぬか生きるかの瀬戸際の者達を見ながら、どうでも良い事を話すのは……
不謹慎じゃなかろうかのう……」
アマトティちゃんが、不機嫌そうな顔で嫁達に苦言を呈する。
「そんな状況やからや。
確実に助けられるか?って聞かれはったら、無理。ちゅうしかあらへん。
せやけど……上手くいけば、助けられるかもしやん。
そういう状況や。
現実逃避の1つもしたくなるわ。」
「だな。
兄さんの異能を、あいつ達に掛けてやれば、安全に救えるだろうな。
ただ、あいつ達が、俺達を、この森に追放した糞女と繫がっている可能性も否定する事が出来ない。
だから、もし、あいつ達を助けたばっかりに、
俺達を、この森に追放した事で満足しているであろう、糞女を刺激する事になるかもしれない。って考えると、
あいつ達を助ける事を自重せざるを得ない。
とはいえ、俺も人間だ。
助けられる命を見捨てるのは心苦しい。
しかも、リトル アース ドラゴンの群れが、標的を俺達に変えるかも?って考えると、
リトル アース ドラゴンの群れから目を離す事も出来ない。
こんな状況、酒が飲めるもんなら飲んで気を紛らわせたい。
勿論、この状況で、ヘベレケに酔っ払う事なんて、流石に無理なのは分かってる。
だから……現実逃避ぐらい、大目に見てはくれないかい?」
ジト目で見る、アマトティちゃんに、
ヨロズコちゃんと、ゼロヒト君が、溜息をつきながら泣きを入れる。
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