失敗ありき
「これが【虹を産んだ者達】の顔と字と得ている異能だ。」
ゼロヒト君が写メを加工して作った資料をメールでくれた。
「次に【虹を産んだ者達】と行動している者達と、別行動している者達の資料を送る。
後、ウミミナちゃんも言ってたが、【虹を産んだ者達】のトラポとかいう奴が作ったワーム ホールが何処に繋がってるかについては調べられなかった。
つまり、こいつ達とは何処で会うか分からんから気をつけてくれ。」
ゼロヒト君が真剣な顔で話す。
「そのトラポ。ってのは、わたしと同じ異能なんだよね?
近距離の移動の場合しか、ワームホールの座標を鑑定する事が出来なくする事が出来ない筈。
まぁ……近距離と言っても……
ギリギリだけど、モンスター氾濫の影響を受けない場所まで含まれているから、言葉のイメージよりかは遥かに長距離にはなるんだけどね。」
嫁が補足情報をくれる。
「あの場所からフトバル公爵領の領都に、移動した場所が分からないワームホールを作る事は可能?」
「フトバル公爵領の中心にある領都は無理。
だけど……フトバル公爵領の中で、あの場所と一番近い村の付近へ移動した場所が分からないようなワームホールを繋ぐ事は可能ね。」
時刻は7時。
僕達は、休息時間を利用して、僕達は緊急ミーティングを行っている。
緊急ミーティングの議題は、【空の目】でゼロヒト君が見つけ、行方を追ってくれていた【虹を産んだ者達】についてだ。
「【虹を産んだ者達】が死体を漁って眷属?とかいうのにした人達ってのは、取り合えず置いといて、
殺して、眷属とかいうのにした人達と、生かしたまま別行動を取らした人達の線引きが分からない。
それと……生かしたままの人の中に、種族を変えた人と、性転換させた人と、何もしなかった人の線引きも分からない。
正直、謎だらけの行動だよ。」
「【虹を産んだ者達】は、緻密さと、綿密さと、気まぐれと、破れかぶれと、無責任が同居しておるような奴等じゃ。
侮るべきではないが、深読みし過ぎても足下を掬われるぞ。」
ウミミナちゃんが、真剣な顔で呟く。
◇◇◇
「成るほど。
つまり、実質、相手の出方の予想がつかない。って事だよね……
思ってたよりも面倒臭い相手みたいだね。
取りあえず、用を足す等、一人になる時は、必ず、声がけが必要だね。
そんでもって、様子がおかしいと感じたら、直ぐに確認をする必要があるね。」
「それじゃあ、不十分じゃ。
サモナブ。主、自身を含めて、
『妾達、全員に対して、主以外の者が作成したワームホールを通る場合、主の許可がいる。』
という術式を付与するのじゃ。」
僕の話を聞いたウミミナちゃんが、真剣な声で話す。
「ゴメン。そんな事……って……
管理者代理以上の権限を持っている場合は出来るみたいだけど……
わたしには無理じゃない?」
「妾の所有者でなくなれば無理じゃな。
じゃが、今、主は妾の所有者じゃ。
じゃから可能じゃ。」
苦笑いしながら話す嫁の言葉に、ウミミナちゃんが真剣な顔で返答を返す。
「へ~。そうなんだ。
って……ウミナリちゃんの言う付与を、わたしを含めた皆に掛けれたわ。」
「うむ。
主が妾の所有者である限り、
強い感情ならば、ほぼ100%、感覚を共有する事が出来る。
つまり、主以外のアサグが、妾達の誰かをひっそりとワームホールを使うて拉致しようとしても、事前に察知する事が、今、可能になったのじゃ。」
嫁の報告を聞いたウミミナちゃんがドヤ顔で話す。
「コブとドタが居れば、ワームホール以外での拉致は難しい。
コブとドタの周りに誰も居ない状況を作らなければ、
俺達の誰かを秘密裏に拉致する事は出来ないな。」
ウミミナちゃんの話を聞いたゼロヒト君がニヤリと笑う。
「せやな。
ウチ達が揃ってたら、先刻、見た【虹を産んだ者達】のメンバーと、ガチンコ勝負しても負けへんな。」
ヨロズコちゃんが静かに頷く。
◇◇◇
「先刻、見たのが【虹を産んだ者達】の全てのメンバーならそうなるかもね。
僕達が知ってるのは、ニンムシュと、
先刻、見た【虹を産んだ者達】だけだ。
そして、神仏の代理人はニンムシュ以外にも居て、
僕達の世界から召喚されて権力者にのし上がった人達の中にもアサグも居る。
しかも、彼女達は各々が権力を持っている。
つまり、動かせる人達が沢山居る。
彼女達が動かす1人、1人は雑魚かもしれないけど……
僕達も生き物だ。
数の暴力で攻められたら厳しい戦いになると思う。
それに……彼女達が動かす人間達は、彼女達の命令に背けば家族ごと殺されるだろう。
勿論、だからといって殺されてやるつもりはないけど……
そんな人達を殺しまくれば、僕達の心は確実にダメージを受けるだろうね。
だからこそ、今まで通り、
誰にも知られずにウミミナちゃんと相方さんの欠片をコンプリートする事を最優先に考えて行動するべきだと思う。
勿論、今後も、それが出来なかった時の事も考えてはおくべきだとは思うけど……
それは、あくまでも、失敗した時にリカバリーをする為の手段だと考えておくべきだと思う。」
「珍しく、まともな事を語りまくりましたなぁ……
まぁ……パパの言いたい事も分かるけどさぁ……
真面目な若者達に、失敗する事を前提で物事を進めていこう。って提案するのは……可哀想な気がするぞ。」
嫁が苦笑いしながら話す。
「失敗ありきで物事を進めていくかぁ……
分からない事だらけの状況だし、案外、悪くねぇかもな。」
「せやな。
絶対に失敗が出来ひん。ってよりかは、まだ、まっしやね。」
ゼロヒト君とヨロズコちゃんが、ホッとした顔で話す。
「ストレス死されるよりかは、まっしじゃが……
ニンムシュや【虹を産んだ者達】に妾達の事を知られれば、面倒な事になることも忘れるなよ。」
「おう。」・「分かってる。」
ウミミナちゃんの苦言に、ゼロヒト君とヨロズコちゃんが、苦笑いしながら頷く。
■■■
『返答はイラン。
仕事の時間だ。出るぞ。ついてこい。』
時刻は13時。
ガチイさんの短い指示が無線機から聞こえてくる。
「安定の雑な指示やね。」
「言えてる。」
苦笑いしながら話すヨロズコちゃんの言葉に嫁が頷いている。
「乾パンと干し肉とドライフルーツは飽きたわ。
スパゲッティが食べたい。
それが無理ならせめて、ミンさん達が作ってくれはる雑炊が食べたい。」
「その気持ち、凄く良く分かる。」
苦笑いしながら話すヨロズコちゃんの言葉に嫁が頷いている。
「妾はカレーライスとやらを所望する。」
ウミミナちゃんが涎を滴しながら会話に加わる。
「草原の草。美味しかったね。」
「この世界の草も悪くないな。
こんな事なら、あの森の草も食べときゃ良かった。」
「アタイは、瘴気まみれの草は遠慮したいわ。
お腹、壊しそうだもの。」
「クルサルが居るから、腹を下しても大丈夫。
だから食わず嫌いをするべきではなかった。」
「瘴気まみれの草だよ。
不味いの確定だと思うわよ。」
「食ってないのに分からんじゃん。」
コブとドタの会話が止まらない。
「兄さん。少し寝るかい?」
「うん。有り難う。
そうさせて貰うよ。」
僕はゼロヒト君にお礼を言うと、静かに目を閉じた。
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