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追放商人の探し物  作者: モパ
混沌の樹海
30/58

【サイドストーリー】樹海の最深部にて①(各々の思惑編(前編))

「やはり、アマトティ様の欠片の1つに逃げられていたかぁ……」


ニンムシュ様が不機嫌な顔で呟かれた。



「転移装置と鑑定装置の記録の不具合は、アマトティ様の仕業だったのでしょうか?」


「それは無いわ。


【虹を産んだ者達】の連中は経年劣化による不具合じゃと言ってる。


今、召喚されて来た異世界人目線から【オピオタウロスの荷車】の連中が裏付け調査を行っておる最中よ。」


アタシの質問にニンムシュ様が淡々とした口調で、ご返答をされる。


「して。

アマトティ様の欠片の1つに逃げられた件を、皆様に共有されますのでしょうか?」



「するしかないでしょ。


本当、今回の件の発端が、魔道具の不具合で助かったわ。


もし、そうじゃなければ……」


「最悪の場合、皆様が手を取り合って、我々の首を取りに来られるでしょうからね。」


アタシは敢えて、ニンムシュ様が言い淀まれた事を言語化する。



部下としては、ニンムシュ様のお気持ちを、荒いざらに話して頂かなくては、ニンムシュ様の望まれる事を先回りする事が出来ないからだ。



「でっ。この森や周辺国の砦や町。村の警備の強化や、鑑定装置の情報の提出の指示に反対する者は居た?」


「いえ。

モンスター氾濫への対策の一環と申しておりまする故、皆さん、協力的ですよ。」


アタシはニンムシュ様のご質問に胸を張って答える。


「その理由だと私を快く思わない者達も、おいそれとは断れないでしょうね。


上手い理由をつけたわね。」


「勿体なきお言葉。

感謝の至りでございます。」


アタシはニンムシュ様に深々と頭を下げる。



「それじゃあ、我々は、アマトティ様の欠片の1つが、この地に止まっていると仮定して、森狩りをしましょうか。


後、アマトティ様の欠片の1つと共闘でもされたら困るから、

あの異世界人達も、見つけ次第、【虹を産んだ者達】が指定した場所に魔道具を使って飛ばしましょう。」


「仰せのままに。」


アタシは、再度、ニンムシュ様に深々と頭を下げる。



アマトティ様の欠片の1つにも、異世界人のアサグにも、個人的には同情を禁じえないが……


(ニンムシュ)の命令は絶対だ。


だから、ごめんなさい。


異世界人には非業の死を、アマトティ様の欠片の1つには監禁を、プレゼントしなくてはならないの。


許してくれとは言わないが、アタシの立場も理解して欲しい。



って……無理だよね……


そんなの分かってる。

分かってはいるけれど……


願うぐらいは良いでしょ?



ーーーーーーーー



今となっては名前すら思い出せないアイツ。


私はアイツが嫌いだ。


アイツはクラスメートの2/3以上の男女から好かれていて、

しかも、男子の半分以上が狙っているモテ女の癖に、

その事に気がついてさえいない嫌味な女だ。



しかも、スクール カーストにも無頓着で、

キモオタや腐女子どもへも公平に訛りまくった言葉でフレンドリーに話しかけやがる空気も読めないバカだ。


そのお陰で、選ばれなかった愚民どもが、

選ばれた者である、私達の顔色を伺わずに、ノビノビと、その糞みたいな人生を、

あろう事か、アタシ達の目の届く場所で、堂々と謳歌してやがる。



親がヤ◯ザだというボス気取りの男子と、その子分達も、アイツに格の違いを教えようとしたらしいが……


アイツに返り討ちにされたせいなのか、いつの間にか、アイツの下僕にでもなったかのように振る舞い始める始末だ。



それなのに、アイツは……


『すんだ事を何時までもグチグチ言わはんな。

いい加減、自分自身を許したり。』


とか……ボスを気取ってたヘタレ男子どもに偽善者のような発言までしている。



それは、強者の余裕でも見せてるつもりなのかしら?

マジ、ムカつくんですけど。



てか、ヘタレ男子ども。

マジで気持ち悪いから、アイツの事を姫とか呼ぶの止めろよな。


お前達が、アイツにバカなあだ名を付けたせいで、

お前達以外の格下達までが、アイツの事を姫なんて呼ぶようになっちゃったじゃない。


てか……そのあだ名が相応しいのは、アイツじゃなくて、アタシ達だってたんだよ。バカ野郎どもが。



いかん。いかん。熱くなってきた。


だけどね。これは、アタシだけの意見じゃない。

【納勤乙女団】のメンバーの総意。


だから、これは、アイツへの僻みでも妬みでもない。

格上のアタシ達から、格下のアイツへの正当なる苦言なの。


まぁ…‥バカなアイツには、アタシ達の崇高な言葉なんて理解する事が出来ないよね?


頭が足りてないから赦して……やれるかよ。



てか、さぁ……

お願いだから、見つけたら死体だった。なんていう、しょうもないオチは止めてよね。って……


それを、あんたに求めるのは可哀想か。



だって、あんた、あまりにも糞雑魚だったから、

ニンムシュ様がイラッとして、思わず追放しちゃたらしいじゃん。


選ばれなかった、あんたが、

選ばれたアタシ達ですら、油断すると死ぬ。って言われてるような、この森で……今もノウノウと生きてる訳ないもんね。



でも、安心して。

恐怖で震えながら死んだ、あんたの死体は必ず見つけてあげる。


でっ。アタシは、あんたの無様な姿を携帯で撮るの。


そして、その写真を、毎日、毎日、毎日、いっぱい見てあげる。


そんでもって、あんたの無様な死に様を、嘲笑い続けてあげる。



「クショ。

出発の時間らしいわよ。」


「は~い。」


アタシは思考の渦から抜け出して、親友のナルーの呼び掛けに短い返答を返す。



ーーーーーー



「サキミ。


アタシ達、【双頭の叡知】は、ニンムシュ様がアタシ達、召喚者だけに依頼して来た姫捜しの依頼を受けるには受けるが、

姫の方から接触して来ない限り、姫を見つけても無視する。


って……どう言う事?



あんた、姫と仲良かったじゃん。


それが、姫が底辺に堕ちたからってだけで、

ピンチに陥っている友達を見捨てるとか、マジ、有り得ないんですけど。」


「そうだぞ。サキミ。


たとえ、姫が、ニンムシュのババァが、思わずイラッとして追放するぐらいの糞雑魚だったからって……それがどうしたっていうんだよ。


あいつは、何も悪くねぇ。

ただ、運悪く、この世界に不向きだった。ってだけだろ。


悪いのは……そんな姫を召喚しただけでなく、こんなヤバイ場所に追放したニンムシュのババァだと、俺は思うけどね。」


「ジャスオ。

気持ちは分かる。分かるけど……

ニンムシュ様へのディスりは止めてくれないかな。」


「ヒデミの言う通りよ。


ニンムシュ様に対して、言論の自由なんてものは無い。


いい加減、慣れてよね。」


モチミがジャスオを睨む。



「皆、落ち着け。


姫と一緒に追放された。つう大人の面倒まで見てやるか? つうところで意見が割れるなら分かる。


だけどさぁ……サキミが意味もなく姫を見捨てるような事を言う訳がねぇと思うだ。


だから、さぁ……

サミキが、何故、そんな判断に至ったのかについて、ちゃんと理由を聞くべきじゃねぇか。」


「ガンエキの言う通りだね。」


ガンエキの言葉にヒワケンが頷く。



◇◇◇



「はぁ……


皆、俺TUEEE病でも患った?

それとも……患ってるのは俺SUGEEEEEEE病?


とにかく、私の話を良く聞いて。


私は死にたくないから、皆には厨二病から卒業して、現実を直視して貰いたいの。」


「どうした?

何、いきなり、キレてるんだよ。」


他の皆がポカンとしてるなか、ガンエキが苦笑いしながら聞いてくる。



「良い。


この場所は、ギルドがCランク未満の冒険者の立ち入りが禁止された場所から、入れるランクがBランク以上に引き上げられた。


そして、最低気温が、-5℃前後から瘴気の濃度が濃くなった影響で-20℃前後に下がってる。


そして、姫の装備は召喚された時の装備。つまり……姫の腹は制服で、持ち物は教科書やノートや筆記用具とかが入った鞄。


そんでもって、姫が、ここに追放されてから1週間以上が経ってる。


ここまではオッケー?」



「オッケーも何も、何を今更……って……


あれ? おかしいぞ。


たとえ、この森に異常が起きてなってなくても、


他の奴等よりも優れた力を得た俺達でさえ、

召喚された時のままの装備だけで、いきなり、こんな場所に放り出されたら……流石に全滅してるよな。


それなのに、何故、ニンムシュのババァ……

ニンムシュ様は姫が生きてる前提で、俺達、召喚者された者達に、姫の捜索の手伝いをしろ。なんて言ったんだ?」



「やっと分かってくれたか。」


ガンエキの言葉を聞いて、私はホッとした。



他のメンバーもハッとした顔をしてくれている。って事は……

どうやら、皆、私の言いたい事に気がついてくれたようだ。



「でっ。サキミは、

ニンムシュ……様が、こんな変な指示を出して来た理由をどう考えてるの?」


「分からないし、想像すらつかない。


ただ、分かるのは、

ニンムシュ様は、私達に何かを隠してて、

その隠し事に姫が関わっている可能性が高い。って事。


そんでもって、姫は、私達よりもチートな存在になっている可能性が高くて、


結果だけ見れば、ニンムシュ様の手足となってる私達の事を、


姫の方が私達の事を、今まで通り、友達として認識してくれるかが分からない。っていう事。」



「成る程ねぇ……


それはそうと、サキミ。


姫を見つけてシメる気、満々の【納勤乙女団】や、

姫や、姫と一緒に追放されたっていう綺麗なお姉さんを犯すんだ。って汚い物をおったててる【疾風の黒狼団】や、

姫を助けるぞ。って鼻息を荒くしまくってる【スローライフ切望団】の奴等に、


何故、この話をしなかったんだ?」



「はぁ…‥ジャスオ……


そんなのサキミに聞くまでもない。


サキミは無能を装って、ニンムシュ様のご指示に背きましょ。って言ってんのよ。


だから、こんな話……

命を預けられる仲である、アタシ達以外に話せる訳ないじゃん。」


ヒデミは、そう言うと、座ったままの姿勢で私の肩に寄りかかって来た。

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頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。

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