201話 作戦会議!
第7部です!
「イーナ~~久しぶり~~!元気してた~~?」
レェーヴに戻った私達を、アマツをはじめとする皆は変わらず温かく出迎えてくれた。いつもと変わらない、平和なリラの街。それでもここまで来るのには、沢山の苦労があった。
「アマツ、留守の間ありがとう。早速で申し訳ないんだけど、皆をすぐに集めて欲しいんだ」
「すぐに~~~? なにかあったの?」
「うん、もしかしたら…… というか多分近く大きな戦いが巻き起こる。そのために準備をしなきゃ!」
「まあ~よくわからないけど、そこらへんも含めて話してくれるって事だよね~~了解~~すぐに皆に声をかけるよ!」
戻ってまだ息もついていない私達であったが、事を動かすには早い方が良い。少しの時間の遅れが、この世界の命運を左右するかもしれない。そんな繊細な、そして重要な話であるのだ。
話し合いに参加したのは、私、そしてアマツ、ミズチ、シナツの他の四神達。それにナーシェ、元龍神族の長であるシータ、黒竜であるリンドヴルムとルウの2人である。アマツの思わず気が抜けてしまうかのような挨拶で、私達の話は幕を開けたのだ。
「え~~こほん、こうして皆さんにお集まり頂いたのは~~他ならぬイーナの~~」
「アマツ……それなに……?」
「なんかこんな感じの方が気合いはいるかなって思って~~」
逆に気が抜けると思わず突っ込んでしまいそうになったが、まあこれもきっとアマツなりの気遣いというか優しさみたいなものなのだろう。事が事だけに、つい焦ってしまっていたが、ここでこんなに1人慌てていても仕方の無い話ではある。アマツのお陰で少しリラックスした状態で、私はまずこの旅で得られた情報について整理をする事にした。
「なるほどな、もし、イーナの言うとおり、シーアンの実権を白の十字架の連中が握ったとなれば、厄介なことになるな」
「でも、確証はないんだろう?」
シナツとシータが難しそうな顔をしながら、そう言葉を口にした。確かに、シータの言うとおり、確証はない。イナンナ女王が調べてくれてはいるはずだが、情報が手に入ってからでは遅い可能性も高い。
「うん、だからシーアンの動向を探りつつ、奴らに対する対策も打たなきゃいけない。幸いにも、エンディア国だけじゃなく、シャウンの王もタルキスの王も協力をしてくれるとは言っていた」
「どこまで調べられるか怪しいものだがな……」
ミズチが冷静にそう言い放った。現に今まで白の十字架の動向については、ほとんど得られていなかったのは事実である。シーアンという大きな後ろ盾を得たとしたならば、これまで以上に情報が入ってこなくなるのは目に見えている。
「イーナ~~私もちょっと気になってた事があるんだけどさ、シャウンやタルキスに派遣していた夜叉の情報によると、最近白の十字架の姿をまるっきり見なくなったって~~」
アーストリア連邦内でも医療の普及を進めるという名目で活動していた白の十字架。このタイミングで姿を消すと言うことはそういうことなのだろう。ますます、この仮説が信憑性を帯びてくる。
「やっぱり、その情報が真実だとすると、奴らの真の狙いは国を得ること……そう考えるのが一番自然ですね」
「でもさ、これだけの事をするとしたらそれなりに準備が必要だったはずだよ。今までどうして内密にここまでの用意を出来たのか…… それがどうにも引っかかっていて……」
「白の十字架って、アレナ聖教国で力を持っているんでしたよね」
「そう、でも白の十字架が実権を握っていたという旧アレナ聖教は、あのときの戦いで力を失ったはず。今はロードさん達フリーフェイスを中心に…… そうか、だから……後ろ盾を失ったからシーアンに目をつけたんだ」
「イーナ~~アレナ聖教国がらみなら、私も面白いニュースがあるよ~~」
アマツが不敵な笑みを浮かべながら、そう言葉を告げた。じらすようなアマツの言葉に、ミズチが冷静に言葉を返す。
「なんだアマツ、もったいぶっていても仕方無いだろう」
「もう、ミズチはすぐに結論をいそぐなあ~~ あのね、フリーフェイスのロード、そして幹部数人が突如失踪したらしいんだ。今、アレナ聖教国は大混乱らしいよ~~」
「……失踪? まさか、ロードさん達まで白の十字架に……」
「そこまではわからないけど、白の十字架の連中にとっては、後ろ盾を失うことになったフリーフェイスの存在は厄介だったことだろうね~~」
ある程度情報も整理できてきた。どう考えても、今の世界情勢の混乱の中心には白の十字架の存在がある。これは紛い事なき真実であろう。
「ひとまずは情報共有はこのくらいにして、これからやっていかなければならない事をまとめていこう。私とナーシェは、リラクリニックを拠点に、あの寄生虫の正体について、もっと調査する。後は、他国との連携を取りながら、シーアンの情勢についてもっと調べる必要があると思う」
私の発言に真っ先に手を挙げたのはアマツであった。
「調査なら私達に任せてよ~~一応外交担当って事になってるしさ!」
「アマツ、だったら大神の力も使ってくれ!移動には役に立つだろう」
「助かるよ~~ありがとうシナツ~~」
結局、調査はアマツ率いる夜叉と、シナツ率いる大神がそれぞれ協力して行ってくれると言うことで、決まった。他の国との調整についても、アマツの方で上手くやってくれるとのことだ。なんと頼りになる存在なんだろうか。
一応、万が一の時にも備え、レェーヴ連合の警備も厳しくする必要がある。現に、アレナ聖教国では、ロードさん達が失踪しているという話もある以上、この国だって奴らの標的となっても何ら不思議ではない。特に、夜叉と大神が出払ってしまったら、国内の戦力も大分手薄にはなってしまう。その点はミズチにお願いをした。
「イーナ、俺は一度、ル・マンデウスに帰ろうと思う。今回の調査は大分離れた場所だろう。移動手段も飛空船だけだと心許ない…… 黒竜の皆に協力を仰げないか頼んでくる」
「イーナ様。ならばルウも一度ファフニール様にお会いしてきます。ファフニール様にも今回の情報を伝えるべきだと……」
リンドヴルムとルウの言うとおり、今回の調査は移動手段が必要となるものである。もし、黒竜の協力が得られるとなれば、これ以上無い頼れる味方である。
「ありがとう!リンドヴルム、ルウ!ぜひ、お願いするね!」
そしてもう1人のドラゴン、シータも私に提案をしてくれた。
「イーナ。今回の件、ラスラディアにも伝えておくぞ。龍神族もおそらくは協力してくれるはずだ」
「ありがとうシータ!そうしてもらえると助かるよ!」
こうして、来たるべき危機に向けて、各々がやることが決まったのだ。私達の足元まで激動の渦が迫っている今、この国の未来のために、世界の未来のために、私達は動き始めた。




