ミンボンの温泉街と特許と寄付
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時刻は21時。
トラックのフロントガラスや窓ガラスに木々が擦れる音が車内に響き渡る。
『こちらバスコ。
道幅が狭い場所が暫く続くから事故をしないように気を付けてね。
荷台の人達は、外が見えなくて怖いだろうけど……
木々が擦れる音だから気にしないでね。』
『了解。』×10 「了解。」
無線機から聞こえてくるバスコさんの指示に皆が頷く。
「怖。マジで道幅がギリギリ。
一瞬でも油断したら崖から転落するわ。
わたしのような異能もないのに、チナさん達の乗っているトラックを運転しているマゼさんやコラさんはマジで凄いわ。」
嫁がトラックのハンドルをハの字に持ちながらボソッと呟く。
「てか……今が真冬で良かったわ。
これが他の季節だったら、きっと……虫の巣窟だったわ。」
「この辺りには、かなりの数の羽虫サイズの頭の悪いモンスターが居るわ。
オイラ達の乗ってる物って、
ゼロヒト達がヘッドライトやフォグランプ。作業灯とか呼んでる、光魔法で作られた灯りをつけまくってから……
光が大好きな羽虫サイズの頭の悪いモンスターが寄ってくると思うぞ。」
「大丈夫よ。サモナブ。
ドタの言ってる事は嘘じゃないけど……
羽虫サイズの頭の悪いモンスターは雑魚だから結界は破れないわ。
ドアや窓ってのを開けさえしなければ大丈夫よ。」
ドタの頭を叩きながらゴブが嫁を落ち着かせるように、穏やかな声で話す。
■■■
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時刻は23時。
トラックのフロントガラスや窓ガラスに木々が擦れる音が車内に響き渡る。
『こちらバスコ。
もう少し走ったら温泉街に着くわ。
そこから先は、街道まで続く、街道並みの広い道を移動するから、輸送作業の負担がかなり減る筈。
温泉街の周辺の広場で1度、休憩を取るわ。
だから、後、一踏ん張り頑張ってね。』
『了解。』×10 「了解。」
無線機から聞こえてくるバスコさんの指示に皆が頷く。
■■■
「すまないが、所属と名前を教えてくれ!」
時刻は0時。
異世界物のマンガとかに出てきそう高い街壁の上には魔力弾のライフルを構えた数十人の男女が居る。
その中の拡声器を持った1人の女の人が問いかけてくる。
「アタシはギルドからBランクの評価を受けてる貿易商会のチナミン商会のチナ。
下請けのコブドタ商会と、
ギルドのミンボン山脈支店に拠点を持つ、ギルドからBランクの評価を受けている冒険者のパーティーのテイヒィ団と共に、
ニンスキ村の特別保護院から受けた輸送依頼の仕事をこなしている最中だ。
壁外での休息の許可を願いたい。」
チナさんがトラックに設置された拡声器を使って呼びかけに答える。
「了解した。
アタシはミンボンの樹海の温泉街の警備隊長のスベだ。
チナ。中に入って補給はしていかないのか?
必要ならば門を開けるぞ?」
「それは有難いけど……
何故、逃げずに止まっているの?」
「ラジオ放送で言っていたミンボン山脈の樹海の最深部の湖へ行く調査団の拠点にしたいと言われたから、
村人、全員で、ここに残る選択をしたんだよ。」
「了解した。
少し中で休ませて貰いたい。」
「分かった。門を開けよう。」
「有り難う。」
チナさんとスベと名乗る女の人は知り合いなのだろうか、拡声器を使ったやり取りが砕けた感じのやり取りになってきた。
「横から失礼する。
コブドタ商会のゼロヒトと言う者だ。
トラックの荷台に載せる物・人兼用のコンテナがあれば売って欲しい。」
「必要とあれば車屋を叩き起こして紹介するが、何故、このタイミングなんだ?」
「前々から、トラックに載せているコンテナを、
貨物用のコンテナから物も人も乗せられるコンテナ ハウスに載せ替えたいと考えているんだが……引き延ばしていて今に至る。
そして、今、我々のトラックの荷台にはニンスキ村の特別保護院の乳幼児達が乗っている。
この寒空の中、流石に忍びない。
それもあって、今が買い換え時だと思ったんだ。
コンテナの値段は高いからな。
機会を伸ばせば、また、ズルズルと買い換え時期を延ばしてしまう気がしたんだよ。」
「了解した。
車屋のベンを叩き起こして紹介してやるよ。」
スベさんの明るい声が拡声器から聞こえてきた。
■■■
「木箱の蓋に背もたれを取り付けるか。
面白い発想だな。
ただ、残念な事は、木箱のサイズが規程の規格よりも大きくなってるから売り物にならねぇ事だな。
売り物にするには、木箱の容積率を減らしてでも木箱のサイズを規定のサイズに調整する事ったな。
チナ。
こいつ達は、お前さんの下請けだろ?
俺のアドバイスを元に、こいつ達の名前で、特許申請をギルドに出してやれ。」
僕達のトラックのコンテナの中の荷物を、新しく買ったコンテナの中に運び込むのを手伝ってくれていた車屋のベンさんが柔やかな笑みで話す。
「ちょい待ち。
こんな感じの鉄の棒を、ここに入れといてな、
背もたれの部分を反対側にも寝かせられるようにしてな、
でっ。反対側に寝かした部分の先っぽに、先刻の鉄の棒を柱のようにしたもんを、こんな感じに集めたら……
即席のベッドの出来上がりや。
折角、商品化してくれはるんやったら、こんな感じにしたいわ。」
「嬢ちゃん。天才かよ。
これは……冒険者どもに売れまくるぞ。」
「間違いなく、アタシ達は買う。っすね。」
「せやろ。」
ベンさんとテイヒィちゃんの反応を聞いたヨロズコちゃんがドヤ顔をしている。
「特許申請の件なんだが……
俺達とチナさんとことベンさんとこの共同開発。って事にしてくれないか?」
「人の手柄を取るつもりはねぇ。」
「まぁまぁ。ベン。
この子達は若いが頭が良い。
理由ぐらい聞いてあげたら?」
チナさんが興味津々な顔で僕を見る。
◇◇◇
「チナミン商会の下請けとはいえ、
俺達はギルドにも登録していないポッと出の若僧の集まりだ。
しかも、俺達は諸国を漫遊しながら色々な事にチャレンジしたい者達でもあるし、
皆が皆、ベンさんのような人ではないと思ってる。
だから、その……
少なくとも、ギルドの登録者になるまでは、あまり目立ち過ぎたくはねぇんだよ。
もし、それでもお気に召さないのであれば……
特許で得たお金をニンスキ村の特別保護院に寄付してくれ。
俺達は、先刻も言った通り、諸国を漫遊しながら色々な事にチャレンジしたい、ギルドにも登録をしていない若僧の集団だ。
だからこそ、関わった人達の為に、施しをする世間知らずの善人と思われたくはない。
とはいえ……袖すり合うも多生の縁。
誠意ある人達の為に何かしたい。っていう気持ちがねぇ訳でもないんだよ。」
「チナ。お前……
とんでもなく腹黒い癖に、お人好しな善人なんていう変な小僧を見つけたもんだな。
まぁ……そう言う事なら手伝ってやる。
ユバリス。風変わりな小僧に感謝するんだな。」
ベンさんは、そう言いながら、ゼロヒト君の背中をバシバシと叩く。
「あぁ。そうさせて貰うよ。
有難とね。」
ユバリスさんは、そう言いながら、ゼロヒト君に頭を下げていた。
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