100話 世の中は助け合ってこそ
遂に100話に到達しました!ここまで来られたのも皆様のおかげです。いつも本当に励みになっております!改めて、感謝の言葉を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
「ノアさん、申し訳ないけど、この国を私達の国に加えるというのは出来ないよ。人間の国は、その国の人間の力で危機を乗り越えないと駄目だとは思う。もちろん、私達に出来る協力はするつもりだけど、シャウンはシャウンのままでいないと駄目だよ」
共生はモンスターと人間、それぞれが自立し合ってこそ、成し遂げられるものである。どちらかに頼るような形では寄生になってしまう。それは健全な関係とは決して言えない。
「こちらこそ、変なお話をしてしまって申し訳ないです。そうですよね!私達の国なのに、寝ぼけたことを考えてしまって……」
ノアの気持ちもよくわかるので、その判断にどうこう言うつもりはなかった。国のトップに立つと言うことは、全ての国民の命を背負うと言うことである。ノアがノアなりに、どうすれば国民が幸せに、安全に暮らしていけるか考えた末の一つの結論だったのであろう。
「ひとまずは、同盟を結ぶというのはどうかな? それでも他国への牽制にはなるし、安易に攻めては来ないとは思う」
「良いのですか? でも、それではあなた方の国にメリットは少ない…… わかりました。では、もう一度、正式な場で話し合いの機会を設けて頂きたい。その時までに、こちらからも何か提案できないか、考えておきます」
ノアと再び会うための日程を調整した後、私達は王宮を後にした。
「本当に良かったの~~?大国の王になれたんだよ~~?」
帰り道、アマツはニヤニヤしながら、私に先ほどの話について問いかけてきた。
「別に大国の王になりたかったわけじゃないからね!シャウンの国の事まで私達が出てくるというのは、ちょっと筋が違うかなって思っただけだよ」
私の目標はあくまで、モンスター達が平和に暮らせる世界を作ることであって、世界を支配したいといった事を考えたことはない。それに、シャウン王国を助けたいと思ったことは本心であるが、必要以上に手を貸す必要も無い。人間は人間の力で危機を乗り越えなければならない。ましてや新しい王に代わってすぐである。
国と国との同盟という形ならば、体裁も整えられるであろう。だからこそ、私はそう提案したのだ。
「やっぱり、国を治める立場だと、色々大変なんですね……イーナちゃんもいつもお疲れ様です!」
ナーシェが私にねぎらいの言葉をかけてくれた。
「私1人じゃ何も出来てないよ。みんなで協力し合って、みんなで国を作っていったんだ。だからこそ、この国にもそうなって欲しいなって思ったんだ!」
今こうして、ここで笑顔でいられるのも、みんなのお陰である。突然、見知らぬ世界に迷い込んだ時は、どうなるかと思ったけど、サクヤと出会って、九尾になって、ルカやテオ達と出会って、また新たな仲間と出会って、いろんな戦いを乗り越えて、ここに立っている。
「ねえねえイーナ様!ルカもイーナ様のお役に立てているのかな?」
「そうだよ!ルカがずっと、勉強頑張っているの知ってるし、いつも病院を手伝ってくれてるし、本当に助かってるよ!」
改めて言うのも、少し気恥ずかしさもあったが、本当にみんなには感謝している。だからこそ、私は、私のやらなければならない事をやる必要があるのだ。
………………………………………
そして、あっという間に時は経ち、約束していた会談の時を迎えた。私はアマツが用意してくれた巫女のような服で、会談へと望んだ。国が出来たときに、代表となった私に、公式な場でも恥ずかしくないようにと、アマツがデザインして作成してくれたのである。
最初こそ、恥ずかしさこそあったもの、着心地は良いし、やはりローブや白衣よりは、こういった服の方が華やかさも出るだろう。今では結構お気に入りの服である。
会談が始まって、最初に口を開いたのはノアであった。
「さてイーナさん。まずは、改めて礼を言わせて頂きたい。この度は、本当にありがとうございました。そして、未だ我が国は、未だ独り立ちをするには、不足しているものが多すぎる状況であります。特に、この国を守る為の兵力は、先の戦いで大いに消耗し、早急に解決しなければならない問題です。是非とも、皆様のお力をお借りしたい」
ノアは、兵力を補う方法をいくつか考えていたようだ。まずは、ギルドと提携し、一定額をギルドの活動費用として支援することで、ギルドの存続を支えた。その代わりに、有事の際には、ギルドの戦力の一部を提供してもらうという取り決めを行ったそうだ。
そして、タルキスとも再び同盟を結んだ。元々、シャウンとタルキスの関係は良好であったし、今回の騒動は、ルイスの一存によるものとして、タルキスもその申し出を承諾したのだ。
第3の策が、私達の国との同盟である。シャウン王国は、カムイの街から、リラの街まで鉄道を通してくれるとの約束をしてくれた。鉄道が通れば、カムイやフリスディカとの往来も楽になる。お互いにとって大きなメリットとなり得るであろう。その工事については、シャウンの方で負担してくれるとのことである。これであれば、こちらとしても、断る理由はなかった。
「大丈夫なんですか?鉄道の建設費用を全て負担なんて……」
むしろ、私は思っていた以上の提案に内心驚いていた。カムイからリラまでは結構な距離がある。リラは飛行船が使えないため、鉄道が出来る事自体は、本当にありがたい。だが、その負担はあまりに大きすぎるのでは無いかと心配もしていた。
「私達人間も、あなた方から沢山の事を学ばせてもらう必要があります。そのためには、お互いの行き来がもっと活発になる事が重要だと考えます。将来への投資と思えば、全然痛くない出費であると思います」
ノアは力強く答えてくれた。
「わかりました、私達レェーヴ連合、同盟の提案受け入れさせて頂きます」
私も力強くノアに言葉を返した。ノアは、私の言葉に笑顔を浮かべ、手を差し出してきた。差し出された手に私も手を伸ばす。
そして、ノアとの握手をもって、二国間の同盟は締結したのだ。
正直、最初は100話も続けるとは思ってもみませんでした。
ですが、日々書いていく内に、このキャラならこう動く、そういった想像が止まらなくなり、キャラが勝手に動いていき、気付けば、ここまで書き続けていました。
これからも、是非イーナ達の世界の未だ見ぬ未来を書いていきたいと思いますので、皆様これからも是非ともお付き合い頂ければ嬉しいです。
また100話記念として、企画を考えております。いずれ発表できると思いますので、その際は皆様何卒よろしくお願い申し上げます。




