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マジめんどくせーとこぼしたいお茶会 続きます!

「陛下や殿下にお伝えになればよいではないですか」


「……伝えたわ、私には荷が重いから殿下と婚約はしたくないって。そうしたらなぜか陛下には逆に気に入られちゃうし……。お父様は、反抗期か?と言って取り合ってくれないし」


そりゃあ、皆様、血眼になってでも王族と結婚したいでしょうから。謙虚な姿勢が陛下に評価されちゃったんですね。イザベラ様は真面目ちゃんですね。

そこはせめて、タイプじゃないので嫌ですって言わないと。

え?私はチキンハートですからそんなこと言えませんよ?


「殿下にも何回も言ってるの。あの夜会の日もお願いだから私との婚約を破棄をしてくれと言ったの。私は殿下のことは好きではないし……その……他に好きな人がいるからって」


おぉ!イザベラ様の顔が真っ赤!そういう表情だとイザベラ様は普通に可愛いです。いつもはちょっとツンツンしているのに。いや、可愛さはティアには負けますけれども。


「そうしたら、女除けに丁度いいから婚約破棄はダメだと。結婚してから好きな人は愛人にするなり自由にすればいいと」


あぁ、そこに愛は無かった……。政略結婚だから仕方ないと言えばそれまでですが悲しいです。

それにしても王子酷い。自分のことしか考えてませんね。せめてそこで嘘でも君が好きだ、好ましく思っているとは言っておかないと。


「夜会の時、殿下はイザベラ様のことを愛称で呼ばれていらっしゃったではないですか。仲がよろしいのでは?」


「愛称で呼ぶのは周囲に仲睦まじく見えるから、他の女性への牽制になって丁度良いからです。殿下は物凄い女嫌いなので。私だって小さな頃から婚約者候補と言われてきましたし、殿下との政略結婚は受け入れてきたつもりでしたが……私がいくら歩み寄ろうとしても殿下は心を開いて下さらないのです。殿下にとって私は他の女性除けに都合の良い強力な後ろ盾なのです。せめて仲の良いパートナーくらいにはなりたかったのですが……もう疲れました」


ぐずっとティアが鼻をすする音が聞こえます。ティアは純粋で素直です、泣いているティアも可愛い。


「殿下の女嫌いは知りませんでしたが、原因はあるのですか?」


「えぇ、将来変な女性にひっかかる心配をした陛下のせいです。幼い殿下を女装させて女性だけのお茶会に連れて行ったり、メイドにハニートラップを仕掛けさせたりして女性のあしらいを身に着けさせようとした結果が、殿下の女嫌いなのです。もちろん、王族と関わりを持ちたいために群がってくるご令嬢も女嫌いに一役買っています」


そこだけは殿下に同情しましょう。女性だけのお茶会なんて陰口と足の引っ張り合いのオンパレードですわ。それを切り抜けて行かないと貴族では生きていけないのが悲しいところです。それにしても殿下の女装は興味ありますね。


イザベラ様がため息とともに話し終えるとお茶会の席には沈黙がおります。ティアが時折鼻をすする音だけが響きます。ティア、あなたまたハンカチ持ってきませんでしたね?そんなこともあろうかと予備のハンカチを用意してあります。テーブルの下のティアの手にそっとハンカチを握らせます。


「婚約破棄を手伝うのがなぜ私たちなのですか?第1王子派の中にも他に婚約者候補がいらっしゃるのですから、その方々に頑張っていただければ良いのでは?」


「他の婚約者候補の方々は……媚を売りすぎて殿下に嫌われているの……。私も殿下に嫌われようと思って頑張ってやってみたけれど……わざとやっているのがバレバレだったようね。見え透いたことはするな、見苦しいと言われたわ」


イザベラ様、ほんっとうに殿下と結婚したくないんですね!


「その……あなた方のことは夜会で何度かお見かけして、他の方とは違うなと思ったから。

ティターニア様はどんなに陰口を言われても全く気にされず逞しいわ。先ほどの勢いには驚いたけれど、領地運営にとても熱心でいらっしゃるし、ご家族・領民のことを大切にされているのが伝わってきたわ。アルトリリー様は夜会でいつも壁際にいらっしゃるのに堂々とされていて。それに以前ご一緒した王宮のお茶会でのあしらいはお見事でした。私はあんな無礼な方をあのようにあしらうのは無理ですわ」


うーん、何のことでしょうか?王宮のお茶会はお菓子が美味しかったことしか覚えていないのですが。


「同年代の他の方々とは一線を画したお2人とできればお友達になりたいと思っていましたの。あ、でも、この前の夜会の、伯爵家のはしたない次男のことは想定外ですわ。お2人があの場にいらっしゃったのも想定外です。そもそもあのドナデウ男爵家のご令嬢にはお忍びで来た殿下に色仕掛けでもしてもらおうと招待しましたのに、あの軽薄な男に先に引っかかって現場を見られるなんて……はぁ……うまくいきませんわ」


イザベラ様、色々と策を練っていらっしゃますね。確かにドナデウ男爵家のご令嬢は高位の令息達によく付きまとっていますから。ベイルお兄様も付きまとわれた被害者です。


「ところで、イザベラ様の好きな方はどなたですか?」


ティア、直球で聞きますね。話の流れも無視ですね。


「……マラカイト侯爵家のエイドリアン様です……」


「マラカイト侯爵家の三男の方ですね」


「えぇ……」


イザベラ様、また顔が真っ赤です。いや、でもしかし、エイドリアンですか。めんどくさいですね。


「マラカイト侯爵家は第2王子派じゃなかった?」


ティアが小声で確認してきたので、頷きます。

マジめんどくせー、ロミオとジュリエットかよ。

あ、マズイ。また言葉遣いが。



お読みいただきありがとうございます!

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