表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おとうさんと一緒〜子連れ異世界旅日記《嫁探し編》〜  作者: はなまる
第2章 キャラバンのお食事係と旅日記
52/181

狩り

動物を殺す描写があります。


特に生々しい表現ではありませんが、一応注意喚起

 夕方、狩りに出るというガンザールさんに、俺はハルと一緒に同行させてもらった。俺には圧倒的に実践経験が不足している。


 なるべく足音がしないように歩く。木の枝を踏まないように気をつけていると、足元ばかり見てしまい、獲物を探すどころではない。

 狩人かりゅうどへの道は遠く険しい。


 じーさんの言っていた「気配、消す」という奥義おうぎを、俺なりに模索もさくしながら歩いていると、ガンザールさんが斜め上に向けてでキリキリと弓を引き絞る。


 ヒュッと鋭い音がして「ククーッ!」と短く鳴き声が響く。茶色い羽根ががバサバサと羽ばたいて落ちる。お見事です。


 目の周りが赤い30センチくらいのキジっぽい鳥だ。にわとりよりも淡白だが、癖がない分食べやすい。


 サラサスーンにはうずらの足が長くなったような、ミニミニサイズのダチョウのような鳥がいて、じーさんと何度か狩りに行った。独特の野趣やしゅあふれる香りが強く、ハルは少し苦手だったみたいだ。ハナは何でも、もりもり食べる。


 「この前食べた、あのおいしい鳥だよね?」


ハルが嬉しそうに言った。さっきまで生きていた動物を見て、「うまそうだ」と思うとは、ハルくん、随分ずいぶんワイルドになっちゃったのね。


 俺は額のゴーグルを装着して、30メートル程度先にピントを合わせる。注意深く探していくと、巣穴から顔を出している、耳の短いウサギを発見した。耳の間に小さな角のような突起が2つある。あれがハザン隊長の好物のつのウサギか?


 ハルとガンザールさんに指で獲物を示し、頷き合う。しばらく待っていると、あと2匹、いや2羽、全部で3羽巣穴から出てきた。3人共に狙いをつけ、はやる気持ちを抑えて、合図を待つ。


 ガンザールさんがチッと小さく舌を鳴らす合図に合わせ、同時に玉を射ち出す。できる限り連射する。スリングは弓より連続して射てる事が強みだ。


 ガンザールさんが2羽、俺かハルの射った玉が1羽を仕留めたので、上々の結果だろう。


「そんな玩具おもちゃみたいので、狩りが出来るのか?」と言っていたガンザールさんは、帰り道ではスリングに興味深々(きょうみしんしん)だった。


 ちなみに「ウサギを仕留めたのは自分だ」と、俺とハルが共に確信を持っていたのは当然だろう。


 ガンザールさんは「どっちだっていいじゃねぇか」と笑ったが、イヤイヤ!そこんとこ重要だから!



 洞窟に戻ってウサギの解体をする時、ウサギ肉をフライパンでこんがりソテーしている時、ウサギジンジャーソテーを、美味しく頂いちゃってる時。俺は気になって仕方なかった事がある。


 俺とハルは帽子で隠しているが、ウサギ耳を生やしている、という設定だ。遠い故郷の習慣で、耳や尻尾は絶対に他人には見せてはいけない、という事になっている。特に「俺とハルはウサギだ!」と説明した事はないが。


 果たして俺とハルはこの肉、食べて良いのだろうか? 倫理的に。そこんとこ、どーなってるの? この世界的に!


 だれか教えてくれ!!


 ーーーーーーーーーーーーーー

 今日のメニュー


 朝 塩にぎり、厚焼き玉子焼き、ピクルス(浅漬け)、胡麻と葉野菜のあっさりスープ


 昼 肉入り餡掛けチャーハン、かき玉汁


 夜 角ウサギのジンジャーソテー、豆入りの薄いパン、ピクルス


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ