ハルのラーザ滞在記
今日はラーザさいごの夜。あしたの朝にはシュメリルールへの帰りみちの旅がはじまる。
教会におかーさんはいなかったけど、ラーザまちはとても楽しかった。
海できれいな貝がらをたくさん拾った。貝がらは、夜ランプにかざすと、かべにピンクやみどり色のかげができてとてもきれいだ。ぼくはランプの夜が、少しこわかったけど、今は好きになった。
海は、すながピンク色だったので、ちょっとさいしょはびっくりしたけど、今はとてもきれいだと思う。
おいしいものもたくさん食べた。ロレンさんがつれて行ってくれたお店はお皿がいっぱい出てくる、高そうなお店だったし、ヤーモさんたちと釣った魚もとてもおいしかった。
でもぼくは、おとーさんがずっといっしょにいてくれるのが一番うれしい。
ハナちゃんが生まれてから、おとーさんはぼくだけのおとーさんじゃなくなってしまったから。
ハナちゃんはおるすばんで、かわいそうなのに。ぼくだけ楽しくて、おとーさんとずっといっしょでずるいのに。ぼくはいやなやつになってしまったかも知れない。
ハナちゃんが生まれてしばらくした時、ぼくはおとーさんに聞いたことがある。
おとーさんはだれが一番好き? って。
もちろんハルだよって言ってほしかったのに、おとーさんは、
おとーさんが一番好きなのはおかーさんだ!ってえばって言った。
ぼくは、えー、そんなのずるいって思ったけど、おとーさんは、
ハルも大人になればわかるさ、なんて言ってた。大人はすぐにそういう風に言う。
ぼくはずっとおとーさんをひとりじめしちゃったから、サラサスーンに帰ったらハナちゃんにやさしくしてあげようと思う。いちばんきれいな貝がらもハナちゃんにあげようと思う。
次の旅はハナちゃんもいっしょがいいな。ひとりじめもいいけど、やっぱりみんないっしょがいい。
おかーさんが見つかったら、こんどはハナちゃんもいっしょに、みんなでまたラーザに来たいな。




