モンスター氾濫②(疑惑編(前編))
「【オピオタウロスの荷車】つう、50年前に、俺達の世界から、この世界に召喚された4人のアサグがトップに居る組織があるらしいんだが……
20年前に、彼等が本拠地にしている、こことは別の場所でモンスター氾濫が起こった時に、
そいつ達が、兄さんと同じ仮説を立て、そこに住んでいる人達を指揮して対応をしたらしいんだ。
そんで、そん時の被害なんだが……
当初、ギルドが想定してた3/10程度の被害にとどまったらしいんだよ。
因みに、現場には来ないらしいが、通信機器を使って、今回のモンスター氾濫の対策チームに参加しているらしい。
だから、彼等があまりにも可笑しな指示を出さない限り、
モンスター氾濫の対策は、取り敢えず、彼等やギルドに任せて、
俺達は名も無きモブとして、自分達と依頼主であるユバリスさん達を守る事に専念した方が良い気がするな。」
ゼロヒト君がノートパソコンと睨めっこして10分も経たない内に有益な情報を共有してくれた。
◇◇◇
「【オピオタウロスの荷車】。
以前、主達の世界から召喚され、権力者にのし上がった者達が居ると言ったよな。
30年前の情報じゃから、今は違うかもしれぬが……
其奴達の半数が、今回、話が出た【オピオタウロスの荷車】という組織に所属しておったのう……」
「残りの半分は?」×2
僕とゼロヒト君が、同時にウミミナちゃんに質問をする。
「【貨幣の戦士】という組織に所属しておったのう……
まぁ……あくまでも30年前の情報じゃ。
今も同じかは分からぬぞ。
それと……30年前以降の事は分からぬが、少なくとも30年前までは【オピオタウロスの荷車】は、
ニンムシュをはじめとする、この世界の最高権力者の中で、ガイアから唯一、害悪に認定されておらぬ為、この世界が開いても問題が無い奴達じゃった。
故に、彼等は、他の最高権力者達とは距離を取っておった筈なのじゃが、
そんな彼等が、ガッツリと、ニンムシュに協力をするとはのう……
何が、彼等をそうさせたのかは分からぬが……
妾が封じられて折った間も、時が流れておるのを感じてしまうのう……」
ウミミナちゃんが苦笑いしながら答える。
◇◇◇
先頭を行くのは魔牛。魔鹿。魔馬等の草食系のモンスター達と、それと似た動物。
その後ろを、
デビルボアや、冬眠から目覚めてたらしいブラッド ベア等の雑食系モンスターと、それと似た動物が続く。
更に後ろを、アース ドラゴン、リトル アース ドラゴン、ミクロ アース ドラゴン、 魔狼等といった持久力のある肉食系モンスターや、それと似た動物が続き、
最後尾には、ブラッド タイガーや魔豹等の持久力が無いモンスターや、それと似た動物が続く。
その群れの上空にはキャリオン ハゲワや魔鴉。魔鷹や魔鷲や、それに似た動物が旋回しながらスピードを合わせるように進む。
また、その群れの中には、
魔兎や魔雀等といった小動物系のモンスターや小型の鳥類系のモンスターの姿も見える。
ある程度、人外地での戦闘がこなせる者達からすれば、単体ならば、どうって事が無い相手だろうが……
武装した戦闘にも適正があるアサグを除けば、数の暴力を受けても問題無く対処するのは難しい筈だ。
そんでもって、人外地での戦闘をこなせる人の数は少ない。
そして、そういう人達にとっては……
たとえ、単体であっても、小動物系のモンスターや小型の鳥類系のモンスターは自分達の生命を脅かす危険な存在だ。
「兄さんが、【オピオタウロスの荷車】の人間だったとしら、まだ、あの森の中に居てモンスター氾濫の被害にあっている人達に、どんな指示を出してた?」
タブレットを見ていると、ゼロイチ君が興味津々な顔で質問をしてくる。
◇◇◇
「そうだねぇ……
少なくとも、ゾンビが出た時点で街道や、道端が広くてアップダウンが比較的少ない走りやすい場所を避けるように呼び掛けるかな。
その方が、街道や、道端が広くてアップダウンが比較的少ない走りやすい場所よりかは、まだ……生き残れる可能性が高いからね。」
「【オピオタウロスの荷車】は、
20年前に、彼等が本拠地にしている、こことは別の場所でモンスター氾濫が起こった時には、今、兄さんが言った指示を出した。
なのに……今回は逆の指示が出ている。
更に、20年前に、彼等が本拠地にしている、こことは別の場所でモンスター氾濫が起こった時には、ギルドに該当する食糧や水等の物資を村々に配らせた上で、避難民には親類縁者を頼る場合や帰省等を除き、極力、町ではなく村へ避難するように呼び掛けたのだが……
今回は全く逆の指示を出が出ている。
最終的な判断はニンムシュが行っている事になっているみたいだし、【オピオタウロスの荷車】は、あくまでも応援という立場なので、今回の指示が彼等の意向なのかは分からんが……
敢えて実績を出した方法と逆のやり方を取っている事を兄さんは、どう捉える?」
ゼロヒト君が真剣な顔で質問してくる。
◇◇◇
「う~ん。
ウミミナちゃんは、アマトティちゃんの欠片の1部だよね?
じゃあ……もし、ウミミナちゃんが死んだ場合……他のアマトティちゃんの欠片を集めきれたとしても、ウミミナちゃんが足らないから完全体には永遠に戻れない。って認識で合ってる?」
「否。
そうならない為に、妾の欠片も相方の欠片も、欠片どうしの力の等分を若干じゃが変えておる。
そうする事で欠片が消滅した時に、その力の等分が一番、多い欠片に戻ってくるようになるのじゃ。
因みに、アマトティの欠片の力の等分が一番、多いのは妾じゃ。
故に他の欠片とは違い、
出会うた欠片が消滅する程の危機に瀕しておらずとも、妾は、その欠片を吸収してしまう事になっておるのじゃ。」
ウミミナちゃんが悲しそうな顔をしながら話す。
◇◇◇
「でっ。吸収された方の欠片の自我はどうなるの?」
「妾が字を与える。
もしくは、妾がアマトティの字を捨て、管理者の権限を他の欠片に譲り渡して、ただのアサグに成り下がる。
そのどちらかの対応を取らなければ、妾に吸収される筈だった自我は死滅しない。
妾としては、サモナブとクルサルが妾を、所有者としてではなく、家族として迎え入れてくれるのであれば、
アマトティの字も、管理者としての権限も捨てて、
ウミミナとして、主達の世界に行くのもありじゃと勝手に思うてはおるが……
それは、最後の欠片と出会うた時に話し合う事じゃとも思うておる。
じゃから、少なくとも、この世界を開く算段がつくまでは、妾がアマトティの字を捨てる事はない。
それがたとえ……
アマトティの字も、自我も捨てるつもりない欠片と争う事になったとしてもじゃ。」
ウミミナちゃんが真剣な顔で話す。
◇◇◇
「ねぇ……
ウミミナちゃんが消滅する程の危機に瀕した場合は、どうなるの?」
「妾は、妾の次に等分が高い者に吸収される。」
「ウミミナちゃんよりも、等分が低い欠片達も、等分が違うんだよね?
たとえば、2番目に高い等分の欠片と3番目に高い等分の欠片が出会った場合……どうなるの?」
「原則は、2番目に高い等分の欠片が、管理者の権限のみを吸収する。
そして、3番目に高い等分の欠片は、ただのアサグに成り果てる。」
「原則ねぇ……例外があるの?」
「2番目に高い等分の欠片が、管理者の権限の吸収を拒んだ場合、
3番目に高い等分の欠片が、管理者の権限のみを吸収し、
2番目に高い等分の欠片が、ただのアサグに成り果てる。」
「成る程ねぇ……
2番目に高い等分の欠片が、管理者の権限のみを吸収した場合、
後日、管理者の権限を3番目に高い等分の欠片へ譲る事は可能なの?」
「双方が合意の上であれば可能じゃ。」
ウミミナちゃんが僕が聞く、全ての質問に対して、丁寧に答えてくれる。
◇◇◇
「アマトティ・ウミミナとか、ウミミナ・アマトティとか、アマトティの部分を完全に残した形で、字を変えたら、
アマトティの字を捨てた事にはならないが、
ウミミナの部分が邪魔をして、他の欠片の自我までは吸収しなくなる。
とか……そんな都合の良い話は……流石にならない無いよね……」
「クルサルが何故、妾が他の欠片の自我まで吸収させたくないのかは分からぬが、流石に、そのような事は……
えっ?えっ?えっ?
妾がアマトティ・ウミミナや、ウミミナ・アマトティ等といった、アマトティの部分を完全に残した形で、字を変えた場合、
クルサルが望むように、他の欠片の管理者の権限のみしか吸収をする事が出来なくなるようじゃ。
クルサルは、妾がアマトティ・ウミミナか、ウミミナ・アマトティに、字を変えるべきじゃと思うか?」
ウミミナちゃんが真剣な顔で質問をしてくる。
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