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マジめんどくせーと叫びたいお茶会からは以上です!

ボフン


「お嬢様、お行儀が悪いですよ」


「今日は精神的に疲れたのよ……」


お茶会から帰ってふかふかソファにダイブしたらエイミーに咎められました。アルトリリーです。

疲れた。婚約破棄も楽じゃない。紅茶でお腹がタプタプである。

エイミーは咎める視線をこちらに送りながらも、手早くお茶会に着て行ったドレスや髪飾りを片付けている。


「お嬢様、口直しにお好きな果実水をどうぞ」


アベルがいつの間にか部屋に入ってきて果実水をテーブルに置く。


「ありがとう」


クッションを抱きかかえてごろごろしながらお礼を言う。


「お嬢様!髪が絡まっちゃいますよ」


エイミーが服を片付け終わり、抱きかかえていたクッションを取り上げられる。


「はぁ……婚約破棄も楽じゃないわ」




あのめんどくさい告白の後、タイミングの良いことにアベルがお時間ですと迎えに来てくれたのでなんとか結論はうやむやにして帰ることができた。

明日、ティアがうちに来て色々話す予定だ。

イザベラ様は、引き受けてくれたらティアの領地の温泉(もちろん最高級の部屋)に毎年2週間滞在してもいいと人参をぶらさげていた。ティアは目を輝かせていたので危なかった。

もし第1王子が即位して、イザベラ様が王妃になったら王妃のお墨付きなのだからそちらの方が良いだろうと説得すると、すぐにティアは納得してくれた。


私にぶらさげられた人参というと


「ルチアに『女神の涙』を買うように頼んだのは私です。婚約破棄の参考になるかと思って」


イザベラ様はちょっと恥ずかしそうに言った。

ルチアさんはイザベラ様付きのメイドだという。


「エメラルドグリーンの表紙の……タイトルは忘れたわ。あの本はイマイチだったけれど、『女神の涙』は感動しましたわ。私もあのヒロインの公爵令嬢のように生きられると良いのですけれど」


イザベラ様はチラリと流し目を送ってくる。

それを第1王子にやればヨロシイのではと思ってしまったが言わないでおく。


「アルトリリー様とは本の趣味が合いそうですわ」


その時ちょうどアベルの迎えが到着したとメイドさんが知らせに来た。どう考えてもどこかから見ていたようなタイミングですね。


「実は私、『女神の涙』の作者様とこの前、偶然知り合いまして」


ティアを促して立ち上がったところでイザベラ様から爆弾……いや人参が垂らされる。なるほど、これがあるから婚約破棄の協力を仰ごうと思ったわけですね。夜会で私がルチアさんを追いかけちゃいましたしね。


「作者に頼んで出版前に完成した続編の原稿をお渡しすることもできるのですが……それからサインも頂けますね」


マジか、あれは続編があるのか!やっぱり婚約破棄された公爵令嬢と隣国の王子が結婚するのか?!それとも旅の途中で助けてくれたあの騎士とか!?

はっ、危ない。危ない。私の一存で、殿下に問題ありだから婚約破棄に協力♪なんていう不敬なことに関わるなんて危険ですわ。


それにうちのお父様とマラカイト侯爵が仲良しなのも知って私に協力を仰いできているはずですね。私もエイドリアンと一緒に遊んだりしたことありますから。

んー、でもエイドリアンがイザベラ様のこと好きなんて聞いたことないので、場合によってはマラカイト侯爵家にも迷惑がかかってしまうかもしれないです。あぁめんどくさい。


「ところで、イザベラ様はエイドリアン様と想い合う仲でいらっしゃいますの?」


もうすでにロミジュリ状態なんでしょうか?

イザベラ様の扇を持つ手に力が入ったようです。ピシリと音がしますね。次からもっと丈夫な扇にした方がいいと思いますよ。金属を入れるとか。

ちなみに私は筋トレのためということで扇に金属を一部分だけ入れております。


「そういう仲になってから婚約破棄をお考えになられてはいかがですか?」


恋のキューピッドとか期待されていたら困りますしね。



まぁこんな感じで、人参に食いつきそうになりながらも帰ってきました。危なかったぁ。

だからクッションを抱えてごろごろする権利はあると思うんですよ、エイミー。

クッション返して。それが一番お気に入りなの。



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