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魔法大全(ウルオール図書館蔵)  作者: Sillver
第2章・詠唱基礎理論
8/11

2-1・詠唱とは何か

 いよいよ、魔法の根幹となる詠唱について解説していく。魔法の発動において、詠唱はただの見せかけや演劇のセリフなどではない。れっきとした『世界の理そのものに干渉するための手順』だ。

 にもかかわらず、昨今では詠唱する事を忌避する者たちが後を絶たない。また、不勉強な者に多いが意味も知らずに音だけを発声しても詠唱足り得ない。この章では5つの節に分けて、詠唱が必要な理由や利点などを語っていく。


2-1・詠唱とは何か

 第1章の万理性で触れた通り、魔力は本来属性を持たない。この状態の魔力のことを無属性魔力と呼ぶ。この状態のままでは、生活におけるちょっとした魔道具の起動には使えるが、各属性魔法や儀式魔法になってくると扱えない。そのため、魔力の塊を魔法に形作る必要性がある。

 この魔力の塊を魔法へと形作るときにやるべきことは以下の3つ。


①属性定義

②魔力の挙動

③1と2の固定


 これらを『世界に認めさせる』のが詠唱の目的だ。世界による拒絶が行われた悲惨な例は1-4にて語っている。

 また、詠唱に何故古代語を使用するのかだが、魔法には術者本人だけの明確な意志が必要になる。しかし、他者にも分かる現代語を使って詠唱を行ってしまうと、他者の言葉と意志が作った魔力の塊に乗ってしまい、魔力の塊を汚染する。結果、意図せぬ動きが発生し思わぬ被害を受けることがあるのだ。これを無くすために、一般には知りえない言語を使用する。

 下記の小節では属性定義・魔力の挙動・固定について詳しく解説する。これらが明確な意志の下に行われて初めて、魔力の塊は世界に承認されて魔法となるからだ。


属性定義

 収束しただけの魔力は属性を持たずそのままでは魔法には使用できない。そのため、魔力の塊にどれだけの属性の力を持たせるのかを決める必要がある。

 例えば、ファイア・ジャベリンであれば魔力の塊に対して火属性の力と、目的の方向へ飛ばすために風属性の力を混合させるといったようにする必要がある。このように、収束した魔力の塊に属性を付与することを属性定義という。


魔力の挙動

 属性定義をしただけでは魔力の塊は魔法にならない。どのように動くかを設定して初めて目標へ動いたり、術者からどれくらい離れた位置に展開し留まるのか。そういった動作が可能になるのだ。このとき、前方などに飛ばすのであればどのような軌道にするのかも組み込む必要がある。


属性と挙動の固定

 属性定義と挙動を設定しただけでは、世界の理である循環に組み込まれておらず、作った魔力の塊はそのうち霧散してしまう。これらの設定を魔力の塊に消えないように焼き付けて、世界の循環に組み込むことを固定という。

 例えるならば、芸術家が下書きした絵画を、顔料などで仕上げた後に、消えないように上からニスなどを塗るのに等しい。そして、展示する行為が魔法の発動になる。

 これら一連の流れを、我々魔法使いは詠唱と称しているのだ。

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