【サイドストーリ】憤りと安堵
「ガイアが、
アマトティの欠片の一番高い等分の欠片とプスアーの一番高い等分の欠片が解放され次第、
遅れて解放された欠片が先に解放された欠片の直ぐ傍に召喚されるようにルールを改変したとの事じゃ。
また、今後、それ以外の欠片が解放された場合、ガイアの傍ら。
具体的に言えばガイアの居る狭間の世界に自動的に召喚されるようにルールを改変したようじゃ。
また、欠片の解放のルールにも改変があったようじゃが……
その詳細は、一番高い等分の欠片達にのみに伝えるとの事じゃ。」
ムンナ・アマトティに字を変えた、我等【オピオタウロスの荷車】のお姫様が不機嫌な顔で情報共有をしてくれる。
「まぁまぁ。
とりま、あんた達の自我が消える可能性が完璧になくなったんだ。
ガイアに蔑ろにされたようで腹が立ってるのかもしれんけどさぁ……
今は、あんたが得た、かけがえの無い物に感謝しとくべきじゃね。」
特異点のアサグで、我等の姫の所有者のツキアトが、そう言いながら、
右手で我等の姫の膨らんだほっぺたを突き、左手で我等の王子の頭を撫でている。
「ツキアトは単純で良いわね。
姫や王子の存在を無視するかのように何のフォローもしてくれなかったガイアが、
今回、解放されたのが、一番高い等分のアマトティの欠片かなにか知らないけどさぁ……
そいつが解放されてから、ホイホイと介入しまくってくるんだよ。
なんなの、この待遇の差は……ってならない?
正直、アタシは、めっさ、ガイアにムカついてる。」
【完成品】と【異空間倉庫】いう異能を得た変異点のアサグのイノベコが真っ赤な顔をしながら憤っている。
「姫もイノベコも、ちょっと頭を冷やすべきだ。
ガイアの最初の介入は……
言い方が悪いかもしれないが、一番高い等分の欠片達や、その所持者にとっては、どうでも良い内容。
寧ろ、ガイアは……
姫や王子を失いたくない。っていう、僕達の気持ちを汲んで介入してくれたとさえ感じる。
確かに、2回目の介入は、僕達が蔑ろにされてる。って思っても仕方が無い部分はあるが……
客観的に見て、ガイアが僕達の事を蔑ろにはしてるとまでは言えないと思うぞ。」
【千里眼と順風耳】と【神遊観】という異能を得た変異点のアサグのクイメガが宥めるように話す。
「かもしれぬな。
マイペースなツチソコは微妙じゃが……
少なくとも妾は、主達と過ごす内に、等分の低い欠片の1つではなく、1つの生き物として、本当の意味での自我を持てた。
もし出会うたのが 主達でなければ……
マイペースなツチソコの気持ちは、今一、分からぬが、
少なくとも妾は、何の疑問も不満もなく、一番高い等分の欠片達に、この自我を含めた全てを捧げておった。
まぁ……ガイアは妾のような欠片が現れるのも想定しておったような気がする。
じゃからこそ、
一番高い等分の欠片が、他の欠片にが字を与える。
もしくは、一番高い等分の欠片が、その字を捨て、管理者の権限を他の欠片に譲り渡して、ただのアサグに成り下がる事で、
最も等分の低い欠片である、妾やツチソコのような者にまで生き残れるチャンスをくれたのじゃないかと考えておる次第じゃ。」
我等の姫が苦笑いしながら話す。
◇◇◇
「なぁ……
本来、こういうルールは、管理者であるオイラやムンナの領分なんだ。
いくらガイアといえども、
いくらオイラもムンナも管理者としての責を果たせぬ状況だといえども、
本来、管理者の領分に、短いスパンで2度も踏み込んだからには、ガイアの自我にも、それなりのダメージが出ている筈なんだ。
何故、ガイアは、そんなリスクを負ってまでルールを改変したのだろう……
謎が深まるばかりだよ。」
一応、超越点のアサグの俺が所有者。って事になっている、最も等分の低いプスアーの欠片で、俺の唯一無二の親友でもある、王子こと、ツチソコ・プスアーが小首を傾げながら呟く。
「そりゃ……アタシ達が、あんた達の自我を確実に守る為に、他の欠片を殺そうとしてるのを良しとしなかったからじゃね?」
「それは違うと思う。
オイラ達が他の欠片を殺して、その力を奪おうが、
オイラ達が他の欠片に自我ごと吸収されて、この力を他の欠片に分け与えようが、
オイラ達よりも等分の欠片から字を与えて貰って、管理者の権限だけを他の欠片に与えようが、 オイラ達よりも高い等分の欠片が、その字を捨て、オイラ達に管理者の権限を譲り渡そうが、
管理者としての力が2つの欠片に集約されれば、この世界を開く事が出来るんだ。
勿論、皆がオイラとムンナを生かそうとしてくれてる事は嬉しいし、オイラも皆と一緒に悠久の時を歩んで行きたい。
だけど……ガイアが、自分の自我へのダメージを省みずに、オイラ達の気持ちに寄り添う必要性が分からないんだよ。」
ツキアトに撫でられながら親友が不思議そうな顔で話す。
◇◇◇
「確かに言われてみれば、その通りじゃのう……
ガイアは、管理者を含めて、自分の中に住まう者達の生き死に頓着せぬ。
そして、それは此度のモンスター氾濫の件では、一番高い等分のアマトティの欠片を殺す事を優先しただけでなく、
ミンボン山脈の樹海の者達の安全を後回しにさせたのにも関わらず、
ガイアからはペナルティどころか、警告すらない事からも変わってないと思われる。
にも関わらず、此度の低い等分の欠片の自我を確実に残せるように配慮するようなルール変更。
確かに違和感があるのう……」
我等の姫が親友の言葉を聞いて困惑の表情を浮かべながら頷く。
「しかも、不可思議なのは、それだけじゃないんだよ。
欠片の解放のルールの改変を、わざわざ、一番高い等分の欠片達以外には秘匿する意味も分からない。」
「言われてみたら、その通りじゃな。」
親友の言葉に我等の姫が頷く。
「この世界を開く可能性がある者達には仲良くして欲しいからだとか……」
「じゃとしたら……何故、今なのじゃ?
魂を分けられて力が弱ってる妾達が、他の欠片の力を集める為には所有者となってくれる者の協力が必要じゃ。
そして、妾の所有者となれるのは、ガイアから害悪に認定されていない特異点のアサグのみ。
ツチソコの所有者となれるのは、ガイアから害悪に認定されていない超越点のアサグのみ。
それに該当する者など、この世界には……
ツキアト!
やはり、主は最高の友じゃ!」
ノー天気に話すツキアトの言葉に反論しようとした、我等の姫がハッとした顔をする。
「いきなりどうした?」
ツキアトがポカンとした顔で我等の姫を見ている。
「ムンナは、ニンムシュが異能も確認せずに追放したという、今回、召喚された4人のアサグが関係している。って言いたいのかい?」
「その通りじゃ。」
親友の言葉に我等の姫が頷く。
「確かに、そいつ達の中の1人が、一番高い等分のアマトティの欠片の所有者となっていて、
他の奴の1人が、一番高い等分のプスアーの欠片の所有者になれる権利を有していたとすれば……
ガイアは、自分の自我へダメージを負ってでも、
そいつ達とオイラ達が殺し合いに発展しないようにルールを変えたとしてもおかしくないね。
ただ、その場合……
そいつ達だけに欠片の解放のルールの改変が伝えられてる。って事から察するに、
ガイアにとって、オイラ達は、そいつ達のバックアップだという事になる。
そして、わざわざ、そいつ達だけに欠片の解放のルールの改変が伝えられてる。って事をオイラ達に伝えて来たのは、オイラ達に自分達の立場を察しろ。って事なのかもしれないな。」
親友が寂しそうな顔で呟く。
◇◇◇
「なにそれ。
それが、本当なら、アタシ達を馬鹿にしすぎ。
ガイアを殴ってやりたいわ。」
「珍しく意見が合うね。
いくら、僕達と同じアサグとはいえ、暗に召喚されたての若造よりも格下だと言われたら、流石に腹が立つね。」
顔を真っ赤にして怒るイノベコの言葉にクイメガが静かに頷く。
「気持ちは分からんでもないが……
お前達、変な気は起こさないでくれよ。」
「分かってるわよ。
アタシ達が、ガイアから害悪に認定された時点で姫や王子の自我が、ガイアによって消滅させられる可能性があるんでしょ?
いくらアタシがバカで短気だとはいえ……それぐらいの分別はつくわ。」
俺の言葉にイノベコが悔しそうな顔で返答を返してくれる。
「僕だってバカじゃない。
仲間の命より、自分のプライドを優先させたりはしない。」
クイメガも、淡々とした口調で返答を返してくれる。
「でっ。リクルル。
今後の予定に変更は出る?」
ツキアトが俺をジッと見てくる。
「引き続き、ガイアから害悪に認定されている奴達に姫や親友の存在を知られても手を出されないように、俺達の勢力の拡大を最優先とする。
ただ、直接的、間接的に関わらず、姫と親友以外の欠片に対して害を成すような行為は自重しよう。」
「了解。」×5
仲間達が、俺の考えに賛同してくれたのを確認して、
俺は心の中でホッと胸を撫で下ろしていた。
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