寒波の中の移動①
『出るにゃ。
朝、言った隊列で行くにゃよ。』
時刻は17時。
ケトさんの合図で車列が動き始める。
16時に晩御飯を取り始めるまでは寝かせて貰ってたので頭がスッキリとしている。
『悪ガキども、人外地はモンスター氾濫に関係無く危険な場所だ。
しかも、明日からは極寒の森や山の中の移動となる。
なので、今までと同様、勝手な事をしてはぐれたら探さずに置いて行くから、そのつもりでいるんだよ。』
『チナの言うのは脅しじゃない。
馬鹿な奴の為に皆を危険に晒すつもりはないからね。』
チナさんとユバリスさんが、ピリピリした空気が和らいできたの察したのか、浮かれ始めてきた子供達に釘を差す。
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『今日は、ここまでにゃ。
日が昇るまでは各々の乗ってる乗り物で待機にゃ。
お義父様。お義母様。同行するにゃから、日が昇って、そこの村の門の扉が開いたら夕方まで集会所を借りられにゃいか交渉に行くにゃ。』
時刻は6時。
ケトさんの指示を受けて車列がゆっくりと止まり始めた。
アウナガ村では、周辺の村々を含めたフトバル公爵様へ税として納める製粉した小麦粉の袋が集会所に保管されていた為、村の外での野宿する事になったらしいのだが……この村はどうだろうか……
「つうか、この村はアウナガ村と違うてお堀すらあらへんな。
アウナガ村が、この辺りでは町のような役割を持ってはる大きな村。ちゅうのも嘘やなかったみたいやね。」
ヨロズコちゃんが目を丸くしながら外を見ている。
「だからこそ、大量の酒樽や茶葉の入った木箱。タバコ葉や巻紙ペーパーの入った木箱等といった嗜好品が買えたんだと思うぞ。
小さな村ならば……時期によっては食料品の補給すらままならない事もあるらしいからな。」
ヨロズコちゃんの話を聞いたゼロヒト君が情報を共有してくれる。
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「集会所が借りられて良かったね。
これでバスに乗ってる人達も、ちゃんと横になって休めるわね。」
集会場に移動している人達を見ながら、嫁がホッとした顔で話す。
時刻は8時。
僕達は集会所の横の広場に居る。
トラックとピックアップトラックの運航メンバーはコンテナハウスやコンテナ。幌等の上に設置しているルーフテントの中で休息を取り、
ユバリスさん達は、僕達のコンテナハウスで休息を取り、
その他のメンバーが借りられた集会所の中で雑魚寝となる。
因みに、集会所の人達を纏めるリーダーはコンピさんが任命された。
「せやね。
せやけど……明日からは暫くの間、森や山の中で野宿になるらしいやん。
小さい子供やお年寄りは体力的にも厳しいんとちゃうやろか……」
ヨロズコちゃんが心配そう顔で話す。
「兄さんの異能を教える訳にはいかない。
可哀想かもしれないが、そこは自分達で頑張って貰うしかないな。」
「まぁ……そうなんやけどな。
心配ぐらいしても罰は当たらへんやろ。」
ゼロヒト君の返答を聞いたヨロズコちゃんが、頬を膨らませながら抗議していた。
◇◇◇
「フトバル公爵領軍の輜重部隊が使ってる別ルートの方が、フーセの避暑街に行くメインルートみたいだな。
でっ。俺達が行くルートはサブルートは、フーセの避暑街に着くまでに補給等が出来るような村が無いのと、夜は悪霊等が出る場所がアチコチにあるというデメリットが有るかわりに、
砦等が無いので一般車両が通行止めになる場所での待ち時間時間や、身元調査等に時間を取られたりする事が無い為、自分達のペースで行軍が出来るというメリットがあるみたいだな。
因みに、どちらのルートでも、今のところ盗賊団の通報とかは無いらしいぞ。」
ゼロヒト君が情報を共有してくれる。
「なるほどね。
モンスターと大自然の脅威と幽霊への対策をしておけばなんとかなりそう。って事だね。」
「そうだな。
身元調査が無いルートを選んだのは、ニンスキ村の特別保護院やテイヒィー団の人の中に亜人や亜人と人間のハーフが居る事への配慮なんだろうが……俺達にとってもツイてたな。」
ゼロヒト君が嬉しそうな顔で補足情報を入れた返答を返してくれる。
「確かにね。」
僕はゼロヒト君の言葉に頷く。
「ラジオ放送を受信した。
スピーカーにする。」
ゼロヒト君が、そう言いながら携帯電話を操作し始めた。
◇◇◇
『ギルドのアタルトイ支部です。
タゴクビ盆地 及び ミンボン山脈の北東部 及び キトナガエ帝国のフトバル公爵領の西部のミンボン山脈の裾野の森や高原に今晩から暫くの間、寒波が襲うとの予報が出ました。
具体的に寒波の影響が激しいと予想されている場所は、
タゴクビ盆地 全域。
及び、ミンボン山脈のメジコ族自治区。ピンワ族自治区。コクハラ族自治区。
及びフーセの避暑街と、その周辺の森や高原やハツイロ砦周辺。
及び、ミンボン山脈のメジコ族自治区。ピンワ族自治区。コクハラ族自治区。
となります。
該当地域にお住まいの方や、該当地域へ向かう方は、くれぐれも万全の防寒対策をお願い申し上げます。
以上となります。』
ラジオ放送は、僕達の向かう場所に寒波の襲来がある事を告げた。
◇◇◇
『ケトにゃ。
出発の前にアタシとバスコとダガマのクアッドにはキャノピーやハンドルカバーを装着して万全の防寒対策をするにゃので出発を延期したりはしにゃいにゃ。
運行チームの皆は、まだ、起きてるにゃろ?
イナノとズカワは予定していた通り、ピックアップトラックの幌に乗っての移動にはにゃるが……
防寒対策の為にクァッドに乗る時の装備をしておくにゃ。』
『了解。』×9
ケトさんの指示にドライバー達が返答を返す。
■■■
『出るにゃ。
昨日と同じ隊列で行くにゃよ。』
時刻は17時。
ケトさんの合図で車列が動き始める。
「クアッドに、キャノピーを取り付けはるって言ってはったから、どんな感じになりはるんか?って思ってたんやけど……
なんや、ピザ屋さんとかの配達用の屋根付きバイクみたいな感じになりはったね。」
「俺達の世界の配達用の屋根付きバイクと違って、スライムの皮で作ったプラスチック製のカーテンみたいな感じの物を左右に取り付けている。
だから、見栄えはアレだが……
走行風だけでなく、横風や雨や雪等をシャットアウトしてくれる優れた装備なんだ。
更に、俺達の世界の水冷服の上位置換ともいえる、服の中に通したチューブのような物に入れた水をお湯にしたり凍らせたりする事で体感温度を調節する温冷水服と呼ばれる物を、クアッドに乗ってるケトさん達は元々、着込んでいる。
だからこそ、エアコンの用な物がないクアッドで極寒の森や高原を移動する事が出来る。ってケトさんは言ったんだと思うぞ。」
笑いながら話すヨロズコちゃんの話を聞いたゼロヒト君が諭すような口調で話す。
「そうなんや……
見た目はアレやけど……バカに出来ひん装備なんやね。
ケトさん達の前で笑ってしまう前に、ゼロヒトさんの話を聞いといて良かったわ。」
ヨロズコちゃんが苦笑いしながら話す。
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『ケトにゃ。
後10分ぐらい走れば森に入るにゃ。
森の街道の広さは2台のトラックやバスがギリギリすれ違えるぐらいの道幅にゃ。
状況次第では待避所までバックで戻って貰う事もあるので、そのつもりでいてくれにゃ。』
『了解。』×9
時刻は20時。
ケトさんの指示にドライバー達が返答を返す。
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