漆黒の闇夜の大移動③
「うっわ……」
「1本目のトンネル……
天井や壁や地面の至る所にムカデがウヨウヨしてはったもんね……
2本目のトンナルが見えてきはると、やっぱ……そうなりはるよね……」
「それも、そうなんだけどさぁ……
たった、今、2本目のトンネルの出口と、1本目のトンネルの出口とを繋ぐワームホールを作る準備がされた。
てか、多分……
最後尾のイナノちゃん達が乗るクアッドが、2本目のトンネルを抜けたら、直ぐにでもワームホールを繫げるつもりなんじゃないかな?」
「それって、悪霊達がヒャッハー団を足止めしてくれはる。って事なんかなぁ……って……そんな訳ないか。」
「どうじゃろうな。
追っ手を何とかしてやる代わりに、自分達を祓うな。って事なのやもしれぬぞ。」
嫁とヨロズコちゃんの会話にアマトティちゃんが加わる。
「これでヒャッハー団が、ウチ達の事を諦めてくれはったら良えのにな。」
「多分じゃが……
悪霊達は、ヒャッハー団を、
悪霊達が住む、死者の住まう世界と生者の住まう世界との狭間にある世界に引き込もうとするじゃろうな。
ヒャッハー団が、それに気づいて適切な対応をしないと、物理的な意味で、妾達を追うどころではなくなるじゃろうな。」
「適切な対応って、具体的には?」
「狭間の世界の食べ物や飲み物を飲食しない。
それと並行して次元の壁が薄い場所を見つけて、生者の住まう世界に戻る。
というのが定石じゃろうな。
後は……運が良ければ、狭間の世界の住人が生者の住まう世界に連れ出してくれる事もあるにはあるらしいが……
正直、期待せぬ方が良いじゃろうな。
まぁ……妾達に限っていえば、
サモナブに生者の住まう世界に繋がるワームホールを作って貰い、
そのワームホールを通って、生者の住まう世界に戻るのが確実な対処方法という事になるのじゃろうな。」
僕の質問にアマトティちゃんが答えてくれた。
◇◇◇
「キモい。キモい。キモい。怖い。怖い。怖い。」
「身体の周りに透明な結界が張られてはるとはいえ……
身体が剥き出しのクアッドで移動してはったら事故ってるとこやわ。」
「わたし的には身体が剥き出しでなくても、死ぬほど怖い。
事故らずにトラックを運転してる、わたしを褒めろ。」
「せやな。
姉さんは偉い。最高やで。」
「でしょ。でしょ。」
嫁は、ヨロズコちゃんとの会話で、何とか理性を保ってくれているようだ。
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
トラックが、地面に溢れかえっている、ムカデのような生き物を踏みつぶしながら進む音が車内に響き渡る。
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【バチン・バチン】・【バチン・バチン】
【バチン・バチン】・【バチン・バチン】
【バチン・バチン】・【バチン・バチン】
天井からフロントガラスを目がけて落下してくる、ムカデのような生き物をトラックのワイパーが地面に叩き落としながら進んで行く。
トンネルのサイズは、トラックが1台、ギリギリ通れるようなサイズだ。
だから、ほんの些細なハンドル操作ミスで壁に激突し、壊れて、動けなくなってしまう可能性がある。
とはいえ、まぁ……
このトラックにも、前や後ろを走る乗り物にも、僕が異能を掛けているから、実際に事故を起こしても、運行という意味では問題は出無い筈だ。
ただ、今は……その事は黙っておこう。
何故なら、可能な限り、僕の異能をユバリスさん達には知られたくない。
それに……皆の為に 頑張ってくれている嫁のヤル気スイッチを切るような事はしたくないしね。
◇◇◇
『こちらバスコ。
3本目の隧道を出た先は吹雪よ。
ここで滑って事故をしないように行軍のスピードを落とさせて貰うわよ。
それと……想定していた以上に木々や草木が生い茂っているわ。
だから、横からの風は、思っているよりも少ないと思う。
その代わり……索敵魔法に引っ掛かりにくい、魔法が使えない動物が潜んで居ても分かり難いわね。
ただ、魔法が使えない動物達では薄いとはいえ、乗り物の回りに張られている結界を壊してまで入って来る事は出来ない筈よ。
なので、不用意に扉を開けたり、幌を捲し上げたりはしないでね。』
『了解。』×10・「了解。」
嫁を含む、各々の乗り物のドライバー達と、各々の乗り物の荷台のリーダー達が、バスコさんの指示に短い返答を返す。
◇◇◇
「3本目のトンネルは歩くようなスピードで通る事になるのよね……」
嫁がタメ息をついている。
【空の目】の映像を見ると、最後尾のイナノちゃんとズカワ君が乗るクアッドが、2本目のトンネルを出てきたところだ。
【ピカァァァァ】
一瞬だったが、1本目のトンネルと2本目のトンネルと、それらを繋ぐ林道や、1本目のトンネルに繋がる林道の一部が青白く光った。
「うわ。
アマトティちゃんの言った通り、
悪霊達は、1本目のトンネルの出口と2本目のトンネルの出口を繋ぐワームホールだけでなく、
1本目のトンネルと2本目のトンネルと、その周辺を、一瞬だけ狭間の世界とワームホールで繋いだ後、閉じちゃったよ……
後ろの皆は、大丈夫?
ヒャッハー盗賊団は、どうなった?」
嫁が慌てた声で質問をしてくる。
「最後尾のイナノちゃんとズカワ君も、2本目のトンネルを出はって、ウチ達の後ろをついて来てはるよ。
そんでもって、ヒャッハー盗賊団の連中は……皆、消えてしまいはったわ。」
「そう。良かった。」
ヨロズコちゃんの返答を聞いた嫁がホッとした顔をしている。
「ヨロズコには、そう見えたのやもしれぬが……
正確には、ヒャッハー盗賊団とやらは、消えたのではなく……悪霊達によって狭間の世界に連れ去られたのじゃよ。」
「怖。
見いひんかった事にしよ。」
アマトティちゃんの話を聞いたヨロズコちゃんが苦笑いしている。
◇◇◇
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
【ガリ・ガリ・ガリ】・【ガリ・ガリ・ガリ】
トラックが、地面に溢れかえっている、ムカデのような生き物を踏みつぶしながら進む音が車内に響き渡る。
どうやら、話し込んでいる内に、3本目のトンネルの中に入ったらしい。
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【バチン・バチン】・【バチン・バチン】
【バチン・バチン】・【バチン・バチン】
【バチン・バチン】・【バチン・バチン】
天井からフロントガラスを目がけて落下してくる、ムカデのような生き物をトラックのワイパーが地面に叩き落としながら進んで行く。
「ここを抜けたら、吹雪かぁ……
事故ったら、ムカデだらけのトンネルの近くで夜を明かさないといけなくなるだろうし、スピード……出せないよなぁ……」
嫁は真っ青な顔で、独り言を呟きながらも、きっちりとトラックを走らせ続けてくれている。
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