序文
うっかり、第3章の推敲が終わるまでは投稿しないつもりだったのに、下書き保存じゃなくて投稿をしちゃったので、冒頭3話だけ先にお見せします。うう、予定狂いまくりだよ(´;ω;`)
今日のエルセリアにおいて、魔法とは個々の練度に差はあれど、非常に身近な物である。私はここに、エルセリアにおいて一般的に使用されている魔法と魔法陣、詠唱その歴史について語っていこうと思う。
何故、現象は起こるのか?何故、魔法は物理的な法則を捻じ曲げ、時には無効化し、省略できるのか?こういった幾つもの疑問から学問とは始まる。本当にこの理論は正しいのかを疑いたまえ。思考を止めてはならない。そのための学びの入り口となれるように語っていくつもりだ。本書は著者である私、カレスト・クレイヴの長年にわたる研究成果と各種研究資料に基づいて編集・構成されている。そのため、本書発行当時はこうであったという事を念頭に置いて欲しい。研究の世界は日進月歩で、それまで正しいとされていた理論も、時が経てばそれが間違いであったことが発覚するなど良くある話だ。読者諸君には、ぜひとも新たな理論を発見してほしい。
本書はこういった目的ゆえに、魔法に関する基礎理論から簡単な歴史的背景に至るまでをまとめている。より専門的な魔法に関する技術、理論、歴史などは、それを専門に書かれた書籍が存在する。本書では足りない部分は、そういった書籍などで補填してほしい。
魔法とは、無限の可能性を秘めた技術である。また魔法の研究とは未知を既知へと変え、世界をより良いものへと導くためのものだ。私は、魔法使いは人々の奉仕者足るべきだと考える。モンスターの恐怖に脅かされる村があれば結界を、怪我に苦しむ者には治癒魔法を。しかし、これらの行為には相応の知識、覚悟、責任が伴う。覚悟もなく力を振るってはならない。それは、いずれ凶器となる。責任から目を逸らしてはならない。いずれ、全ての責任が追いかけてきて諸君を蝕む。知識は、覚悟と責任を明確にし、諸君らの歩みを導く杖となる。
魔法を扱う者は、ただ力を手にするのではない。常にその手にした力と、どう向き合っているのかを試されるのである。誇り高き賢者となるのか。力に溺れ暴虐の限りを尽くす愚者と成り果てるのか。全ては、力を扱う者の志一つだということを忘れてはならない。誤った知識から、本当に守りたかったものを、存在を滅ぼしてしまった事例は歴史に幾度も現れる。
正しく知り、正しく力を恐れよ。本書を読み終えた時、読者諸君がより深く魔法を理解し、正しく賢者へ歩みだすことを祈っている。
願わくば、この魔法大全が手に取った読者諸君にとって永い魔法を探求する縁となることを。
著者 カレスト・クレイヴ