契約(前編)
「寝床は、コブとドタの結界魔法と、
姉さん達が持ってはったエマージェンシー シートを張り合わせてなんとかなった。
そんでもって、夕飯は、某コンビニのカレーライスにサラダにペットボトルのお茶。
魔法が使われてる寝床や、
着てる服が制服とジャージってとこや、
一緒に居はるんが先刻、会ったばっかりの人達ってとこや、
カレーライスやサラダが手作りやない。
ちゅう事さえ気にしやんかったら……
兄ちゃん達とキャンプに来たんと変わらへん感じになったな。」
「その性格、羨ましいな。」
「分かるわぁ。その気持ち。
でも、ドンヨリした感じよりは良いんじゃない。」
カレーライスをご機嫌な顔で頬張るヨロズコちゃんを見ながら、苦笑いしているゼロヒト君を見ながら、嫁が大笑いしている。
「ノコギリとか、手斧があれば、尚、良しやけど……
そこは、ウチの風魔法でスパスパ、木切れば何とかなるし、良しとしくか。」
ヨロズコちゃんが、ご機嫌な顔で話す。
「それよりも……明日から森の中を歩くのでしょ?
アラフォーの身体にはキツすぎる。
大丈夫かな?」
「だよな。
俺も30代前半だけど……自信がない。」
「僕も含めて、10代後半から20代前半の頃に戻す?」
嫁とゼロヒト君の話を聞いた僕は、自分達の肉体の原状を代える提案をした。
「パパは20代後半ぐらいに戻るのが、丁度、良いんじゃない?
じゃなきゃ……ヨロズコちゃんよりも年下に見られかねないぞ。」
「なら、俺と兄さんを20代後半。
姉さんを20代前半に戻してくれ。
若い奴ばかりだと思われて舐められても困るからな。」
「了解。
じゃあ……戻すね。
【任意設定】×3」
僕ら、ゼロヒト君の勧めに従って、皆の肉体年齢を変えた。
「クルサルさん……若返りすぎやろ。
めっちゃ、失敗してはるやん。」
「いや。あの頃のパパはこんなものよ。
30代後半から一気に劣化したのよ。」
大笑いしているヨロズコちゃんを見ながら、嫁が苦笑いしながら話す。
「さよか。
なんか……ごめんな。」
ヨロズコちゃんが、そう言いながら、笑い続けていた。
■■■
「急に薄気味い感じになってきはったな。
ジョブ補正を幽霊とかも追っ払える【賢者】に切り替えるわ。
てか……多めに薪を用意してて良かったわ。
これ……火、絶やしたら絶対アカンやつな。
てか……恥ずかしいから、森の中で用を足しはるとか無しやで。
用を足しはる時は、エマージェンシー シートで作ったトイレを使うてや。」
ヨロズコちゃんがボソッと呟く。
時刻は21時。
焚き火の灯りが届かない場所は、3時間ぐらい前から漆黒の闇に包まれていたのだか、コブとドタが結界を張ってくれいる、お陰なのかは分からないが、特に気になってなかった。
ヨロズコちゃんが急に変な事を言い出したからなのかもしれないが、漆黒の闇が急に恐ろしくなってきた。
「クルサルのサポートのお陰で、
特別な獣や、怨霊すら、簡単には壊せないような結界を張れてるわ。
この結界の中に居れば安全よ。」
「連中に、この結界を破れる力はないぞ。」
コブとドタが、そう言いながら、漆黒の闇を見つめている。
◇◇◇
「幽霊と戦えて、半球睡眠が出来るので睡眠の必要のない、俺とヨロズコで火の番をするから、兄さんと姉さんは寝たほうが良いんじゃね?」
ゼロヒト君が、そう言いながら、漆黒の闇をジッと見ている。
「ククククククク。」・「フフフフフフ。」
「ブヒャヒャヒャ。」・「ワッハハハハ。」
「オーイ。オーイ。」・「ビェェェーン。」
「ククククククク。」・「フフフフフフ。」
「ブヒャヒャヒャ。」・「ワッハハハハ。」
「オーイ。オーイ。」・「ビェェェーン。」
「ククククククク。」・「フフフフフフ。」
「ブヒャヒャヒャ。」・「ワッハハハハ。」
「オーイ。オーイ。」・「ビェェェーン。」
漆黒の闇の外から色んな声が聞こえ始めた。
気がつけば、コブとドタが張ってくれた結界を多くの人が取り囲み……って……絶対、人じゃないよな?
てか、焚き火の火の灯りの外側に居る人達が、何故、見えてる?
こんなの……絶対におかしいな。
「魔法で無理矢理、寝かせたろか?
流石に、この状況で寝るんは無理やろ。」
「お願いします。」×2
僕と嫁はヨロズコちゃんに頭を下げる。
「『自動設定』×18。
皆に、自動設定を更に3つ程、追加で重ね掛けした。
これで5回は死んでも問題無いよ。」
「兄さん。ナイス。
これなら、幽霊達と殺り合う事だって出来そうだぜ。」
「姉さんと、クルサルさんを寝かしつける前に、
幽霊達に成仏して貰とこか。」
ゼロヒト君と、ヨロズコちゃんが、そう言いながら、幽霊達を睨み付ける。
◇◇◇
「面白き奴等じゃのう。
主達に、この箱の中に入った妾の欠片の所持者にしてやろう。
妾と相方の欠片を、12個ほど集めれば、この世界は再び、開いた世界になるであろうぞ。
但し、妾の欠片を受け取った事を、この世界が開く事を良く思っていない者達に知られれば……
確実に命を狙われるじゃろうがな。」
幼女の幽霊が、笑いながら、小さな箱を結界の外に置いた。
「嘘はついてないようだが……
この世界が開く事を良く思っていない者達。ってのは、具体的に誰なんだ?
それと……その小さな箱に入ってる、あんたの欠片とかいうのを持ってるがバレないようにする方法はあるのかい?
後、その箱以外の、あんたや相方さんの欠片の入った箱。ってのは……何処にあるんだい?」
「この世界が開く事を望んでおらぬ者とは、
【虹を産んだ者達】と8人の神仏の代理人。それと……
主達の世界から召喚され、権力者にのし上がった者達じゃ。
まぁ、妾は、この箱の中に閉じ込められておる欠片の1つ、故……
相方の欠片どころか、妾の他の欠片の近況までは詳しくは知らん。
ただ、妾と同じように、箱の中に閉じ込められておる事を信じたいところじゃな。
間違っても、奴達の誰かを所持者として認めた欠片が居る事は無い。
そう願うておる。」
幼女は、そう言うと屈託のない笑みを浮かべた。
「その小さな箱に入ってる、あんたの欠片を持ってるの事がバレないようにする方法は?
それと……その箱以外の、あんたや相方さんの欠片が入った箱は、何処にあるんだい?
質問に答えてくれないかな?」
ゼロヒト君がジト目で幼女に話しかける。
◇◇◇
「はぁ……せっかちな奴じゃな。
原則として、妾や相方の欠片を所持する事が出来るのは、管理人以上の権限を持つ者。
もしくは、妾や、妾の欠片や、相方の欠片が認めた特異点のアサグのみじゃ。
でっ。妾が知る限りでは、この世界に管理人以上の者は居らぬ。
じゃが、他の欠片が、その娘以外の特異点のアサグに身を委ねておるか否かについては、妾にも分からん。
じゃが、もし、妾が、その娘に身を委ねる事が出来れば、
他の欠片が、その娘以外の特異点のアサグに身を委ねておるかについて、ある程度じゃが分かるようになる。
じゃが……あくまでも、ある程度。
妾以外の欠片が、何時、何処で、誰に身を委ねたのか。
その程度しか分からぬ。
つまり、もし、そのような欠片が居るとして、今、現在、何処に居るのかは不明じゃ。
勿論、それは、妾以外の誰かに身を委ねておる欠片達が居たとしても同じじゃ。
まぁ……探すのが困難という意味では、誰にも身を委ねずに、閉じ込められたままの欠片等にも言えることじゃがな。
何故なら、妾が、その娘に身を委ねたとしても……
ある程度、近くまで行かねば、妾は、閉じ込められたままの欠片達を認識する事が出来ぬからな。」
幼女は、そう言いながら、嫁とゼロヒト君をを交互に見つめている。
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