虫嫌いにとってエクスカリバーは殺虫剤
海斗の奮闘のおかげで、敵の数は三分の一に減っていたーーーー
ただそれでも、万はいる。
あまり数が減ったとは思いづらいほどだ。
敵は焦っているのか、自分達の持つ手段を全て使ってくる。
海斗がいるところから約5m前方ーーー
地面が盛り上がってきたように見えた。
「ーーーッ!」
それをいち早く察知し、後ろに飛び移る海斗ーーーー
地中から物質をえぐる音が聞こえーーー
ーーー人間界では考えられないほど、巨大なムカデが顔を出した。
「……うぅわ…」
少し引いた。
しかし、そのムカデは海斗のところだけに現れたのではない。
真の目標は後ろの門にいる者たちであった。
ムカデが三匹ーーー同じように現れる。
それらは迷うことなく彼女たちに突進していった。
あぁーーーーわかるわかる、、あんたらがやりたいことーーーー
でかい物、目立つ物を出させた時は、また別の目的があるんだよな、、、
海斗は前に出てきたそれには目もくれず、後ろに走っていたのだ。
木刀の範囲に入った後は簡単だった。
三回振るい、当てただけで消し飛んだーーーー
それを間近で見たアイナは、小さくーーー気持ちよさそうに微笑んだ。
ーーーー何故、この男がこの危機を感じ取ったかというと、
戦略系ゲームをやりまくっていたのだ。
海斗ーーーそれは、遊びで培われた能力を戦闘に応用する男である。
最初のムカデは当然怯える。
だがそれに慈悲を与えるわけもなくーーーー
ーーー当然ながら先ほどの同族と同じ道を歩むことになった。
ーーーー軍勢に方へ歩くーーーー
彼らにとってその姿は恐怖の権化以外の何物でもなかった。
一歩一歩、近づいてくるたびに、それは頭の中を支配していくーーーー
明らかに敵の士気は落ちていた。
人間と悪魔ーーーーーまさに強者と弱者の反転である。
だがそれをワイザは認めなかった。
それはプライドの所為ではないーーーー
純粋に力があったからだ。
二人の間は20mほどーーーー
目を合わせる
「……いいだろう…」
「いいだろういいだろう!!」
「そう望むのなら人間よ!」
「それに応えてやろうではないか!」
高笑い、構えるワイザーーーーー
「私が相手になろう!」
「殺せるものならそうしてみせろ人間!」
海斗は何も表情を変えることはないーーー
「…あぁ、、その応えに応えてやる」