サニーサイドダイナー
今朝は日の出から大浜に入った。
サイズは満足のいくもので、
オフショアの綺麗なブレイクが
心を解放したのか、
間原はビーチに向かってデッキを張る
サニーサイドダイナーで午前から
プリモを飲っていた。
潮飛沫をたくさん吸い込んだ喉には
バドワイザーでは薄すぎる、
ハイネケンでは濃すぎる、
だからいつもプリモだ。
通ううちにすっかりなついた
店のラブラドール・ベティを撫でながら
サイズの落ちた波を見ていると
1缶目はあっさり飲み終えた。
「福ちゃん、お代わりね」
マスターの福田は元美容師、
波を追いかけここに店を構えた。
サラサラのロングヘアは潮焼けも
きちんとトリートされ
ブロンドのように見える。
アメフトのプロテクターのような胸筋を
グレーのヘインズで隠している。
「今日の波はここ最近で一番きれいだから、
けっこうロコ以外もきてるよね。
さっきメメちゃんも入っていったよ」
メメちゃんは間原たちの間では
メメぞうと呼んでいるサーファーガール、
蛍光色のビキニがいつものスタイルで、
真っ黒に引き締まった
トランジスタグラマーだ。
「あ、そう。さっき入ったんじゃあ
昼まで上がってこないね」
2本目のプリモのプルを開けながら
ベティの両耳の裏を指先でさする。
ベティのお気に入りの
ボディスポットなのだ。
クーンとため息を漏らし
間原の腿に顎を乗せる。
「ベティは間原に惚れたな。
そうやってみんな持ってくのが
間原なんだよな。
メメちゃんだけはなんでか
懐かないみたいだけどね」
デッキの落ち葉を指でつまみ上げながら
店に入っていく福田に
「だよね、ほんとツレないんだよな」
ベティの頭を丸めるように
クシャっとやったら、
鬱陶しそうにベティも後を追っていった。
3本目のプリモは疲れとともに
心地よい微睡みへ誘った。