表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おとうさんと一緒〜子連れ異世界旅日記《嫁探し編》〜  作者: はなまる
第2章 キャラバンのお食事係と旅日記
46/181

メーヤウ、カシュ

 次の日の朝は、日が完全に登ってからの出発となった。いくつかの荷物を降ろし、水のたるを積み、食料品を補充する。卵を多目に買ってもらえたので、俺はホクホクだ。ロレン店長が「予算が‥‥」と、ぶつぶつ言っていたが、


「割らないうちに早めに使って下さい。この先は道が悪く(メーヤウ、カシュ)なりますから」と言った。


(メーラー)が、笑う(カラシ)?」


メーヤウです。笑う(カラシ)じゃなくて、悪い(カシュ)。良くない、ガタガタ道、わかりますか?」


 俺が頷くと、「私はボットケーキというやつが、また食べたいです」とものすごく真面目な顔で言った。


 ホットケーキだ。


「ヤー(了解の意)」と俺が言うと、けっこう上機嫌な様子で書類を持って村長の方へ歩いて行った。


 鼻歌、うたってないか?


 俺がロレン店長の意外な一面に、内心動揺している間に、出発の準備が整ったらしい。




「ほう! やー!!」


 先頭の馬車の御者を務めるアンガーさんが、軽快な掛け声を上げ手綱たづなを鳴らす。後続の馬車もそれに倣う。


 馬車は順調にドルンゾ山を目指す。俺は卵と牛乳の事が気になって仕方ない。卵はたっぷりのおがクズで保護してあるし、牛乳はペットボトル水筒に入れ、水の樽の中だ。これはさゆりさんに教えてもらった保存法だ。卵は2、3日は悪くならないと思うが、道が悪い(蜜は笑わない)とやはり割れてしまう事が心配だ。牛乳は今日か明日には使ってしまいたい。暗所で水の中、どのくらい保つだろう。


 俺がレパートリーの中から、メニューやアレンジをアレコレ考えていると、ハザン隊長がそわそわした様子で声をかけて来た。


「なぁ、アレ見せてくれよ。ビヨーンて伸びて飛ばすやつ」


 俺は「大事、壊すな」と言って渡す。今日は念のために(豆ではない)組み立てを済ませ、腰ベルトの脇部分に差し込んでおいたのだ。


「すげえ伸びるのな! これ何で出来てんだ? 動物のけんか?」


 ハザン隊長がゴムをビヨーンビヨーンとしながら聞いた。すげぇ楽しそうだな。


「木の汁」と答えると、


樹液じゅえきか? 固めるとこんな風になるのがあるのか?」


 と、聞いてくる。俺は、


「作り方、知らない」


 ととぼけておいた。実際俺1人ではまだ、上手く作れない。


「どーやって使うんだ? 打たせてくれよ」


 と言って悪そうに笑う。この笑顔は知っている。じーさんがチートな道具を思い付いた時に浮かべるやつだ。


 俺は荷袋からギリットを数粒取り出して、馬車の後方へと打ち出して見せた。この馬車は最後尾だ。


「けっこうな威力だな! 打ち出すモノで色々出来そうだよな。鉄の破片なんかに毒を仕込んでも良いな。弓矢より飛ばすもん選ばないのはすげぇ利点になる。大きさとか、この伸びるやつ変えられんのか? これ、二本とか三本にしたら威力上がるんじゃねぇか? それと‥‥」


 うわー、すげぇ勢いで喋り出しやがった。何言ってるか半分もわかんねぇよ!


 俺とハルが若干引いていると、やっと我に帰ったらしい。


「すまん、俺、武器の話しになると止まらなくなっちまって」と、バツの悪そうに言った。


 うむ。武器オタか‥‥。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ