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もしも人間が魔王になったら 改稿前  作者: キバごん
女王救済編(16/05/21 〜 16/06/20)
10/17

ゲームのラスボスほど小心者はいない

右ーーー左ーーー正面、上ーーーー


大量の悪魔が襲ってくるーーー

叩けど叩けど数が減っていく兆候は見えない。


アイナの加護であまり疲れないとはいえ、精神的な疲労が着実に蓄積されていくーーーー

だがそれを表情に出すわけにはいかない。

敵に勢いをつけさせてはならないーーー



ーーーーーーーーーーー


ーーーー



アイナは、奮闘する海斗を鋭い目で眺めていた。

何の迷いもなく、腕を前に突き出し、加護が途切れぬようにしているーーーー


「…アイナ……」


周りの守護者達全員がアイナを見ていたーーーーー


それらは己の答えを模索するような眼差しだった。

あの男を信じるべきか、まだ迷っているのだ。


この国は女性しかいない。

各国の男共はそれらを求め、我が物にしようと、いやらしい目つきで、見てきたこともあった。


皆、少なからず男に対し不信感を抱いていたのだ。


それがあり、なかなか踏み出すことができない。



ーーーと








「あいつは違うのかもしれん」


ーーーーそう言ったのはアイナだった。



「……」

周りはその言葉を聞き、改めて考え込むーーー







「だから私はあいつに託すーーーー」


息をためーーーー




「ーーーー奴の未来を見てみたい」



また一人、本心を吐いた。



ーーーーーーーーーーー


ーーーーー




人間の限界ーーーー

その言葉は確実に存在する。


海斗はそれを味わっていた。

無限のように湧いてくる敵ーーー

一人で一個師団級の軍団を相手取っているのだ、そう思うのは無理もない。


だが、戦闘を断念することは、海斗の胸中には存在しなかった。


唯一の望みは己一人ーーーーー

諦めるわけにはいかない。






すると


まただーーーーーまたあの浮遊感だーーー


一つ一つの動作が軽くなる。

すり減った体力が何もなかったかのように回復していく。


アイナが加護を強めてくれたのかーーー?


考え、後ろをちらと見ればーーーー




先ほど見た光が、門を囲むように漂っているのが確認できた。




その光の放出源は、悪魔ーーー

全員が加護をつけてくれているのだ。



その光景はとても美しいものであったがーー


一人、嫌悪感を覚える者がいた。




「………!……!!」

ワイザである。


「陛下……お気を確かに…」

部下の一人がワイザをなだめる。


「黙れぃ!!…わかっておる…!」

「……あやつら…ぁ…!あの男を殺したあとは、、、わかっておろうな!!」



ーーーーーーーーー


ーーーー


わかるはずもないーーーーー


まず、そんなことを思うはずもない。


アイナの言葉は、模索していた彼女達の答えとなった。




今や海斗の背中は、国を救済する責任、皆の願いーーーーーそして


百人以上の加護を背負っていた。



ーーーーーーーーー


ーーーー



軽い、軽い、軽いーーーーー

今なら戦いながら笑顔を浮かべる事も出来そうだ。


そう思えるくらい余裕ができた。


その様子を見て、敵は普通の攻撃方法では状況を打破できないと感じたのだろう。


二、三十人の塊を作り、一気に攻めてきた。


それを見て海斗は一歩後ろに下がるーーー

加護のおかげでかなり大きく下がることができた。


そこから海斗は、木刀を右手だけで持つーーーーーーー

それをバットのように振るう


その行動は大気に打撃を与えた。


それにより大気が固まり、なかなか砕くことができないーーーー


「ーーーーッーーーッ!」


だが、力を入れ続けーーー砕くことができたーーーー



すると、大気の流れが龍のごとく敵を襲い始める。


その現象になす術もなく吹き飛ばされていく敵ーーー敵ーーーーーー


それは、敵の塊を穿つと、またその後ろの敵を喰らい始めたーーーー



悪魔でもなかなか再現できないであろうーーーーー




ーーーーーーーーー


ーーーー


「陛下…!このままでは…」


これを見て、軍団には不安が覆うようになっていった。

その中の一人が少しおびえた目を向け、ワイザに助けを求めるーーーーー


しかし




「……いけ…」


「ーーーーぇーーー」


「いけと言っているのだ」


「……は、はい…」


無残にもその助けは消滅した。




それもそのはずーーーーー

ワイザ自身も、恐怖と疑問に近しいものを感じていた。


それはーーー水に置いてけぼりにされ、喉に残った薬の如く、引っかかっていたのだ。


人間が悪魔に勝てるはずもないーーーーー

その慢心が生み出した結果ともいえる。




そのため、ワイザは部下達に戦いを無理やり終わらせようとしていた。



ーーーーーーーーー


ーーーー



そのことは、海斗もわかっていた。


奴は出てこないーーーー

最後の最後で、軍が全滅してやっと出てくる。

そう海斗は予感していたのだ。


それはなぜかーーーーーー





自分の配下が全部やられてやっと戦闘になるーーーーー


RPGのラスボスと同じ匂いがしたからだ。


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