表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/13

11.確かめたいこと

 町の方に久しぶりに戻り、レクシアはネリィに買ってもらった服に着替え一人、宿にいた。

 彼女とは別れ、またルッキネスと二人きり。彼女は宿屋でも、以前剣の姿のままであったが。


「さすがに、一か月半も経っていたら、もうパーティには新しい人、いるよね……」


 町で得た情報によれば――メクウ率いる『烈火』には、既に新しいメンバーが加わっているとのことだった。

 レクシアと違って戦うこともできるヒーラー――それをメクウが受け入れたのなら、やはりレクシアは必要なかったということになる。

 期待していなかったと言えば、嘘になる。メクウがまだ、レクシアのことを探していてくれたのだとしたら……。


「どうしたらいいんだろう」

『レクシアはどうしたいの?』

「どうって……でも、気がかりなことは、あるんだよね」


 それはもう一つ――町で得た情報だ。

《嘆きのコルセスタ》で、《哭猫のルッキネス》の姿が久しぶりに確認されたということ。

 そのために、メクウ率いるパーティもまた、コルセスタに向かっているというのだから。

 ルッキネスは、ここにいるはず……そう思っていたが、彼女はルッキネスを名乗っているだけだ。


「ねえ、ルッキネス……聞けてなかったことだと思うんだけど……あなたは、魔物の王じゃないの?」

『私は魔物じゃないよ?』

「……え、そうなの……?」


 ルッキネスに聞くとその答えはあっさりと返ってきて、思わずレクシアは身体を起こした。


『私は魔物じゃなくて、剣になれるようになった獣人』

「獣人……剣になれる……?」

『そう。ずっと前に作り出された』

「そ、そうなんだ……。え、それじゃあ、今いるっていうルッキネスは……!?」


 彼女の言葉を聞いて、レクシアは気付く。確認されたルッキネスは――きっと、『本物』の魔物の王だということに。


「ど、どうしよう。本物がいるのなら、メクウが――って、あの子なら、私がいなくても大丈夫、かな……」


 慌てて向かおうとしたレクシアだったが、すぐにそう落ち込むようにしてベッドに座り込む。


『行かないの?』

「……うん。別に私がいかなくたって、大丈夫だと思う」

『レクシアは、友達のこと嫌いになった?』

「! き、嫌いになんてならないよ。本当は聞きたいことだって、あるし……!」

『それなら、行かなくていいの?』

「……」


 ルッキネスに問われ、レクシアは再び黙ってしまう。

 メクウの言葉は聞いていない。あくまで、アクトから聞かされた言葉だけだ。

 確かめたいという気持ちは――当然ある。


「……もしも、これで聞きに行って、やっぱりいらないって言われたらショックな気がする」

『わたしにはレクシアが必要だから大丈夫』

「……そう、だね。わたしも、わたしにもルッキネスは必要だよ。だから、うん。けじめをつけるために、確かめに行こう」


 レクシアはそう決意した。生還できたのだから、メクウの真意を確かに行こう、と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ