ハルと一緒②
「あ! おとーさん、すごくきれいなお花畑があるよ!」
あーハルくん、あの花、毒あるからな。絶対近寄っちゃダメだぞー。足踏み入れたら3歩で倒れて、10秒で死ぬらしいぞー。
「おとーさん、でっかいフン転がしだよ! あのフン玉、バスケットボールくらいあるよ!」
うんうん。すごいな! なんのフンだろーなー!
「わーすごく甘い匂いがするねぇー! あのサボテンかなー?」
ハルくん、あのサボテン歩くから! 誘われちゃダメだぞー!溶かされちゃうからなー。
「ハリネズミがいるよ、かわいいねー! 親子だよ、おとーさん!」
うん、かわいいよなー。でもあのハリネズミ、すげぇ勢いで転がるんだぞー。体当たりもしてくるぞー、気をつけよーなー。
「ねーねーおとーさん、あれ、土煙りかなー? あれなーに?」
たぶんあれは牛の群れだなー。さゆりさんがハンバーグ作ってくれたろー? アレがそーだ! でっかい角があって力持ちだけど、結構小くて谷狼くらいなんだよなー。
ハルは何か見つける度に、目をキラキラさせて聞いてくる。この前は行きも帰りもずっと寝てたもんな。楽しみ過ぎて眠れなかったらしい。
さて、そろそろ街が見えてくるから、帽子被ろうな。ウサ耳帽子! うんうん! ハルくん似合うねぇ。お父さん、アレだ『恥ずか死ねる』だよ‥‥。
リュートが嬉々としてからからってくるのが、目に浮かぶようだ。
人通りが出てきたので、2人して馬から降り街道を歩く。
こうして様々な獣の特徴を持った人達を見ていると、疑問に思わずにはいられない。動物が知的生命体に進化してゆく過程で、こんなにも多種多様な動物が、同じような進化を遂げるなどあり得るのだろうか?
この世界の獣の人達は、みんな耳があり、尻尾がある。二本足で立って歩き、手を器用に使う。体毛は、個人差はあるが、ほぼ髪の毛のみ。
まあとにかく、マンガやアニメに出てくる獣人そのものだって事だ。これはあまりに不自然なんじゃないか? 俺は今でも時々、これは国家ぐるみのプロジェクトかなんかで、俺達は何も知らされず、テスターとして放り込まれたんじゃないかって思う。
「ねぇ、おとーさん。お母さんにプレゼント買おうよ」
俺の思考をぶった切ってハルが言う。
「えっ?」
「海の街まで、二週間くらいでしょ? お母さんの誕生日過ぎちゃうよ」
あっ! ホントだ!
ハルくんえらい!グッジョブ!
嫁の誕生日は9月の半ば、ラーザで会えたとしても、間に合わない。
「ハル、ありがとう。お父さん忘れてた」
「今日は何も用事ないから、リュートの家で馬置いて、お母さんのプレゼント探そうか」
その後二人で、店を何件もハシゴして、あーでもない、こーでもないと、大揉めの末にやっと選んだプレゼントは、小さな翡翠がゆらゆら揺れる、可愛らしいピアスだった。
2人とも、それなりに満足のいく買い物ができたので、心地よい疲労感を感じながら、夕暮れの街を歩く。
さあ、明日はいよいよ出発だ!
本話にて第1章終了です。長らく題名詐欺状態で申し訳ありません! 次話から第2章、ようやく旅立ちます!
異世界の自然や風景、キャラバンでの生活をヒロトやハルと一緒に楽しんで頂けたらと思います。また、ご意見や感想等ありましたらお聞かせ頂ければと思います。
どんな感想も糧となります。評価は指標となります。ブクマ登録は、続きを読みたいと思って下さる意思表示と思い、とても励みになります。よかったら評価、感想、ブクマ登録、よろしくお願い致します。
注)ブックマーク登録は各ページの左上に、評価・感想欄は最新話の1番下にあります。ちなみに、評価・レビューはアカウント登録が必要です。




