【サイドストーリー】樹海の最深部にて④(明暗編)
「でっ。お嬢様方は、どうするっす?
糞生意気だった、お友達と一緒に、俺達の人外の奴隷として新たな人生をスタートさせるっすか?
それとも……
人間を辞めずに、ニンムシュへ手紙を届ける郵便屋さんをしてくれるっすか?」
「もう。アフアジは……
そんな事を言えば、郵便屋さん一択になるじゃん。」
イテヨと呼ばれている可愛らしい女の人が、タメ息をつきながらイケメン君を見ている。
「君達が探してる女の子や、他の追放された3人の追放された召喚者達は、
ニンムシュがポンコツだったせいで、彼女達の字も、異能も不明だけど……
分かっているのは、4人ともアサグ。
つまり、選ばれなかった、あんた達と違って、
ニンムシュやあたし達側の存在。つまり……選ばれた側って事ね。
どうする?
悔しくない?
ムルオの旦那に力を分け与えて貰い、アタシ達と分相応な力を得た小娘達に、お仕置きをしてやらないといけないんじゃない?』
『はい。その通りです。』×8
コレちゃん達とヘタレ男子どもが、イテヨと呼ばれている可愛らしい女の人の言葉に返答を返す。
コレちゃん達は、鬼のような形相をしていて、
ヘタレ男子達は、下卑た表情を浮かべている。
「私と、この娘は、郵便屋さんを希望します。」
「どうして?」
今まで一言も話さなかった美人さんが不思議そうな顔で質問をしてくる。
てか……リフォーちゃん?
確かに、私も郵便屋さん希望だけど……
勝手に私の進路を決めないで貰えますかね。
「ニンムシュ様から聞いている事と、あまりにも相違があるからです。」
「ニンムシュが言うには、
彼女達の事を、君達に糞雑魚とかいうような嘘の情報を伝えたのは、
彼女に邪な感情を抱いている君達【納勤乙女団】や【疾風の黒狼団】が、密かに彼女に手を出そうとして、返り討ちに遭ってくれる事で、
彼女達の事を保護対象者から犯罪者に変更する為の方便だった。って事っす。
まぁ……俺の見たてでは、
高い身長の美人さんは、彼女に贖罪の気持ちが強く見え、
小動物系の可愛い子ちゃんの方は羨ましいという気持ちが見え隠れしてはいるっすが……殺したいほどの気持ちは見えないっすけど……
って……ムルオの旦那、睨まないで下さいっすよ。
別に悪気がある訳じゃないっす。
ただ……相手の異能の能力が分からない以上、仲間に加える奴は、相思相愛じゃなきゃいけない。って思っただけっすよ。」
アフアジと呼ばれているイケメンが、あたふたとしながらムルオと呼ばれているオッサンに自分の意見を話す。
◇◇◇
「イテヨ。煽ってやるな。
少なくとも、この小さな娘さんは、お前に謝罪するだけでなく、隷属させた無礼な娘さん達に謝罪させようとしたんだぞ。
それと、アフアジ。
ペラペラとイラン事を喋って、ニンムシュに、この娘さん達を殺させるように誘導でもしてるつもりか?
そんなに、この娘さん達が気に食わねぇなら、自分で手を下せよ。」
ムルオと呼ばれているオッサンが、タメ息をつきながら話す。
「いやぁ……
正直、ここまで言っても、俺達の仲間に加わろうとしないとは思わなかっただけっすよ。」
「アタシも……
アサグ殺しや神殺しに発展する可能性がある以上、2人には、納得の上で、一度、死んで貰い、
ムルオの旦那に力を与えて貰わないといけない。
だから、煽り捲って、仲間になる。って言わせたかっただけよ。
ほら……女って、理論より感情を優先する生き物じゃん?」
アフアジとイテヨがタメ息をつきながら話す。
「雌は理論より感情を優先する生き物?
意味が分かんない。
理論よりも性欲っていう感情を優先する雄だって沢山居るし、
感情を律して生きている雌だて、沢山居る。
根拠の無い決めつけで、自分のミスを正当化しないで貰える?」
「トラポ。
お前の言ってる事は正しい。正しいが……
今、その話は必要無い。」
ムルオが苦笑いしながら、トラポを見る。
私達の事なんて眼中になさそうだな。
この隙にリフォーちゃんと逃げたら……
いや……無理だ。
この辺りは、何時、ゾンビが出てきてもおかしくないんだ。
そして、たとえ、逃げ出せたとしても、逃げ出した先は、モンスター氾濫の真っ只中の可能性が高いらしい。
運良く、モンスター氾濫が起きる前に、何処かの町や村に辿り着けたとしても、その後の生活は?
私もリフォーちゃんも、ギルドという世界を股にかけた経済組織に登録している。
つまり……何処に逃げても、働こうとすれば身元がバレて、この方達や、ニンムシュ様に居場所を知られてしまう。って事だ。
逃げ場なんて何処にも無い。
こりゃ……詰んだな……
こんな事になるなら、あの時……
副担の提案を受け入れて、【納勤乙女団】を脱退し、【スローライフ切望団】に加入しとけば良かったわ。
◇◇◇
「はぁ……
でっ。どうするよ?
こいつ達、ギルドに登録済みなんだろ?
ニンムシュのポカまで知ってしまったんだ。
一旦、ギルドを除籍してやったとしても、プライドの高いニンムシュが……
取り敢えず、殺してやるのが、一番の慈悲じゃね?」
イテヨが申し訳なさそうな顔をしながら滅茶苦茶な事を話す。
リフォーちゃんが、ソッと私の手を繋いでくる。
「いや。その必要は無いっす。
高い身長の美人さんは【物情を繋ぐ者】のジョブ補正と、
小動物系の可愛い子ちゃんは【匠の職人】のジョブ補正と、
各々が、今、繋がっているジョブ補正と、殆んど同じ接続率で接続が可能なんで、
この場で接続しているジョブ補正を切り替えてやる事が出来るっす。
因みに、ギルドが登録の有無の判別を行う鑑定装置は、
名前や字等と、有無を含む接続しているジョブ補正や異能の両方が一致するか、
もしくは、持っているギルドカードの遺伝子情報と持ち主の遺伝子情報の一致の有無で確認をするっす。
つまり、俺っちの異能で接続しているジョブを代え、この娘達が持っているギルドカードをこの場に捨てさせたうえで、
トラポがワーム ホールを作って、遠くに逃がしてやれば……
別人として生きていけるっすよ。」
「流石、アフアジ。やるじゃん。
ついでに、アタシの異能で容姿も弄ってやろう。
そしたら、ニンムシュの縄張り入らない限り、あの間抜けに見つからずに人生を終えられるわね。
ねぇ……何処を弄って欲しい?
顔でも体型でも身長でも……なんだって弄ってあげるわ。」
ひょっとして……
アフアジとイテヨは、私達を生かそうとしてくれている?
そんな訳……無いわよね……
「性別。」
えっ?えっ?えっ?えっ……と……
リフォーちゃん?
どういう事?
訳わかんないんですけど!
■■■
「この小屋にある物は、お金も乗り物も、何でも自由に持って行ってくれて構わないわ。
だから、明後日の夕方までには、ここを出て行ってね。
間違っても、この小屋を生活の拠点とかにはしないでね。
そうそう。地図を渡しとくわ。
キトナガエ帝国の方向には移動しないでね。
後、今、居る場所は、ここ。
ニンムシュの縄張りから出してあげたかったけど……
大規模なワームホールを作ると、ニンムシュに逃がした場所がバレる恐れがあったから、ここに連れてくれるのが限界だったの。
中途半端で、ごめんね。
では、君達が私達にの仲間になるか、敵対するような事をしない限り、永遠のお別れね。
私は【虹を産んだ者達】のトラポ。
今後、貴女達との接点が永遠に無い事を願ってる。
じゃあね。サヨナ……
あっ。大事な事を言い忘れてた。
リフォー。
持ち出す時は、鑑定魔法を使って、名義の有無を確認し、
名義が設定されている物は、契約魔法を使って、名義人を自分達に変えるのよ。
じゃあ……改めて、サヨウナラ。」
トラポさんが、そう言うと小屋の壁の中に吸い込まれて行った。
その様子をボーと見ていたら、小屋の壁のトンネルのような模様が消えてしまった。
■■■
『出るわよ。』
「了解。」・『了解。』
無線機から聞こえるティスちゃんの指示に、リフォーちゃんとジャスちゃんが短い返答を返す。
因みに、ジャス君とティスちゃんも、私達のようにトラポさん達に逃がして貰った人達だ。
トラポさんは、先刻、壮大な別れを言った直ぐ後に、この子達との顔合わせの為に……なんて膨れっ面で言ってたのが可笑しくて、思わず笑ってしまったら、一緒になって笑ってくれた。
【虹を産んだ者達】の人達は、おっかない人達のような気がしたけど……根っからの悪人ではないと思う。
ただ、何となくだけど……深くは関わってはダメな人達のような気もした。
それはそうと驚いたのが、ティスちゃんは、昨日まで男の娘だった。って事。
けと、今は……本物の女の子。
リフォーちゃんといい、ティスちゃんといい、あの場で似たような事を願い出るとか、頭のネジが何本かハズレてるわ。
そして、そんな似た者同士は、滅茶苦茶、意気投合して、既に良い感じになっている。
私はと言うと……
そんな2人を、嬉しそうに見守るティスちゃんの従兄弟だというジャス君から目が離せないでいる。
因みに、ジャス君は、性別ではなく種族を人属からハーフ エルフに変えて貰ったらしく、ビックリするぐらいのイケメンに変身していた。
それを聞いた時は、マジで自分の間抜けさを呪ったけど……ジャス君の好みが地味な女の人らしいので、過去の愚かな私を許してあげる事にした。
「でっ。ボク達は、何処へ向かうの?」
男の子になったリフォーちゃんは、相変わらず自分の事をボクと言う。
『ナヤクラース連邦よ。
あの国にある大森林地帯は素材の宝庫らしいの。
長い旅になるけど……今からワクワクが止まらないわ。』
ティスちゃんの興奮する声が無線機から聞こえてくる。
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