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もしも人間が魔王になったら 改稿前  作者: キバごん
女王救済編(16/05/21 〜 16/06/20)
12/17

中途半端な希望を持つより人を惹きつける信念を持て

これまで、人間が悪魔に歯向かったことがあっただろうかーーー


あったとしても、おそらくこんなに大規模な戦いはないだろう。

それこそゲームの勇者か何かである。


そもそも魔界と海斗の住む人間界は違う世界でありーーーー

ーーーー人間は魔界があることも完全に認識できていない。



そんな中、海斗は一国の魔王に戦いを挑もうとしていた。



ーーー



これまで静かであったが、突然風が吹き始めるーーーー


それはワイザを恐れてか、挑む海斗を後押ししようとしているのかーーーーー


どちらせよ不穏ではあった。





「聞かせろ人間」

「もし私を退けたとしてそのあとどうする」


「この話は魔界全体に広がり、、、」

「間違いなく国は孤立する」



「それをわかってここに立つか、、?」


ワイザは据わった目で海斗を見る。





それに対しーーーー海斗は感情をこもらせた目と声でーーー


「少なくともてめえがそれを語る筋合いはねえよ」

「今更国の心配だぁ?、、ふざけんじゃねえ…」


「それに、、、」

「いきなり相手を説得しようとするのは焦っている証拠だ」


「……」

「あぁ、、そうかもしれんな」

ワイザはそれにしぶしぶ同意する。



「でも確かに、俺はあいつらのことを知らねえ」

「大部分は姿を見ただけで、話したのは片手で数えられるくらいだ」


「…だからこそ、、それだからこそ…」




「きたねえところが良く見える」


「それはてめえだ、クソジジイ」




「大体の年取ってる人は優しいのに、、、」

「こんな欲しか出てこねえたぁ…これだからお前みたいな老人は嫌いなんだ」



聞きーーーー少し間を空けーーー

「……」


「人間とはこれほどまでに面白き生物だったのだな」



「そんな粗末な挑発しかできないとは…これだからお前みたいなガキは嫌いなんだ」







両者飛びかかるーーーーーー


誰も予想だにしなかった戦いが始まった。



ーーーーーーーーーーー


ーーーーーー



見ていますかーーーー姫ーーー



貴方はもう、悩む必要がなくなるのかもしれませんーーー



もうしばらく、、もうしばらくです。




アイナは願い続けた。



ーーーーーー


ーーーーーーーーーーー



木刀を振るう海斗ーーー


それを受け止めんとワイザは宙に片手を浮かせる。

そこを中心とし、空間が歪み始めーーー

ーーーそれは縦に伸びていき、終いには一本の刀となる。


その二本は拮抗した。


5秒程度鍔ぜり合いとなるが、海斗が木刀を滑らせーーー

逆手に持ち、腹に柄頭で攻撃を加えた。


それに対し、苦悶の表情を見せるワイザ。

身を離し、距離をとり、次の攻撃に備える。



が、海斗はそれを許さないーーー万全の態勢をとられたら仕掛けづらくなることを理解していたからだ。

それを理由に一気に近づくーーーーーだが


いきなり目の前の空気が不特定の鋭利な物の形を作り、襲いかかってきた。

当然それらは海斗の体に傷を作った。

血が流れ始める。


だがそれに臆することはなく立ち向かう。


これにはワイザも驚いたのだろう、怒りを顔に出した。



刀を交わらせるーーーー

攻めては防いでーーー攻めては防いでーーー

二人の攻撃は出鱈目なものだった。


それは主に海斗のせいでもある。

きちんとした武術は習ってきていない、だから自分の勘でさばくしかない。


結果的にそれは、ワイザに押し勝る原因ともなったーーーー


ワイザにとってはどこからくるのか、どうやって弾かれるのかわからないからだ。



ーーーと、海斗の木刀がワイザの右の横腹に当たるーーーー


それを好機とし、海斗は両腕を思いっきり右方向へと力を入れた。


その行動は実に、痛覚に悲鳴を上げさせた。

口が勝手に血を吐くほどだ。



だが、今、海斗はその動作しかできない。

体は完全無防備ーーーー


ワイザがそれを見逃すわけがなかった。


左手に持つ刀は、鋭く、海斗の右肩の下部分を貫いたーーーー



そうなってはいても、海斗は力を抜くことはしなかった。

それは実を結び、ワイザを吹き飛ばすことに成功したのだ。


海斗に刺さった刀は勢いで抜け

ワイザは地面をえぐりながら転がっていったーーーー



「…ぅ、、ぅ…」

止まりーーーー起き上がろうとする。

すると影がワイザを覆った。


その元凶の方向に目をやってみるとーーーーー

嫌いな人間がそこにいた。


海斗は飛び、着地と同時に木刀を突き刺そうとしていた。

しかしワイザがそれを受け止めるはずもなく、自身を横に転がせたーーーーー


ドッ!!!


ーーーと同時に、目標があった場所に木刀が刺さり、砂けむりをたたせる。




それが自分に刺さっていたらと考えるとーーー

ワイザは身を震わせる。



ーーーと、煙の中から人間が現れるーーー


老人は身を立たせ、また、デタラメな攻防が続いたーーーー




ーーーーーーーーーーー


ーーーーーー




その光景を守護者たちは見ていた。




それは、何もできない自分たちの怒りが具現化したものの如く、敵を圧倒していくーーーー


ーーーーしかし、希望などは抱かない。



ただただ、国を助けてほしいーーーー

それだけが思考を支配し、抱く余裕がないからだ。



「…海斗……」


アイナは目を閉じ、眉を顰め、念じる。



その思いをのせるように、海斗に加護を与え続けたーーーーー




ーーーーーー


ーーーーーーーーーーー




「ーーーーーっーーーーーっ!ーーーはぁ…ぁーーーーー」


「ーーふぅ……ぅ…ーーーーーはあ……!」


二人とも息が切れ、血を身体中から噴き出していた。



加護が付いていない普通の人間ならば、とっくに倒れている量。


いや、加護が付いていても、立てるか怪しい量だ。









そんな中、ワイザを助けようと、悪魔たちは静かに海斗の方へと近寄っていた。


「……よし、、、行くぞ」




ワイザとの戦いに集中し、それに気付くはずもないーーー



「ーー!?」


いとも簡単にヘッドロックをされてしまう。


「今だ!かかれかかれぇ!」





だが、いきなりとはいえ、なす術がないというわけではない。


相手の腹に肘を入れーーーーー

「ーーーブフゥッ!?」


腕を解き、周りの悪魔たちに木刀を振り、作った大気の流れで吹き飛ばすーーーーー







「…クソ食らえだ、、本当に…」

何かを悟った顔をするーーーー



「もういい、、、、もうたくさんだ……」

「こんな汚い風景を見るのは、、、たくさんだ…」




「どうした、、?今になって怖気付いたか…?」

弱々しくワイザは言った。



「そんなもんじゃねえよ」

対し海斗は、はっきりと、普段と同じ、死んだ魚のような目を向けるーーーー





「俺はただ、くっきりとした、、あいつらの笑顔が見たいと思っただけだ」




悪魔たちの本心を吐かせた男、自身も今、吐くこととなった。













偽善の塊は

直立しーーーーー

木刀を右手に握りーーーーー

前を見据えーーーー


足を動かせるーーーーーー








欲望の塊は

それと同時に刀を右手に握りーーーー


己の願望を果たすため、真似をするように自らの足を動かせたーーーーー
















それらは交差し、距離を置きーーー止まったーーーーー





















偽善は立ち続けーーーーーー
















欲望が持つ薄っぺらい刀身は砕けーーーーー



口から大量の血を吐いたーーーーーーーーーー
























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