今の幸せ度:あ、寝れそう〜〜と、うとうとしてる時のアレ
「はふぅ〜……ご馳走様でしたー、美味しかったです…」
出された食事を食べ終わり、体は幸福に浸っていた。
量は多かったが、止まることなく胃の中に押し込まれていった。
こんな食事は初めてだ。
「あぁ〜……」
「ーーーなんで俺ここにいるんだっけ…?」
「あ、ラーファか…」
「お初にお目にかかります」
「…えっ……」
いつの間にか真後ろに女性が立っていた。
やはり、悪魔。
なんの気配も感じられなかった。
威圧感があり、優しさもあるような姿だった。
銀の髪に、純白のワンピースに身を包み、、青と赤の目が映える。
「初めまして、バルバロッサ・ラナと申します」
「こちらこそ初めまして、高村海斗と申します」
自分の名前を言った後に思い出す。
「…バルバロッサ……小惑星の名前…」
その小声に気づいたそうで。
「はい、人間界ではそのようになっていますね」
人間界ーーー別の世界の事まで知っているということは博識の人のようだ。
海斗の後ろの方をちらりと見て、
「…ご満足していただきましたか、、?」
「ぇ、、あ、はい!それはもう!とても美味しかったです」
「それはそれは……」
少し表情が柔らかくなったと感じられる。
「優しそうなお顔で、、」
「へ、、そうですか…?自分の顔だから分かんなくて…」
いきなり顔を褒められた。
女性からーーーー
「女性」 から
嬉しいです。
というより、最初からバルバロッサさんの後ろにいる女性の目つきが怖い。
その目だけで体を完全に掌握されているようにも思えられた。
でも綺麗だな、、、さっきから城内の女性に会う度に、心にその字が浮かんでくる。
心が汚れてしまった事を再確認する。
仕方ないね、男だもの。
「えと…そちらの女性は……?」
「あぁ、こちらは、、、アイナ、そんなに睨まないの」
「!…すいません…つい」
つい、睨まれてたのか。
今の会話から
どうやら、アイナというらしい。
「自己紹介が遅れた、アイナ・エルミーラという。
以後よろしく頼む。」
しっかりとした声だ。
男勝り、という感じがする。
「はい、高村海斗です、よろしくお願いしm……!!」
……この人のお尻の側面から腰まで…布が無いぞ…
パンツの紐が丸見えになっt紐パン!!?
紐パンだ!
この人自分が紐パン履いてるって公表してる!
声を大にしてる!!
「?…なんだ…その目は」
ますます目つきが鋭くなる。
あ、やばい。
目は口ほどに物を言うんだった。
目から欲望だだ漏れだった。
「もうアイナ、、」
「…すいません……」
良かった、バルバロッサさんが止めてくれた。
しかしアイナさんの僕への不信感は止まらない。
悲しき世界。
「姫、もうよろしいでしょう。お部屋に戻りませんか」
「……いえ、もう少しこの方とお話したくなりました」
「姫……」
「もう少し、もう少しだけです」
しばらくの間、柔らかな声と殺気にまみれた目線を浴びる事になったーーーーー
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「もうしばらくです閣下」
「うむ、、、そうであるな…」
「こちらの準備は済んでおります…」
「後は閣下のお声次第…」
「……よし、、では、2時間後に出発とする」
「それまで待機だーーーー」
「仰せの通りに、、閣下」
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「そうなのですか、、そちらの世界は平和なのですね…」
「はい、日本はとりあえず他の国より平和です」
「いい事です、、平和が何より…」
「王女が平和を望んでいるなら……この国も平和で良い人ばかりなんじゃ無いですか?」
話していてわかった。
自分が思っているより、悪魔は優しいんだ。
間違いない。
案外ラーファが言うように、サタンとかもそうなのかもしれない。
「はい、ほとんどは……あ、サタンとかは時々暴れますけど、、」
前言撤回サタンはダメだ。
やはりイメージ通りらしい。
「あとルシファーもしばしば…」
ルシファーもダメらしい。
ラーファが候補に挙げた人両方が潰れた。
ラーファ無念。
君だけに優しいんだと思う。
「ですが、時々は優しいんですよ?」
「この前、パンツを買ってくれていまして、みんなの前で渡してくたんです」
そう言って口角を上げる。
いや姫様、それおちょくられてるから。
面白がられているだけだから。
「へ〜、そうなんですか〜」
悟られないように抑揚をつける。
「ええ、そうなんです…」
そう言った後、表情に血が通ったよう、、
「…あなたと喋っていると、、」
「楽しいです…」
アイナさんが少し目を大きくさせた気がする。
「ぁ…ありがとう、ございます」
純粋に嬉しかった。
なんせ女性から言われたのだ。
あなたと喋っていると楽しいですーーー
あとで掛け軸に書いて飾っておこう。
帰れるかわかんないけど。
「姫、、ということは、、」
「はい、もっとこのお方と喋っていたいです」
アイナはため息をついた。
やった。
まだ喋ることができるのか。
あとさっきの言葉も掛け軸に書いて飾っておこう。
帰れるかわかんないけど。
「次の話はですねーーーーーー」
バルバロッサさんが話し始めるーーー
魔界の国だけども、一言で邪悪と言えないのかもしれない。
自分の中で新たな認識が生まれようとしていた。
運命の分岐までーーあと3時間ーー