無報酬で書くスーパーショートホラー
『西暦2025年
地球
北太平洋
列島X
の或島』
ジャングル
近未来物理学秘密研究所にて——
「ワープ装置は完成したようじゃなや?」
「はい。博士。」
ポコ・ウーン博士が後ろから話しかけ
苗方筵助手が応じる。
ポコ・ウーン博士は齢98歳の盲目天才科学者
前頭部から頭頂部に掛けて完全に禿げ上がっておるが、側頭部から後頭部には長く黄ばんだ白髪を背中の肩甲骨の辺りまで伸ばしておる。対する苗方筵助手はイケメンだ。
「では、わしから行くとするかなじゃなや。」
「お気をつけて。」
ポコ・ウーン博士はワープした。
「ぶくぶく。じばっだ。ごごば海の中じゃなや! ごぼごぼ。ワープ場所を間違えでじまっだのじゃなや! いやそんなはずはないじゃなや! っがは!」
ポコ・ウーン博士は言う。
「これでこの研究所は私のものだ。」
苗方筵助手が不適な笑みを浮かべながら言う。
バキバキ
突如研究所の屋根が壊れる。
「な、なんだ?」
驚く苗方筵助手。
機械の足。
現れる巨大ロボ。
「がはは、じゃなや。よくもわしを海に飛ばしおってじゃなや。あの海水の味からしておそらくはカリブ海に飛ばしおってくれよってからにじゃなや。つまらない陰謀企みおってからに。このスーパーロボットの錆の原因にしてくれようぞじゃなや。もっともステンレス加工しておるから錆びないがな。がはは、じゃなや。」
巨大ロボに乗るポコ・ウーン博士が操縦席マイク越しに言う。
「(聞いていたのか?)じょ、冗談ですよ。冗談。」
苗方筵助手が巨大ロボの顔を見上げながら言う。
「まあ良い。許してやろうじゃなや。」
「ほっ。ありがとうございます。(博士が馬鹿で助かった。)」
「なんちゃってじゃなや。」
ブシュブシュ!
巨大ロボに踏みつけられた苗方筵助手は赤い液体と化していた。
終