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デウス・エクス・マキナ  作者: 彩羽
1/1

prologue 「Beginning of the end」

初投稿です。

拙い文章ですが、何卒読んでいただけると幸いです。

深夜0時。

人々がすっかり寝静まった頃、どこか見覚えのある建物の屋上に、補導されてもおかしくないであろう年齢の者がいた。


「ねーねー」

「ちょっと黙っててね~?そうじゃないと、沙也加の恥ずかしい秘密暴露してやるから」

「嘘でしょっ!?」


「酷いなあ」なんて言いながら笑う少女——沙也加――は、両耳の下あたりで結ばれた髪を揺らしながら、その桃色の瞳を三日月形に細める。

コンピュータに向き合っている美少年——先程沙也加に暴言を吐いた――は、真顔でクルリと振り返り、少女の顔をジッと見つめた。


数秒間見つめあうと、沙也加が笑顔を崩さずに冷や汗を垂らし始める。

普段穏やかな表情をしている彼が真顔になると、その顔の造形もあってか、沙也加が苦手とする者――一応親友――を思い浮かばせる。

さすが一卵性双生児… 等と現実逃避している沙也加。

その様子を見ていた少年は、真顔のまま立ち上がり、ビクリと身を震わせた沙也加に歩み寄る。

可哀想なまでに汗を流す沙也加に笑いかけ、


「あははっ、ほんとにやると思った?

 冗談に決まってるじゃーん!」

「だっ、だよねぇ~!!!」

「今のところは」

「え"」


先程の真顔から一転。

笑顔で明るい声音を出しながら、沙也加に言葉をかける。

ホッとしたように汗を引っ込めた沙也加だが、その後に続いたガチトーンの言葉に顔を青ざめさせる。

心底可笑しそうに、少年は笑い始めた。


男にしては長い肩と肘の中間まで伸びている髪は、まるで夜空を閉じ込めたかのような不思議な色合いをしており、後頭部に高い位置で一纏めにされていた。

長い睫と瞼に隠されて見えなくなってしまった双眸は、ガラス玉のように鮮やかな青緑色をしている。

女性にも男性にも見える、中世的な顔立ちだった。


遊ばれていたのだ。

そう気付いた沙也加は、少年の名を恨みがましく叫ぶ。


「紫苑……!!!」


そんな少女の叫びに、我関せずといった様子で笑っている美少年――紫苑――。

最初は肩を震わせる程度だったが、我慢できなくなったらしい。

とうとう腹を抱えて笑い出した紫苑。

羞恥と憤りで顔を真っ赤にさせた沙也加が紫苑に文句を言おうとすると、突然現れた黒いフードを被った者――背が高いが、体系からして恐らく女――が沙也加の口を塞ぐ。


沙也加は驚いた様子だったが、紫苑が笑いを引っ込めたのを視界にとらえ、黒いフードの女の正体に検討をつけた。

無意識に力を入れた体から必要ない力を放出させる。


黒いフードの女は、沙也加の口を塞いでいる手の反対でフードを脱いだ。


「まったく…てめーら緊張感無さ過ぎ」


彼女の顔は、紫苑にそっくりだった。

違うのは髪の長さだけ。

彼女は膝まである長い髪をはためかせながら、眉を顰めて沙也加と紫苑に文句をつける。


「大体、お前に付き合ってやってんだからな。わかってんのか?」

「わかってる!!わかってるからちょっとタンマ!!死ぬ!!死ぬからッ!!!」


不機嫌そうにしながら沙也加の首を軽く締める。

ヘッドロックならぬネックロックだ。

彼女の問いに答えつつ、息が持たないと足掻く少女。

傍から見ると殺人現場のようだが、2人と長い付き合いである紫苑は、2人のこの行為がただのじゃれあいであることを知っていた。


◇ ◇ ◇


『速報です。たった今、警察庁が爆破されました――――』


深夜番組から急に切り替わった画面。

少女は、それを見てほくそ笑んでいた。


「……ざまぁみろ」


いかがでしたか?

もし面白いと思っていただけたなら、是非とも次話もお読みくださいませ。

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