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おとうさんと一緒〜子連れ異世界旅日記《嫁探し編》〜  作者: はなまる
第2章 キャラバンのお食事係と旅日記
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谷越え①

 シュメリルールを出発して、今日で10日目。ドルンゾ山に入ってから5日目の朝だ。天気はまずまずと言ったところだろう。多少風がある。早めに朝メシを済ませ、日の出を待っての出発となった。なるべく距離を稼いで、夕方までに谷を越えてしまおうという事らしい。


「谷、越える、橋、どんなの?」という俺の質問に、なぜか誰も答えてくれない。ガンザールさんは、


「うん、アレなー。俺も嫌なんだよ」と顔をしかめた。


 谷越えと言えば吊り橋だろうか。うん、アレは確かに嫌だな。股間がヒュッとなるよな。


 ハザン隊長は、


「ハルはまあ、いざとなったら、ふんじばってかついじまえばいいか‥‥」と、ブツブツ言っていた。


 縛るとか、担ぐとか、荷物の話か?




 その日の午後、馬車は渓谷のたもとへと到着した。


 そこに吊り橋はなかった。





 あるのは何本も渓谷を渡るワイヤー ロープ。そしてワイヤー ロープに取り付けられた滑車と、滑車から釣り下がったブランコのような椅子。


 コレ?このブランコみたいのに乗って、シャーって滑空かっくうして渡るとか、そーゆーの?


 俺帰っていいかな、今すぐ。俺日本に帰る!


 俺がギギギっと音がしそうな感じで振り向くと、ハルがハザン隊長に目隠しされて、ジタバタと暴れていた。


 ハルの頭に、あっという間に、ぐるぐるとタオルが巻かれていく。


「ヒロト、ハルには見せない方がいい!ハルと一緒に、さっさと乗れ!」


 ちょっと待ってとか、心の準備がとか、安全性について説明して、とか。そんな事言う暇もなく俺とハルはブランコに乗せられ、固定のためのベルトとワイヤーで、身動きが取れなくなった。


 ハルは訳がわからず、俺にしがみついている。


「ハル、大丈夫だ! お父さんも一緒だ! 今から谷を渡る。ジェットコースターだと思っとけ!」と言って、ギュッと抱き締める。


 ハルは人形っぽくカクカクと頷いた。


「よし! 行け!」


 ハザン隊長の掛け声と共に、俺たちの乗ったブランコは勢いよく滑り出した。


 たぶん、チビるな!


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