懸念材料
「ちっ。
先刻、ラジオ放送で言っていたミンボン山脈の樹海の最深部の湖へ行く。つう調査団を調べてみたんだが……
俺達と同じタイミングで召喚された奴っぽいの名前を見つけたよ。
【納勤乙女団】つう、数日前にギルドに登録された、
別々の到達点のジョブ補正を受けてる5名の女で構成された冒険者のパーティー。
【双頭の叡知】つう、数日前にギルドに登録された、
【賢者】と【匠の職人】のジョブ補正を受けている男女と、4名の無能者で構成された男女混合の冒険者のパーティー。
後は……
【疾風の黒狼団】つう、数日前にギルドに登録された、
別々の到達点のジョブ補正を受けてる5名の男だけで構成された冒険者のパーティー。
【スローライフ切望団】つう、数日前にギルドに登録された、
【賢者】のジョブ補正を受けている奴と、Bクラス相当の評価を受けている行商人と冒険者と傭兵と薬師と鍛冶屋で構成された男女6人組の商会。
具体的には、この4チームだ。
皆は、どう思う?」
「チーム名を聞かせて貰って感じたんは、
ウチ達の世界の厨二病を患ってはる人達っぽい人達が考えはった名前。ちゅう気しかひやんよね……」
「わたしも……
異世界系のマンガとかに出てきそうな素敵(笑)な、お名前ばかりだと思うわ。」
嫁とヨロズコちゃんが、ゼロヒト君の見解に苦笑いしながら頷く。
◇◇◇
「確か……無能者って、ジョブ補正が繋がら無い人達だったよね?」
「あぁ。そうだよ。
この世界の人口の70% が無能者だと言われている。
無能者も勉強さえすれば呪術や魔術は使えるようになるらしいが……
大半の無能者は、体内のマナの量が少ないので呪術や魔術も殆ど使えないらしいぞ。」
ゼロヒト君が僕の呟きに反応して、補足情報をくれる。
「情報、有難う。
なら、一番気になるのは【双頭の叡知】だね。
【納勤学園2ーAと愉快な仲間達による広域便利商会】は、確か……Cクラス相当の商会。ってギルドから評価されているんだよね?
他の3つのグループは、ゼロヒト君から聞いたメンバーの能力から推測すると多分……
【納勤学園2ーAと愉快な仲間達による広域便利商会】に入るよりも、入らない方が稼げる。って判断した。って推測が成り立つけど、
メンバーの2/3が無能者の【双頭の叡知】だけは、その推測が成り立たたない。」
「そうでもないぞ。
違法な方法で他世界から召喚された無能者に関しては、脳や肉体のリミットが切られておる。
そして、脳や肉体のリミッターを切られていても動き続けられるように脳や肉体が常に超再生されるようになっておる。
それに無能者は動物と同じく、索敵魔法に引っかかり難いだけでなく、状態魔法系にも掛かり難い。
その為、基本、無能者しか生まれないが、人属や他の亜人を遥かに凌駕する身体能力を持つ獣人の中には、
魔法や魔術。呪術が殆ど使えないというハンディキャップを高い身体能力で補い、Sクラスの冒険者にまで大成する者も居るのじゃ。
じゃから、獣人と同じく、人属や獣人以外の亜人を遥かに凌駕する身体能力を持つ違法な方法で他世界から召喚された無能者は、
近接戦に限っていえば、鍛練を積まなくとも、戦闘系のジョブ補正を受けているCクラス以下の人属や獣人以外の亜人の冒険者よりも確実に戦力として期待する事が出来るのじゃ。
しかも【双頭の叡知】には賢者のジョブ補正を受けている者も居る。
じゃから、チーム戦となれば、中距離戦闘や遠距離戦闘も問題無くこなせる筈じゃ。
じゃから、もし、【双頭の叡知】に所属する無能者が、主達のように違法な方法で、この世界に召喚された者達。もしくは獣人達じゃったとしたら……
【双頭の叡知】は、ゼロヒトが気にしておる【スローライフ切望団】以上の武力を持った冒険者のパーティーじゃと思うぞ。」
アマトティちゃんが、有益な情報を語ってくれる。
◇◇◇
「成るほどね。
それならば、【双頭の叡知】のメンバーが、【納勤学園2ーAと愉快な仲間達による広域便利商会】に入らない選択をしたとしても納得がいくね。
それで……【納勤学園2ーAと愉快な仲間達による広域便利商会】は、
ラジオ放送で言ってたミンボン山脈の樹海の最深部の湖へ行く。っていう調査団には入ってないの?」
「ギルドのランクが、Bランク以上か、それに準ずる実力がねぇと参加する事が出来ないらしい。
【納勤学園2ーAと愉快な仲間達による広域便利商会】のギルドの評価は、Cランク相当だから、
ラジオ放送で言ってたミンボン山脈の樹海の最深部の湖へ行く調査団に入る参加資格がないな。」
「成る程ね……
それはそうと、余裕があればで良いんだけど……僕達が指名手配になってたり、殺害依頼とかが出されたりしていないか調べてくれない?」
「兄さんは、ニンムシュが、ヨロズコの事を知っている奴を、ラジオ放送で言ってたミンボン山脈の樹海の最深部の湖へ行く調査団に入れたいが為に、
ギルドからBクラス相当の冒険者や傭兵。運び屋等の評価を得られる者を、【納勤学園2ーAと愉快な仲間達による広域便利商会】から離脱させた。って事を気にしてるのかい?
俺も、そこが気になって調べてはいるが……ギルドの通信機器に記録が残ってるやり取りには、そういう話はないな。」
「そうかぁ……
けど、油断はしない方が良さそうだね。」
「だな。
通信機器に全てのやり取りが残ってる訳じゃないからな。」
僕の言葉にゼロヒト君が深く頷く。
■■■
『こちらチナ。
月が雲に隠れ初めたのを確認したわ。
風と月の位置から考えると……
この後、昨晩のような吹雪になる可能性があるわね。
バスコとダガマは、そうなる事を前提で先導してね。』
『了解。
後、ラジオ放送で言ってたミンボン山脈の樹海の最深部の湖へ行く調査団も気になるわね。
調査団と鉢合わせしても、すれ違いが容易に出来る街道にルートを変更するわ。
その為に、かなり細い道も通るけど……ドライバーの皆。頑張ってね。』
『了解。』×6 「了解。」
時刻は20時。
嫁を含むドライバーの皆が、バスコさんの言葉に頷く。
『こちらチナ。了解したわ。
バスコ。ダガマ。イナノ。ズカワ。
盗賊への警戒度を上げてね。』
『了解。』×2
チナさんの指示にバスコさんとズカワ君が返答を返す。
『後は……アタシ達が盗賊団に間違われないようにも気をつけないといけないわね……
確か、コブドタ商会の皆様は、ギルドに登録した時に必要となる1年間の研修期間を嫌がって、
無登録者として、ギルドへ違約金を前払いで支払いながら仕事を受けて実績を積み、
ギルドから研修期間の免除の判定を出して貰うまで、ギルドに登録するつもりは無いのでしたよね?
この仕事を完遂してくれた暁には、ギルドには研修期間は不要。っていう推薦状を書かせて貰うから、
もし他所の一団の人達から、貴女達が何故、ギルドに入っていないのか?って聞かれたら、
「ギルドに登録した時に必要となる1年間の研修期間を免除して貰う為の推薦状をチナミン商会に書いて貰う為に、チナミン商会の下請けをしている。」
って答えてね。』
「了解した。
ご配慮、感謝する。」
チナさんの言葉にゼロヒ君が感謝の言葉を返す。
◇◇◇
「兄さんが寝ている時に、チナさんからギルドのランクを聞かれて、
『無登録者として、ギルドへ違約金を前払いで支払いながら仕事を受けて実績を積み、
ギルドから研修期間の免除の判定を出して貰うまでギルドに登録するつもりは無い。』
って答えたんだった。
すまない。兄さんへの報告が漏れてたわ。」
ゼロヒト君は無線機が切れている事を確認しながら、頭を下げてきた。
「まぁまぁ。
そういう事もあるよ。」
「そう言って貰えると助かるよ。
今後は、そんな事がないように細心の注意を払うよ。」
「宜しくね。」
僕は頭を掻きながら話すゼロヒト君の言葉に笑顔で頷く。
「チナさんが、ギルドに登録した時に必要となりはる1年間の研修期間を免除して貰う為の推薦状を書いてくれはるとか…‥
この世界に来てから、ウチ達の運は上がり調子やね。」
「ヨロズコちゃん。油断大敵よ。
チナさんが、敢えて、あんな事を言うって事は……
わたし達が考えている以上に、ギルドに登録していない人が人外地を移動するのは、思っているよりも危険な事なのかもしれないわよ。」
嫁が嬉しそうに話すヨロズコちゃんを嗜めるように話す。
「何処かでコンテナを、物だけでなく、人も運べる物に替えたいな。
そうすれば、受けられる仕事が増えるから、
ギルドから研修期間の免除の判定を出して貰う為の実績を早く出せる。」
「だね。」・「うん。」・「せやな。」・「じゃな。」
僕達は、ゼロヒト君の言葉に頷く。
ニンムシュ達の目を盗みながら、安全にアマトティちゃんと相方さん(プスアー)の欠片を探す旅をする為には、早くギルドに登録しないといけなさそうだもんな。
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