白紙の本に祈りを
常に苦痛は共にあり、故に一番の友になる。祈り掲げて血を流し、黒い肉とともに書き起こす。刻まれた文字は証明であり、私達の祈りは今届く。
この本は、決して今開いているページしか読むことは出来ません。次のページはめくるまで何も書いてありませんし、残りのページがどれくらいかも解りません。ならば、戻ることが出来るのかと問われれば、見ることだけは出来るでしょう。
身は苦痛と共にあり、これが福音の証明となる。痛みに苛まれるこの時も、決して私達から離れない。空洞という不幸さえ、遠いものと成り果てる。
黒い傷に心を痛めても、染まったものが覆ることは無いんです。今まで読んだものを反芻して、後悔を募らせるだけなのでしょう。だからといって、どうして白紙のままで居られるのでしょうか。誰もが安らかに眠りたいのです。
意思は苦痛と共にあり、後悔からは逃れられない。過去に刻まれる痛みさえ、幸福故の印となる。血が流れ出続ける限り、不幸へと至る事は無い。
血のインクで本を書く、その一滴が尽きるまでは終わらない。癒えない深い傷でさえ、この時の為にあったものだったのでしょう。意味のあるものなんて無いのと同時に、意味の無いものなんて無かったのです。
常に苦痛は共にあり、故に一番の理解者となる。かつて白紙の本に祈りを捧げ、朽ちることの無いよう願う。苦痛に記されたこの本が、この場にあると言うのなら。どうして不幸に至れようか
白紙の本に祈りを 黒紙の本に安らぎを