200話 The Impending Crisis of the World
第6部シーアン編完結です!
それから飛行を続けること、しばらくの後に、遂にエンディアの首都アンドールが見えてきた。まだアンドールを離れてそんなに月日も経っていないと言うのに、なんだか懐かしくすら覚えるその街並みを見ていると、少し私の心も落ち着いた。
エンディア国はあれからも特に変わらずに元のままであった。シーアンで起きていることなど、誰1人知らずに、いつも通りの平穏な暮らしが続いていたのだ。
「イーナ様!再びエンディアに寄って頂けて何よりです!イナンナ様もお喜びになるでしょう!」
空港に降り立った私達を変わらずに歓迎してくれたエンディアの兵士達。だけど、今はゆっくりと挨拶をしているという状況でもない。
「ありがとう。急ぎの用事があるんだ!イナンナ女王に会いたいんだけど……大丈夫かな?」
「わかりました。すぐに用意を致します!こちらへ!」
すぐさまに兵士達は移動用のガネーシャを用意してくれた。私達が無意識のうちに発していたただならぬ雰囲気を感じ取ったのか、あっという間に謁見の機会を用意してくれたのだ。
「イーナさん。お久しぶりです。シーアンの旅はいかがでしたか? ……いや、カラマがここにいると言うことは……何かあったようですね」
イナンナは私達に会ってすぐに、何らかの異変があったことに気が付いたようだ。
と言うのも、イナンナはカラマのことは前から知っていた。シーアンの王から絶大な信頼を寄せられていたカラマ。そんなカラマが王の下を離れ、わざわざエンディアを1人で訪れると言うことなど、今までに無かったのだ。
「イナンナさん。シーアンの中で内乱が起こりました。リーハイは火の海に包まれ、何とかカラマさんとロコは助け出すことが出来ましたが……」
私の言葉に、突如として顔色を変えたイナンナ。シーアンの異常は友好国であるエンディアにとっても大きな出来事である事は私もわかっていた。
「リーハイが……?それでシーアンの王は!?」
王の安否を尋ねるイナンナに、私は何も言えなかった。生きているか、死んでいるかもわからない。だけどあの状況では、なかなかに生存も絶望的であろう。わざわざクーデターを起こすと言うことは、その目標は他ならぬ王である。殺されている可能性が高いとは私も思うし、何よりもし無事であったとしても、厳重な管理の下に置かれていることは間違いないのだ。
「……そうですか、わかりました。まずは、カラマ達だけでも無事であったこと喜ぶことにしましょう。イーナさんありがとうございます。カラマとロコの身の安全は私が保証いたします」
イナンナの真剣な表情が事の重大さを物語っていた。カラマもロコも、イナンナの言葉に、何も返すことは出来ずに、ただ頭を下げることしか出来なかったようであった。
そして、そのままイナンナは私に向けて話を切り出した。
「イーナさん、シーアンでの出来事、知っている範囲で結構です。是非とも私どもに教えて頂けないでしょうか?」
そう言ったイナンナに、私はシーアンで体験したことを全て伝えた。シーアン国内で謎の勢力が動き始めていたこと、そして鳳凰と会って白の十字架の連中が求めている力の存在が明らかになったこと、それからもしかしたらシーアンの国家転覆を企んだ組織と白の十字架が繋がっていたかもしれないと言うこと。それらの話をイナンナだけではなく、ミスラも、それ以外の兵士達も食い入るように聞いていた。
「なるほど…… にわかには信じがたい話ではありますが…… あなたがそう言う以上、信じないというわけにも行きません。現にカラマがここにいると言うことはシーアンで起きた出来事については真実なのでしょう。わかりました。エンディア国もできる限りの協力は致します。イーナさん、あなた方はこれからどうするおつもりなのですか?」
「私は一度、私達の国であるレェーヴに帰ろうと思っています。これ以上奴らの好きにはさせない。そのための鍵は私達の国にあります」
シーアンをきっかけに再び世界が争いに巻き込まれようとしている。今回の出来事が白の十字架が絡んでいるか絡んでいないかに関わらず、この混乱に奴らは乗じてくるに違いない。奴らの切り札とも言える邪魅。その攻略は私達にしか出来ないと言っても過言ではない。
「わかりました。もしよろしければ帰り道に、今回のことタルキスの王にもお伝え願えませんでしょうか?シーアンの出来事はいずれ私達の国だけではなく、タルキス、シャウン、そしてあなた方の国にも関わってくる事態になることは間違いありません」
「もちろんタルキス、そしてシャウンの王達にも協力は仰ぐつもりです。下手をすれば世界全土に混乱が飛び火する……いや、必ずそうなることはわかっています」
これは私達やシーアンだけの問題だけではない。現にこんな状況になってしまっている以上、この世界全ての危機となりつつある。
「ありがとうございます。シーアンの状況については、こちらで改めて調査をしておくことにしましょう。近く使いの者を送ります故、あなた方は、是非あなた方がするべき事をなさってください」
イナンナとの会談はこうして幕を閉じた。飛空船の魔力補充が住むまで、数日間をアンドールで過ごし、私達は急いで自らの国、レェーヴへと戻った。
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やっと物語もクライマックスが近づいて参りました!そして、気が付けばもう200話。ここまで続けてこられたのも皆様のおかげです!
いよいよ物語も佳境に入りますが、これからも何卒、皆様には楽しんで頂ければ私も嬉しいです!また、是非とも最後まで書き続けるために、皆様のお力を分けて頂ければ、大変嬉しく思います!
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惟名水月




