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Shanghai Palace   作者: kamakura betty
6/14

身繕い蝉時雨

国道から一歩入ると、漁村の家々が坂道に立ち並び

その先はすぐに森が迫り山へと続く。

車や海水浴客の喧騒から離れる代わりに

セミの大合唱に囲まれる。

日が傾くころ甲高いアブラゼミから

鈴の音のようなヒグラシに代わる。

山の中断に位置するこの木造の平屋は

漁具や冬の布団などを入れておく納屋。

間原は小学6年のケン坊に家庭教師役をする代わりに

ひと夏この納屋の一間を借りていた。

田舎の納屋はゆったりした作りになっており、

網を修繕したりする外作業用に大きなひさしがあるので

強烈な日差しがカットされ、

海からのそよ風が通り心地いい場所になっている。

夜も網戸のままで防犯は気にしないから

熱帯夜になってもそれなりに寝られる。

サニーサイドから戻った昼過ぎにはプリモの酔いも抜け、

ケン坊の算数も見てあげたので今日のお勤めは終了。

あとはめめぞうとの晩ごはんだ。

少しは小綺麗にしていかなくてはと

霜降りのヘンリーネックシャツと

シピーのホワイトデニムに着替えた。

このフレンチブランドのデニムはお気に入りで、

東京から履いてきたが下田についてからは

もっぱら短パンなので久しぶりに足を通す。

太めのふくらはぎにジャストなわたり幅で、

胸筋に張り付くシャツといいバランスだ。

髪をソフトタイプのデップで濡れ気味にし、

オールドスパイスのボトルを逆さにし

キャップに付いたぶんだけ左手首の内側にこすりつける。

右手首に香りを移すようにすりあわせ

首筋にも同じことをした。

いつの間にか時計は6時20分を指している。



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