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おとうさんと一緒〜子連れ異世界旅日記《嫁探し編》〜  作者: はなまる
第1章 スローライフと似顔絵屋さん
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交渉

 この世界に俺たち家族が飛ばされてから、約1ヶ月が過ぎていた。まだ1ヶ月か、とも、もう1ヶ月も経ったのか、とも思う。


 相変わらず茜岩谷の大岩とシュメリルールとを行ったり来たりする生活だ。シュメリルールに家を借りて、3人で暮らしながら金を貯めた方が効率が良いとは思う。しかし、大岩での毎日はあまりに心地良く、手放すタイミングを逃してしまい、ズルズルとお世話になる生活を続けている。


 似顔絵屋は盛況だ。リピーターや、口コミで、途切れずに客が訪れてくれている。そういえば本屋のご主人が、肖像画や見合い用の少し手の込んだ仕事を紹介してくれるようになった。そういった客の絵はこっそり写メを撮り、さゆりさんの家で時間をかけて仕上げてから渡す受注制にした。こちらは銀貨5〜6枚、時には金貨1枚にもなった。


 目標額は達成している。そろそろ旅の支度を始めなければ。


 今日はリュートにつき合って貰い、大きな商会を訪れている。ラーザまでキャラバンを組み、定期的に貿易を行なっている、この街で1番大きな商会だ。同行を頼んでみるつもりだ。


 雑貨や食料品の並ぶ店内で、店員さんに話しかける(リュートが)。店員さんは責任者を呼びに行ってくれた様子だ。俺の異世界語はかなり上達したと思う。しかしまだ片言のレベルは脱していないので、交渉には心許こころもとないのだ。


 店長らしきネコ耳男性が、別室にうながしてくれる。リュートが俺が異国から来た旅人であり、言葉がつたない事、人を探してラーザへ行く事を望んでいる事を説明する。俺が片言で自己紹介と挨拶をすると、商人らしく愛想の良い笑顔で頭を下げてくれた。


 料理や洗濯などの雑用や、馬の世話が出来る事、事情があり子供を連れて行きたい事、同行の為の費用を払う用意がある事を伝える。リュートが補足説明や訂正を加えてくれる。


 つたない説明ではあるが、俺のコミュニケーション能力を知ってもらう事が必要だと思い、えて俺が話す。敬語も何もあったもんじゃないが。


 ネコ耳男性が何か質問をしてくるが、早口で聞き取れない。子供の年齢を聞かれた気がする。リュートに日本語で確認すると、頷く。


「8歳、オトコ、3歳、オンナ」と答える。予想より幼い年齢だったのだろう。ネコ耳男性は顔をしかめて、今度はゆっくりと発音してくれる。


「危険があります。3歳は無理」


 簡単な単語で話してくれている。その後はリュートに向かって、料金等の条件や出発日時、注意事項を伝えてくれる。俺とリュートは軽く相談した後、後日改めて返事をしに来る事を伝える。


 商会を出て、軽く深呼吸する。ハナは無理か‥‥。俺はぶっちゃけ、ハルは連れて行くつもりでいる。この世界の成人は15歳だが、10歳くらいから働いている子供も多い。


「ヒロト、言葉、上達した。ヒヤリングもイケてる」


 リューちゃんこそ、若者言葉までマスターしちゃって!他に使い道ないのに!


 ラーザ向けのキャラバンが、シュメリルールを出発するのは1週間後だとネコ耳店長が言っていた。忙しくなりそうだ。


読んで下さってありがとうございます!少しでも楽しんで頂けたら幸いです。そしてご意見や感想などお聞かせ下さると、作者小躍りして喜びます。

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