合流(前編)
「モンスターの一部が森に帰り始めたぞ。」
ゼロヒト君が嬉しそうな顔をしながら情報を共有してくれる。
時刻は7時。
そろそろ、休憩に入ろうとしている時間だ。
ゼロヒト君の話を聞いて【空の目】を確認すると、
ミンボン山脈の樹海から一斉に出てきたモンスター達が、草食系のモンスターを先頭に幾つかの群れに分かれてキトナガエ帝国の西都や、その周辺の村々を目指していたのだが……
一部の群れが崩壊し、ミンボン山脈の樹海に戻ろうとしているのが見えた。
「それは良かった。
ユバリスさん達も、近々、ニンスキ村に戻れそうだね。」
嫁が嬉しそうな顔で話す。
「どうだろうな。
通常、モンスター氾濫が起きた地域は、
取り残されていた人達の移動や、
調査団や、その拠点で働く人や、彼等に水や食料。武器等の物資を運ぶ人等を除いて、
安全の確認が取れるまで戻るのを禁止されるらしいんだよ。
今回は、どの程度で、その規制が解かれるかは分からんが、
今までの事例では、平均で2~3カ月間ぐらいの期間は規制が解かれなかった事を考えると、
今回も、最低でも、それぐらいの期間は村へ戻れないんじゃないかと思うぞ。」
ゼロヒト君が淡々とした口調で話す。
「ニンムシュや【オピオタウロスの荷車】やギルドは、ユバリスさん達を含めた、あの森の住人達の安全よりも、ウミミナちゃんやウチ達の殺害や捕獲を優先しはってるみたいやん。
せやから、今回は、今までの事例とかアテにならへんのとちゃう。」
「確かに、その可能性を否定する事は出来ねぇな。
ただ、雪深いフーセの避暑街に避難する事になっているユバリスさん達は春までは動くに動けねぇだろうから、ギルド等の方針がどうあれ2~3ヶ月は避難生活になるだろうな。」
ヨロズコちゃんの指摘にゼロヒト君が苦笑いしながらもホッとする情報を共有してくれた。
■■■
「パパ。起きて。」
時刻は16時。
嫁がユサユサと起こしてくる。
「配給だよ。
今日も炊いた米に野菜や干し肉の入れたスープよ。」
ミンさんが、そう言いながらスープの入った水筒を配ってくれる声が聞こえてくる。
「明日の朝にはアウナガ村に着くわ。
そこでケトさん達のご両親達を待つ事になるわ。」
「了解。」×2
チナさんの言葉にゼロヒト君とヨロズコちゃんが頷く声が聞こえてくる。
「出発は1時間後よ。
それまでに出発の準備を終わらせててね。」
ルーフテントの窓の外見ると、チナさん達が移動して行くのが見える。
■■■
「しょっぽい柵やね。
お堀が有るとはいえ、こんなんで大丈夫なんやろか。」
ヨロズコちゃんが、アウナガ村を取り囲んでる堀と、2メートルぐらいの丸太の柵を見ながら心配そうな顔をしている。
時刻は7時。
僕達は、何のトラブルもなくアウナガ村に着いた。
「本人達が、これで良い。って思ってるならば、それが正解なんじゃない?」
「キトナガエ帝国の西都とかは、異世界物のマンガとかに出てきそうな立派な街壁だったが……
メンテナンスとか大変そうな気がするし、小さなな村ならば、これぐらいが丁度良いのかもな。」
ヨロズコちゃんの言葉を聞いた嫁が身も蓋もない事を言い、
ゼロヒト君は世知辛い世の中を想像させるような見解を話す。
『こちら【ドルオ&メデコ商会】のメデコ。
チナミン商会の旗を視認する事が出来た。
我々は、【ウツスム商会】の者と跳ね上げ式の橋の前に居る。
そのまま、直進してくれ。』
『チナミン商会のチナです。
【ドルオ&メデコ商会】の旗を確認しました。
そちらに向かいます。』
無線機を使ってコンタクトを取ってきたメデコと名乗る女の人にチナさんが返答を返す。
『こちらケトにゃ。
お義母様。アウナガ村に着くのが早すぎにゃいか?』
『ケントウの休暇が取り消しになっちまったんだ。
だから、一刻も早く、あんた達に会う為に、旅路を急いだんだよ。
そのお陰でクタクタだよ。
けど、まぁ……出発は夕暮れなんだろ?
だから問題ないさね。』
会話の流れからメデコと名乗る女の人がケトさんのお義母さんだと言う事が分かった。
◆◆◆
【ドルオ&メデコ商会】と【ウツスム商会】と合流してから30分以上が経った。
【ウツスム商会】が用意してくれているバスに乗客として乗せて貰っていないメンバーと、【ドルオ&メデコ商会】と【ウツスム商会】で、夕暮れからの行動予定の打ち合わせや、
バスの定員の兼ね合いで、バスに乗れなかったピックアップトラックの荷台に乗っていた子供達の中の年長組の8人の男女の割り振りを決めるミーティングが行われる事になった。
また、僕達のトラックのコンテナハウスに乗っているメンバーは代表者のユバリスさんだけがミーティング参加し、
その他のメンバーは、コンテナハウスの中で乳児や幼児達のお世話を続けてくれている。
「取り敢えず、アタシもバスコとダガマと一緒にクアッドに乗って先導するにゃ。
お義父様。お義母様。シラトラ。アオタツ。
子供達を頼むにゃ。」
「分かった。
無理はしないでおくれよ。」
「頼むわ。」
ケトさんの提案にメデコさんとチナさんが頷く。
「了解にゃ。」
ケトさんが笑顔で頷く。
【ドルオ&メデコ商会】と【ウツスム商会】は、3台のトラックとバスとクアッドが各々1台づつの構成で、アウナガ村にまで来ていた。
ケトさんが、そのクアッドに乗り先導をし、
僕達のトラックのコンテナハウスに乗っていたケトさんの子供達が【ドルオ&メデコ商会】のトラックに移動する事が決まったらしい。
◇◇◇
「ドルオだ。
あれが、フトバル公爵様から預かった君達に寄付する為のトラックになる。
ここから、フーセの避暑街まで何もなければ5日で行けるが、2日目からは森林地帯に入るので道端が狭くなる。
更に森林地帯は雪が降っていると思われるし、
雪が降ってなくても日が沈んでいる間は道が凍ってると思われる。
そんな道を運転する事ができるドライバーの確保は出来ているのか?」
「ご心配には及びません。
この者達(ロン & スブン)は、今回、諸事情でピックアップ トラックで移動させておりましたが、
この者に関しましては悪路でトラックを走らせる運転技術を持つ、優秀な運び屋なのです。」
チナさんがそう言うと、ロンさんとスブンさんを見る。
「そうか。
それなら安心だ。」
ドルオさんがホッとした顔で頷く。
◇◇◇
「バスに乗れなかった子供達の内で、2人程、そちらのトラックに乗り込んで、お手伝いさせて頂きたいのですが、宜しいでしょうか?
そちらのお手伝いをさせて頂きたいのはレクとイエムという男女です。
年齢的にギルドに登録する事がは出来るのが来年になる為、ギルドへの登録は出来ておりませんが、
ギルドでの評価は、レクはDクラスの戦士。イエムはDクラスの斥候となっており、
ギルドからもアカデミーの推薦状を頂いておる前途有望な者ですので、それなりに動けるかと思います。」
「ウツスムです。
今回、我々の私物を乗せたトラックを息子と娘と従魔の魔犬と魔猫に任せるつもりでおりますのですが……
今年、子供達は、今年、ギルドに登録が可能な年齢となりましたので、ギルドへ登録させました。
その結果、娘のシズメールはCクラスの行商人。息子のコタマルはDクラスの錬金術師でギルドに登録が出来ました。
年齢も技能も割と近いようですし、今回、一緒に行動させてみるのはどうでしょうか?」
「そうですね。
隊列の中頃に加えて、必要に応じてサポートをすれば、何とかなりそうですね。」
ウツスムさんの提案にチナさんが頷く。
「では、レクとイエムは、ウツムサさんのお子様達と行動をして。
そして、ヤシナとウイクはコンテナハウスで母さん達の手伝いを宜しく。
残りはロンとスブンが運転するトラックに乗って、2人のサポートをしてね。」
「はい。」×8
チナさんの指示に、年長の子供達が元気な声で返答を返す。
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