【サイドストーリー】樹海の最深部にて②(各々の思惑編(後編))
「はぁ……
この転移の魔道具、やはり壊れてますね……
けど、まぁ……壊れるのを覚悟で、トラックを半日ほど走らせればミンボンの温泉街まで辿り着ける距離まで転移して正確だったわ。
こんな濃い濃度の瘴気の中で野宿とか、本当、勘弁ですもんね。
てか……ムルオさんに転移の魔道具の交換の依頼でも出さないといけませんね。
これじゃ……この魔道具を使って転移する度に災害を撒き散らしちゃんからね。」
時刻は13時。
ニンムシュ様がボソッと呟かれた。
「それよりも、調査を続行されている志願者達に連絡を取らないといけないんじゃないでしょうか?」
「あぁ……それね。
志願者達も同意の上。
ですから、これは自己責任の範囲内よ。
それに、連れて来た50組のパーティーの内、志願者は若手の5組。しかも、その内、2組は異世界から召喚したての初心者達。
彼女達を失っても、この後の作戦に大きな痛手は出ないわ。
けど、まぁ……
もし、彼女達が生き残びて、ミンボンの温泉街に辿り着ければ、それはそれで優秀な方々なので直属の部下に取り立ててやらなくてはですね。
でっ。辿り着く前に死んでしまったら……
新しい眷属を欲してるムルオさんにでも差し上げますかね。
そうすれば……
追放した異世界人達の字を異能を使って鑑定しなかった事に対して、グチグチと文句を言わなくてなるでしょうしね。
てか……そもそも、鑑定装置まで壊れてしまっていたのが悪いのよ。
鑑定装置があるのに、わざわざ、別途、異能を使って、鑑定なんてしなでしょ。」
上機嫌だったニンムシュ様が、急に不機嫌な顔になられる。
本当に……感情が豊かなお方だ。
「あらあら。
危険を顧みず、私の要望に応えしようとした者達に対して、えらく辛辣だな。とか考えてない?」
「えぇ……仰る通りです。」
【星の記憶へのアクセス】という異能を持たれていらっしゃる超越点のアサグのニンムシュ様は他人の感情を色として視る事が出来る。
だから、下手な隠し立てをする方が悪手となるし、
感情の色から推測したアタシの気持ちが違うと言うと、更に不機嫌になられる為、
アタシはニンムシュ様のお言葉に素直に頷く事にした。
◇◇◇
「私はね。
確証は無いけど、2~3日以内に、ゾンビが生まれるぐらい瘴気の濃度が高くなる可能性を示唆した上で、
あの場で、調査を続行するか、
お支払い金額は下がるけど、ミンボンの温泉街へ、私と共に、一旦、退避するかについての選択を、各々のパーティーにさせたのですよ。
もし、あの場所で生き残れば、有能な者達の武勇伝となり、
あの場所で死ねば、自分の力量すら把握する事が出来ない無能な者達の失態。
ただ、それだけの事です。
因みに、これは……異世界人にも言える事。
何故なら、異世界人のパーティーの内、あの場に残ったパーティーと、私と共に退避を選んだパーティーに分かれたのですらね。
だからこそ、無知故の過ち。という甘い採点は出してあげられないのです。」
ニンムシュ様が、ニヤニヤと笑いながら持論を語られる。
ーーーーーー
『リーダーが先生で良かったわ。』
「なんで?」
無線機から聞こえてくるイドケンの言葉に、俺達の副担が小首を傾げながら質問をする。
『いやぁ……こりゃヤベエ。
撤退組に入ってて正解だったわ。
撤退組への参加希望は、シオコと拙者君だけで、後の3人は姫の捜索を希望してたじゃん。
つまり、撤退派と捜索派は五分五分。
なのに先生はジャンケンを拒否して、リーダー権限で撤退を選んだじゃん。
正直、ムカついてたけどさぁ……
今なら分かる。先生が正しかったわ。
文句を言って、悪かったよ。』
イドケンがボソボソとした声で謝罪をする。
『アタシも、その……剥れちまって悪かったよ。』
スクコの謝罪の声も無線機から聞こえてくる。
「そう。
隣に居るトスオを含めて許してあげるわ。」
副担は、そう言いながら、
上機嫌な顔でピックアップ トラックを走らせている。
『にしてもさぁ……よく、あの時、リーダーの命令という、強権を発動する事が出来たわね。
やっぱ、人生経験が豊富だと見えてる景色が違うの?
てか、さぁ……
接続率が、そこそことはいえ、
これでも、一応、人外地の状況に、一番、詳しくなれると言われてる【踏破者】のジョブ補正と接続している身としては、
先生のお陰でなんとかなったとはいえ……
こうなる事を予測する事が出来なかった事が、滅茶苦茶、悔しいんですけど。』
スクコのイライラした声が無線機から聞こえてくる。
◇◇◇
「私が撤退を決めた理由は、
【双頭の叡知】の連中が【疾風の黒狼団】の連中から、臆病者と言われたり、人でなし呼ばわりをされても、気にする様子もなく撤退を決めていたからよ。
天才肌のサキミと、凡人の私達とでは、そもそもの地頭が違うから……見てる景色が違うのかな?って思い、彼女の判断を真似したのよ。』
『へ~。そうなんだ。
でっ。シオコと拙者君は、何故、撤退組に入ろうと思ったのさ。』
スクコが、興味津々な感じで、シオコと拙者君に質問をする。
◇◇◇
『拙者君じゃない。
ジピ様。もしくはガ◯プラの神と呼べ。』
『シオコ殿。落ち着くでござる。』
『うん。』
『オタの拙者やボコ殿にも分け隔てなく接してくれる姫の事は、それなりに好ましく思っておるでござる。
ただ……姫は……
この世界に召喚されたての装備であのような場所に飛ばされたのでござる。
ニンムシュ様は、まるで姫が生きておるように語ってだでござるが、
ニンムシュ殿にイラッとする程の雑魚とは思われておらぬ拙者達でさえ、召喚されたての初期装備で、あの場所に飛ばされておれば、確実に死んでいると思うのでござる。
故に、生きてる姫を見つける事は無いと思ったでござる。
良くて、姫の死体の一部。もしくは……鞄や服。靴などといった、姫があの場に居たという痕跡だと思ったでござる。
だから拙者は、死人ではない、拙者達の安全を優先したのでござる。』
拙者君が、お怒りモードらしいシオコを宥めつつ、姫の捜索よりも撤退を優先した理由を語る声が無線機から聞こえてくる。
『ボクの居るべき場所は神であるジピ様の隣。
ただ、それだけ。』
続けてシオコの自慢気な声が無線機から聞こえてくる。
『キモオタの拙者君を崇拝する美少女シオコ。
元の世界からの安定の不思議だよな……』
『言えてる。
てか……この際、聞かせて貰う。
シオコは何故、拙者君を神のように崇めてるの?
何が、そこまで良いの?』
『プラモの腕とチ○コ。』
シオコがいきなり凄い話をぶっ込んできやがった。
てか……拙者野郎。お前も、イドケンと一緒で、○貞の卒業者だったのかよ。
魔法使いの可能性を秘めてるのは俺だけかよ。
って……【賢者】のジョブ補正を受けているお陰で、俺って……オッサンに片足を突っ込むまで守り切らなくても魔法、使えるんだったよな……
糞。糞。糞。
リア充どもめ。爆ぜろ。
てか……お前達との友情。俺の中で、今、終わったわ。
◇◇◇
『プラモの腕。ってのは、良く分からんけど、
あんたが、チ○コの味を重要視する気持ちは凄く良く分かる。やっぱ、さぁ……』
『そろそろ、日が落ちる。
クアッドの運転に集中したいから、無線を切るわ。』
スクコが、話し終わる前に、イドケンが無線を切った。
『シオコ殿も、ピックアップトラックの運転に集中するでござる。
では、これにて失礼つかまつる。』
拙者野郎も慌てたように無線を切る。
■■■
「困ったわ。
教師として止めるべきなのでしょうが……
人としては野暮な事はしたくないのよね……」
「はう。」
副担に服の上から俺の一物を撫でられて、思わず声が出てしまった。
ミンボンの温泉街の中にある宿屋から、あてがわれた部屋に入るなり、
イドケン、スクコのペアと、拙者野郎とシオコのペアは、まるで……
二人部屋だとでも勘違いしてるかのように行為に没頭し始めた。
「あらあら。
同級生のあられもない姿に興奮しちゃたの?
てっ……先生の顔を潤んだ目で見ないの。
もしかして……年上が好きなのかな?
それとも……する。よりも、されたい派なのかな?」
副担が、そう言いながら、妖艶な笑みを浮かべている。
恥ずかしさで顔を逸らしたいところだが……何故か、副担の顔から目を逸らせない。
「あらあら、どんどん、大っきくしちゃってるわよ?
貴方。って……本当、悪い子ね。
これは、お仕置きが必要みたいね。
服を脱いで裸になりなさい。」
妖艶な笑みを浮かべ続ける副担の指示に、俺は無言で従う。
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