次の目的地
『ケトにゃ。
待ってくれて有難うにゃ。
出てくれて構わないにゃ。』
『了解。
バスコ。ダガマ。宜しく。』
ケトさんからの無線通信を聞いたチナさんが出発の指示を出す。
『了解。
出るわよ。着いてきて。』
「了解。」・『了解。』×10
嫁を含むドライバー達と荷台のリーダー達が、バスコさんの指示に短い返答を返す。
時刻は7時18分。
僕達はヤスマタの村へ向けて移動を開始する。
「ケントウさん達、再開する事が出来はったら良えな。」
「そうね。」
ヨロズコちゃんの言葉に嫁が静かに頷く。
■■■
「めっさ、乗り物が多ない?」
「キトナガエ帝国中から援軍や支援物資が届けられているらしい。
援軍は、そのまま留まるだろうが……
支援物資を届けてる奴等は西都や西都周辺の村々から集まった親類縁者等を頼って疎開する人達を乗せて、自分達の拠点に帰ってるらしい。
因みに疎開は許可制らしく、ギルドやキトナガエ帝国政府が、疎開の許可書や、それに準ずる許可を得てない者がやって来たら拘束して報告するようにと、キトナガエ帝国の全ての町や村に指示を出してるよ。」
ゼロヒト君がヨロズコちゃんの質問に答えつつ、補足情報も入れてくれる。
「西側(キトナガエ帝国側)以外は、どんな感じなのか分かる?」
「あの森はミンボン山脈の樹海。って呼ばれているんだが……
山脈と理由は、あの森の東側以外の先にはミンボン山脈と言う広大な山岳地帯があるからなんだ。
そして、ミンボン山脈の樹海 及び ミンボン山脈の少数民族達はミンボン連邦という国を作ってはいるんだが……
いかんせん、ミンボン山脈のほうに住む人達の村々は全て小規模の為、ラジオ放送を通して大々的に避難を呼び掛ける事が出来ず、
しかも、その村々に続く道は、道端が狭くて曲がりくねてる上に急勾配。
しかもトラック等の大きな乗り物が通れるような林道等の迂回路もない道しかなく、
更に、その村々は高高度の場所にある為、その村々を目指している途中で高山病に掛かる者が出て来る可能性もある事を考慮してなのか、
【空の目】で確認する限り、その村々の方へ移動している人達は少ない。
因みに、氾濫したモンスター達も、その村々の方へ移動はしてねぇようだし、
俺達の世界と違って高山病は回復魔法を受けたり、ポーションと呼ばれる薬を飲んだりして、数時間も休めば完治するらしいから……
結果論にはなるが、
今回は、氾濫したモンスター達が一団となって目指しているキトナガエ帝国を目指すよりも、その村々を目指していた方が、モンスター氾濫から生き残る。って意味では、その村々を目指した方が、生き残れる確率が高かった気がするよ。」
ゼロヒト君が僕の質問に答えてくれる。
「だけど……その村々は全て小さいんでしょ?
大量の避難民が来ても受け入れは難しいんじゃない?
だからこそ、ギルドはキトナガエ帝国の西都への避難を呼び掛けた。
仕方がないんじゃない?」
「確かに、その通りだな。
一応、その村々の人々は、
北側にある定住民が居ないタゴクビ盆地を挟んで領土を接するツクソノ山脈連邦や、西側の領土を接するコクサゴリ山脈連邦。南側の領土を接するネギハタ高原国の政府やギルドの支店等に、避難民の受け入れをする為の支援を要請している。
そして、支援の要請を受けた各国の政府とギルドの支店は、水や食糧。魔石や蒔き等の燃料や毛布や服の衣料品等を届ける事を決定し、
今、彼等に雇われた、運び屋や冒険者。傭兵団等がトラック等を使って支援物資を届けている最中みたいだが……
特に大量の避難民を受け入れる場合は、
避難民達に、その支援物資が届くまでの間だけでも自前の水や食糧でやりくりして貰わないと厳しいだろうな。
だから……ギルドや、その村々の判断が誤ってたと言う気はねぇ。ねぇんだが……なんかモヤモヤするんだよ。」
ゼロヒト君が苦笑いしながら話す。
「未来。と言う意味ならば……
モンスター氾濫が起こる事を前提に、その村々の中で玄関口となりそうな村々に巨大な備蓄倉庫でも作り、何時でも避難民を受け入れられるように準備しとくのもありかもしれないね。
まぁ……受け入れる。受け入れないは、ミンボン連邦の人達が決めるとして……
ユバリスさん達を通して、そう言う提案をしてあげたいのであれば、
僕達は、フトバル公爵領の領都にユバリスさん達を送った後、ミンボン山脈の村へ行くべきだろうね。
じゃないと、ゼロヒト君。ていうか……
何故、僕達が、その村々の人々や、キトナガエ帝国以外の周辺国の動きを知っているんだ?って疑問に思われてしまう。
そして、それは……
僕達のステルス作戦に支障をきたす事になってしまう。」
「そうだな。失言だった。」
ゼロヒト君が苦笑いしながら窓の外を見る。
「そうでもないんじゃない?」
嫁が、僕とゼロヒト君の会話に加わってくる。
◇◇◇
「どういう意味だい?」
「パパが言ってたじゃん。
『受け入れる。受け入れないは、ミンボン連邦の人達が決めるとして、
ユバリスさん達を通して、そう言う提案をしてあげたいのであれば、
僕達は、フトバル公爵領の領都にユバリスさん達を送った後、ミンボン山脈の村へ行くべきだろうね。』
ってね。
わたし達の探し物(アマトティ & プスアーの欠片)が何処にあるかが分からない。
だから、わたし達は当てもなく、この世界を彷徨うしかない。
だったら、ついでに、わたし達の作戦に支障が出ない程度の人助けをしても問題無い。
つまり……大まかだけど、フトバル公爵領の領都の次の目的地が決まった。って事よ。」
嫁が笑顔で話す。
「成る程。そういう考えもあるな。
どうすれば、次の目的地に自然な形で辿り着けるか調べてみるよ。」
ゼロヒト君が、そう言うと、ノートパソコンを動かし始める。
「ゼロヒトさん。って……
思ってはったよりも、お人好しやったんやね。」
「うるせぇ。」
笑いながら話すヨロズコちゃんの言葉に、ゼロヒト君は真っ赤な顔をしながらぶっきらぼうに答える。
「折角、褒めてあげたのに……なんや、その言い方。」
「ゼロヒト君は、ツンデレさんなのよ。」
頬を膨らませて文句を言うヨロズコちゃんを、嫁は笑いながら宥める。
「ククク。」
ウミミナちゃんが、そんなやり取りを見ながら楽しそうに笑う。
「なんだよ。」
ゼロヒト君が不機嫌そうな顔で呟く。
「主達に接触をしたのが間違いではなかった。と改めて確信したら愉快な気分になったのじゃよ。」
ウミミナちゃんが嬉しそうに話す。
■■■
『こちらバスコ。
ヤスマタの村が見えて来たわ。』
時刻は12時。
僕達は、今日の目的地に着いた。
『こちらチナ。了解した。
先ずは、私とミン。バスコとダガマ。父さん(ケラ)とケト姉で村に入る。
他の皆は、取り敢えず、乗り物から降りずに村の外で待機。
母さん(ユバリス)、コラ、マゼ君、テイヒィ。皆を頼んだわよ。』
「了解。」・『了解。』×10
嫁を含むドライバー達と荷台のリーダー達が、ケラさんの指示に短い返答を返す。
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