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Shanghai Palace   作者: kamakura betty
5/14

ナンパ海岸とダンガリーシャツと

海沿いを走る国道135号は本根岬を過ぎると

徐々に海面へ近づきながら伊豆最大のビーチ白浜海岸が姿を表す。

この文字通り白い砂のビーチは東日本では新島と並ぶナンパのメッカ。

伊豆半島最南端だけあって水質もよく透明度が高く

真っ青な空と相まって日本離れした非日常なのだ。

高ぶる心は人を開放に向かわせるので、

ここでは男も女も大胆になるわけだ。

ビーチ前にはホテルや飲食店が立ち並ぶので

シーズンには空室が出ても片っ端から埋まっていき

日中も夜も物欲しそうな若者がひしめく。


ビーチに沿って下田プリンスホテルをすぎるとビーチの真ん中あたりに

伊古奈比羊命神社、通称白浜神社がある

2400年の歴史ある「伊豆最古の神社」、縁結びの神でもあるらしい。

だからか、にわかカップルがあちこちに成立し境内の階段で話す姿がある。

そんなカップルの間から頭に白いタオルを巻いた神社関係者が

空いたビール瓶の虎箱を運び出している。

作務衣を着ているわけでもなく、裸にダンガリーシャツを羽織り

サーフパンツを履いている。

これが松田、通称マツ。やはりひと夏この神社で居候しながらサーフィン三昧なのだ。

「おばちゃん、箱全部出したからお店に電話しておいてね。じゃあこれから

漁協にトコブシ取りにいってくるね」

「あ、マッチャン、石田さんによろしく言っておいてら。今朝無理言って捕りに

いってもらったんだわ」

「オッケー、石田のおじさんおばちゃんには相変わらず頭上がらないね。バイク借りるよ」

「よそからくる車が多いから気を付けら」


頭にタオルをかぶったままおわん型のヘルメットをかぶり

レイバンのウェイファーラーをかけると

スーパーカブのセルを足で蹴りエンジンをうならせた。

カップルたちの境内をそっと出ると渋滞の国道の車を縫って漁協向けてへ北上した。

神社は夏限定で民宿として敷地内の平屋に数組を泊めている。

マツは部屋の掃除から朝夕の食事の手伝い、食材の買い出し、料理までこなし、

合間を見て海へ繰り出す。波乗り技術は地元のロコたちも一目置くほどだ。

道すがら食堂ゲンジのゲンさんや、漁師のマーちゃんなど

海仲間たちがダンガリーを見つけて声をかけてくる。

「まっちゃん、きょうは夕方から(波が)上がてくるってよ」

「だねー、もうコシくらいのが入ってきだしてるよ」

「じゃあ早めに仕込み終わらせておかないとだら」

「じゃまた」

「また」

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