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もしも人間が魔王になったら 改稿前  作者: キバごん
女王救済編(16/05/21 〜 16/06/20)
3/17

食事のマナーがよく分からない

城に向かう途中、ここは魔界なんだと、貴方は何らかの理由で迷い込んでしまったのだと、ラーファは語ってくれた。


「こっちです!」


「お、おう…」


ラーファに手を引かれるまま、ついに、王国へ辿り着いた。


「ここが…」


レンガで造られた大きな門をくぐり抜けると、城下町が目に入ってきた。


しかし、活気付いた様子はなく、、ひたすら静かだった。

その静かは決して「粛然」ではなく、何かに怯え、静かにせざるをえない状況…そんな静けさだった。


「…あんまり元気じゃないのか、、?お前の国、、」


「……」


いきなり静かになるラーファ。


どうやら地雷を踏んでしまったようだ。


「……今日は特別なんですよ!そうです!特別な日なんです!」


「…はぇ〜」


あまり深入りしないでおこう。



ーーーーーーーーーー



「ここです!」


城にたどり着いたーーー

ーーー大きな大きな城だった。

こんなに静かでなかったら、どんだけ……

いや、これが魔界らしいのかもしれない。


「ここには悪魔さん達がたくさんいるのか、、?」


「はい!それはもう!優しい悪魔さんがたくさんいますよ!」

ラーファは満面の笑みでそう答えた。


「悪魔」ーーという単語自体が、悪の権化というイメージでしかなかったので意外だった。


「へぇ〜……例えばどんな人がいるの?」

興味本位で聞いてみた。


「えっとですね、、サタンさんとか!ルシファーさんとか!」


「へ……?あっそう…」

「優しい」から一番遠い名前が出てきた。

あれ?自分がおかしいのか…?


「早く入りましょう!お礼をさせていただきますし、その方達にも会えますよ!」




できればお会いしたくありませんーーーーー




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーー


城の中に入り、まず感じたことは


圧巻ーーーだった


金などで装飾されていないにもかかわらず、この世の最上級の城と思わせるほどだ。


こんなところにお呼ばれしていいのだろうか。


「ーーーーー」

そんなことが頭をめぐり、ボーーーーッとしているとーー


「?…あの、、海斗さん?いきましょ?」


「えぁ?…あ、ああ、、、はい」



あらゆる場所での適切なマナーを覚えてこなかった事、

それを初めて悔やんだ。



ーーーーーーーーーーーーーー


今僕は、長方形のテーブルの短い辺のところに座ってます。

ーーー僕の目の前にはテーブルがひたすら続いています。

よくテレビで見るあの長い、長方形のテーブルーーー

頭足りなさすぎてこのテーブルと座る位置の名称もわからない。

机にろうそく乗ってるでおい…シャンデリアもあるでおい…

こんなのに座れるなんてーーー


僕なんかしたかなぁ?


座ってから少し経つとーー

右奥から人が現れた。


「貴方様が、ラーファを助けてくれたお方でしょうか」


綺麗な女性だ、、、

長い髪でウェーブがかかり、おっとりとした目で、、

使い古された表現で言えば、目を見つめ続けていると吸い込まれてしまいそうだ。


「ぁ、ま、まぁ…助けたというかなんというか…」

「たまたますれ違ったというか、、、」


「あらまあ、、謙虚なお方、、、」

目を細める。


「今からお料理をお持ちします、どうかごゆるりとお過ごしくださいませ…」


「はい…ありがとう、ございます、、」


「では…」


流れるように調理場と思わしき方向へ消えていった。


確かに、ラーファが言っていたように優しかった。

今の女性との会話で緊張もほぐれたようだ。

そこまで心配するほどでもない、そう思えた。


しばらくして、料理が運ばれてきた。

高級なレストランでしか食べることができなさそうな料理ばかりだ。

運搬係の女性が全員お綺麗だったので、かなり目の保養になりました。

ありがたや。


運び終わる頃には、目の前が豪華という言葉で埋まった。

これ全部食べていいのか、そう思案していると、

先ほどの女性が右横にいた。


「どうぞ、お召し上がりくださいませ。

お口に合うかわかりませんが…」


「、、はい、いただきます…」


ーーー


まず、一番馴染み深い料理に端を伸ばす。

海老の天ぷらーーーそれを取り、すぐ前にあるご飯とともに口に入れるーーー


一噛み、、、衣はしっかりしているというのに、ご飯とうまく混ざり合うように溶けていった。

海老も硬すぎず、その逆もなく、、海老を揚げる適切な時間、温度を全て把握しているのだろう、、、


「おい、しい、、、」


「よかった…嬉しいです」

女性は柔らかい笑みを浮かべる。


「…これは、貴女が…?」


「はい、私ともう一人お手伝いの娘、二人で作らせていただきました」


「すげぇ…この料理を、二人で、、」


「いつもは、もっと多い人数の料理を作っていて…」

「あ、申し遅れました」

ハッ、と、しょぼんとした顔をしーーー

「私、料理長を務めさせていただいております。

エレイナ・オーガンともうします。宜しくお願いします。」

深々とお辞儀をした。


「ぁあ、どうも、ご丁寧に、、自分は、高村海斗と申します。

こちらこそ宜しくお願いします。」

真似をするように、こちらも深くお辞儀をした。


「では、ゆっくりとお楽しみください。」

エレイナさんはもう一度お辞儀をし、どこかへいった。


不思議な人だったなーーーーーー


その不思議な人が作った美味しい料理を食べ進めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーー


「姫ーーー入ってもよろしいでしょうか」


アイナと呼ばれる騎士が、姫の部屋の前にいた。


ーーーどうぞ


「…失礼します」

返答があり、中へ入る。


「何かあったのですか?、、中で何か動きがあったようですがーー」


「察知しておられましたか、、」


魔力の動きで、城内の中であれば少しは感じ取れるようだ。

流石、城の主。


「ラーファが外で悪魔に襲われているところ、人間の男性にたすけられた模様で…」

「その礼として、国に招き入れたようです。」


「そうですかーーー」

「では、私も挨拶しなければ」

椅子から身を離す。


「よろしいのですか?」

「今の貴女は、男性には…」


「よいのです」

「私が、この国の姫ーーー女王として招き、対面する最後の客ーー」

「……それよりも、傍観せず、一人の少女を助けた男性の顔を、、見てみたいのです」

光を失った目でアイナを見、そう話す。


「…姫がしたいように、、、私も同行します」

アイナの声には、少しの喜びと大きな悲しみが混ざっていた。


「ありがとう、、、では、向かいましょう」

そんなアイナの気持ちを知るはずもなく

姫は足を進ませたーーーーーー





運命の分岐までーーあと4時間ーー












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