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もしも人間が魔王になったら 改稿前  作者: キバごん
女王救済編(16/05/21 〜 16/06/20)
5/17

しばしば最初の目的を忘れる

「ーーーーーはい、、もう何年もこの国は戦争に関わっていないのです。」


「ほえ〜、凄いですね…前会った悪魔は攻撃的だったのに…見習ってもらいたい、切実に」


「ふふ……それがこの国の唯一の自慢ですから、、」


バルバロッサさんと話を続けーーー


どれだけ優しいか知った。


向こう側も言葉を放ち、受け取っていくたびに、、

血色が良くなっていくようだった。


「…ふぅ……話し疲れるのは久しぶりです、、」


「姫……」


アイナさんが暗く言葉を発しーーー


「…わかりました、行きましょう」

少し気だるそうに身を立たせーーー



「…ありがとうございます海斗さんーー」


「ーー本当に楽しい時間でした」


「では、また…」


優しい悪魔の女王は、自室へ戻っていった。


本当に楽しい時間だった。

楽しい時間はあっという間ーーー


その言葉が改めて実感できた。



良い人だった…

あの人一人で悪魔のイメージ、その大部分が崩されることとなった。


でも最初すごい暗かったな…

何かあったんだろうか……



すると、

「食器、お下げしますーーー」

最初に料理を持ってきてくれた人たちが近寄ってきた。


「ぁ、、有難うございます」


自分達が話しているのを邪魔しないように

下げる時間を見計らってくれていたのか…


なんてできた女性なんだ…

やはり悪魔は優しいんだーーー

綺麗だし、、



下げていく途中で目が合った、、


ニコッーーー


笑顔で返してくれた。

女神だ。




悪魔だけど。


ーーーーーーーー


幸せに浸っている時間が多すぎて、現実を見ることを忘れていた。



どうやって戻るんだーーー?



誰かに聞くの忘れてた。

まずい…

今になってすごい心配になってきた。




「…とりあえず、、城内ぶらつかせてもらうかな……」



ーーーーーーーーーーー


ーーーーーーー


ーーー


部屋に戻った姫は、先程の楽しい時間を思い返していた。


「………」

姫はうつむき、、微動だにしない。


「、、そこまで楽しかったのですか…」


「…はい、、とても」

笑みを浮かべる。


「……」

もう、アイナはそれについて聞こうとはしなかった。

これから待つことを思い出させたくないと思ったからだ。

少しでも、楽しい思いを、時間を感じて欲しかったからーーーー



しかし、姫の方から、話をやめようとしなかった。


「…ねぇ、、、アイナ…」


目を閉じ、下を向いていたアイナはそちらに顔を向ける。


「あの人のこと、、どう思った…?」


「……」

「とても…」


「柔らかい感じはしました」


「あまり私たちが知らない男性だったと、、思います」


実際、海斗と姫が話しているところを見てそう思った。

魔界にいる男など、親切な者の方が少ないーーーー

絶滅危惧種と言っても過言ではないほどだ。

皆、自己満足ができればそれでいいのだ。


「私も、、そう思います…」

姫はどことなく、懐かしいものを見るような目でそう言った。


「アイナ……」

再び従者の名前を呼ぶ。


呼ばれた者は先ほどから姫の方向を向いているが、

今から発する言葉を受け止めるために、改めて姫を再視認する。


「私は……今現在において、最も浮かんではいけない事を…

浮かばせてしまいました……」


「……それは、、、?」






「一瞬、、ほんの一瞬だけ、、、」



「あの方が、この国の魔王になってくれれば良いのにと…」

「そう…思ってしまいました…」




アイナは驚愕した。

姫がそう言ったことに関してではないーーーーー


あの男が、姫にそう言わせたことに関して、驚愕した。


何千年と、淫らな目で見られ、汚いやり方で自分を落とそうとしてきた「男」。


種族が、、そうしてきた奴らとは違う人物とはいえ、、、


「この国の魔王になってくれれば良いのに」


姫に、こんな事を言わせた男ーーーー

本当に、驚き以外のなにものでもない。


アイナは今になって、海斗に対し興味が湧いてきた。


「…姫」


「ごめんなさい、、なんでもないわ…」


そう思うことは、何もおかしいことではないーーーー


アイナはそう言いたかったが、それに続く言葉が思い浮かばない。

何より、それを言うには、

あまりにもあの男の事を知らなさすぎた。


遮られたのは、ある意味良かったのかもしれない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーー


ーーーーー


バルバロッサからの想いなどつゆ知らずーーーーー


海斗は城内を歩き回っていた。


「すごい広いな…」

「気ぃ抜いてたら迷いそうだ…」


廊下はひたすらまっすぐで、その両側にたくさんの部屋の扉が付いているだけなのだが、、、


所々、枝のように伸びる細い廊下も見ることがあったのだ。


手がかりを見つけるために、うろうろ捜索していたら迷いそうだった。


「ん〜、誰か廊下でばったり会ってくれたら聞きやすいんだがな〜…」


「しゃあねぇ、、どこかノックしてみるか…」


どこか良さそうな人がいる部屋はないかと、扉の品定めをしていると。



「、、おろ…ここの扉だけ他のとはちょっと雰囲気が違うな…」


海斗の目に止まった扉は、他よりも少し大きく、装飾されているものが高級だった。


「いつもだったら、でかい扉に入るのはちょいと気がひけるが…」


「こういう時は、むしろゴツそうな扉の方が、、普通の扉より、優しい感じの人がいるのではないか…」


「その上、バルバロッサさんみたいな良い悪魔の方がいる可能性がある…」




「よしノックだ」


コンコンーーーーーーーーー


二回ノックする。

返事はすぐに戻ってくると思っていたがーーー


戻ってこない。


「あれ、、変だな…」

「もしかして魔界にはノックをするという文化がない…?」

「いや、悪魔だぞ、淫魔だぞ、、?」

「仮に、励んでいた時、入ってこられたらどうする…」


「よし、、もう一回だ…」


コンコンーーーーーーーーー


もう一度ノックするが、、、


結果はさっきと同じであった。


「……」


「いいんだな、、?入るぞ、、?いいんだな?…」


「俺は入るぞ…いいのか…?」


端から見れば、今の海斗は泥棒そのものだ。


「俺はノックしたからな、、?」


「お邪魔します」


ガチャーーーーーーー




部屋に入り、真っ先に海斗の目に入ってきたものはーーー



「きれーなドレス…」


トルソーに着せられているドレスがあった。

それはまるで、、ウェディングドレスのようーーー

純白ーーーーなんの汚れもないそれは、、

見る者が男であっても魅了するものだった。


「誰のなんだろう…」


そう思ったが。


「……人がいない…」

大きな部屋だったが、そこには一人も居なかった。


「違うとこ探そう…」


それはそう、海斗はドレスを見に来たわけではない。


誰かに、ここから人間界に戻るすべを聞かなければーーー


「…お邪魔しました〜」


部屋から出る。


ーーギィィーーーーーバタンーーーーーーーー



ドレスは部屋の真ん中でーーー弱々しく、存在を主張していたーーー






ーーーーーーーーーーーーーーー


「時は満ちたーーーーーー」


「今から、私の妻となる者、バルバロッサを迎えに行く」


「皆の者、、準備はできておろうな…」


「…では参るとしよう……」


「今行くぞ、、我妻よ…」


ーーーーーーーーーーーーーーー





運命の分岐までーーあと2時間ーー




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